「ユダヤ人迫害問題を現代的な文脈でとらえ直す姿勢は評価するが」否定と肯定 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
ユダヤ人迫害問題を現代的な文脈でとらえ直す姿勢は評価するが
ナチスドイツによる戦争犯罪とユダヤ人迫害の歴史は、欧米の映画で手を替え品を替え、多様な切り口でコンスタントに描かれ続けている。本作もそうした「ユダヤ物映画」の一本だが、単なる歴史の振り返りではなく、ポスト・トゥルースとフェイクニュースの現代に通じる“今ここにある問題”として提示したのがミソ。「訴えられた側に立証責任がある」英国の司法制度もどうかと思うが、主人公にとっての困難がドラマ性を高める要素になったのも確か。
米大手スタジオの多くがユダヤ系米国人によって創設されるなど、ユダヤ勢力からの影響が強い映画業界が、ユダヤ人が差別されてきた歴史の啓発と地位向上の道具として映画を活用してきたことは理解できる。一方で、イスラエルでユダヤ人がパレスチナ人を迫害している事実については、このような大金をかけたドラマ作品などで描かれることはほとんどなく、バランスを欠いているようにも思える。
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t-maruさん
〉「ヒトラーの賛美者で問題の多い学者だが、いくつかの業績は歴史学者に評価されている」
-は、
「いくつかの業績は歴史学者に評価されているが、ヒトラーの賛美者で問題の多い学者である」
と邦訳すると全く結論の方向性は変わってきますね。
紹介されたこのノーマンの「ホロコースト産業」の全文を読んだことがないので流れがわかりませんがコメントさんがノーマンの著書から引用されているリップシュタットへの批判の部分は
"それ故にリップシュタットは信用ならない人物で耳を貸す価値のない著者だ"と断じているのか、あるいは
"もっと名のある反ユダヤ論者を列挙して彼らの反ユダヤ主義に反駁すべきだった"とリップシュタットの手法の手ぬるさを批判しているのか、どちらかよくわかりません。
興味はわきました、本を探してみます。
ノーマン・G・フィンケルスタインという、自身がユダヤ人で両親が強制収容所の生き残りである政治学者が「ホロコースト産業」という本を書いています。その中にリップシュタットの本も出てきて、「聞いたこともないような反ユダヤ論者をリストアップして、反ユダヤ主義というものが非常に強力であるように見せかけている」と批判しています。アーヴィングについては、「ヒトラーの賛美者で問題の多い学者だが、いくつかの業績は歴史学者に評価されている」とあります。