それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険! : インタビュー

2017年6月30日更新
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多部未華子、コンプレックスを武器に挑んだ声優業で得たもの

国民的アニメの劇場版最新作「それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険!」が、7月1日から公開される。ゲスト声優として、物語の鍵を握るキャラクターの声を務めたのは女優・多部未華子。劇場アニメの声優は初挑戦ながら、臆病な子ライオンを生き生きと演じ切った。そんな好演の裏には、意外にも“声に対するコンプレックス”があった。(取材・文/編集部、写真/根田拓也)

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劇場版29作目となる今作は、原作者やなせたかしさんの名作絵本「やさしいライオン」の主人公をモチーフとしたライオンの男の子・ブルブルが、アンパンマンらと一緒に、宝探しの冒険を繰り広げる。

体全てを使って演じる女優業を飛び出し、声だけで表現する声優業に挑んだ多部。だがインタビュー時の開口一番は、「自分の声があまり好きじゃない」という驚きの告白だった。コンプレックスである声を生かす仕事の原動力となったのは、「自分の声が好きではないからこそ、逆にオファーをいただけて嬉しい」という思いだったという。

1度だけ、ゲーム作品の声優を務めたことがあるが、劇場アニメは初挑戦。“新人声優”同然ながら、物語の中心となるキャラクター・ブルブルを任されたため課題は多かった。「女優業は、生身じゃないですか。だから、アフレコではセリフを言うタイミングが合わないことがありました。画面と台本を見ながら、声を合わせるのは本当に難しかったです」。

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国民的アニメのアフレコ現場は、驚きの連続だったそうで「スタッフさんは、アンパンマンに長く携わっている方ばかりなので、皆さん慣れていらっしゃる。ブースに入るとすぐに本番が始まりました。私が知っている現場は、セッティングがあり、テストをやって、待ち時間もある。本番にいくまでの順序が違うので、まずは現場のリズムになれることが大変でした」と吐露。「アンパンマンには長い歴史があるので、そこに入らせていただくのは緊張しました」とプレッシャーを明かす。

初めての現場に戸惑うなか、声優としての高い技術も求められた。臆病なブルブルは叫び声をあげる場面が多いため、セリフではなくリアクションで心情を表現しなければならず「『わあ!』と叫んだり、走った後にハアハアと息を乱したり、慣れないことばかりでした。台本にも『わあ!』とか『ハアハア』という言葉がたくさんあり、リアクションの演技が多かったので、演技にバリエーションをつけるのが大変でした。スタッフさんには、『想像以上にオーバーなリアクションにしたほうがいい』とアドバイスをいただきました」。

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苦労の連続のなかでも、「幼いころから見ていた」という「アンパンマン」の現場だからこそ、作品と向き合う心構えがぶれることはなかったようだ。「演じる際に子ども向け作品であるということは、意識しませんでした。アンパンマンやカレーパンマンが言うストレートな言葉は、大人が聞いても大切なメッセージがたくさんあるので」。そのうえで、「家族連れで劇場に行かれる方もいると思いますが、親御さんが見ても学ぶことが多い作品になっているはず」と期待を込める。では、子どもたちには届くのだろうか。「直接はわからなくても、作品に込めたメッセージが伝わることはある。それがアンパンマンだと思います」。

苦手意識のあった声の仕事をやり遂げ、「アフレコ時は、いっぱいいっぱいでした。今は長い歴史があり、誰もが知っているアンパンマンの世界に携われたことは、すごく楽しいことであり、良い経験だったと思います」と達成感をにじませる。「学んだことはたくさんあります。技術的には、例えば活舌。アフレコ時に『ここが出来ていない』と気づくこともたくさんあったので、それを今後どう生かせるか。今はまだ、細かく『この部分をこうしていきたい』とお伝えすることはできませんが、今後に生かせることはあったはず」と真っすぐな眼差(まなざ)しで語った。

インタビュー直後に行われた完成披露試写会では、客席の子どもたちを前に、笑顔を弾けさせた多部。2度目の挑戦の日も遠くはなさそうだ。

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「実は、ゲスト声優に決まった時、お姫様のようなキャラクターを想像していました。だから、今度は女の子のキャラクターがやりたいです(笑)。そして、しょくぱんまん様! 小さな頃から、紳士なイメージのしょくぱんまん様が大好きです。でも今回は絡みが全然なくて残念でした。次はお願いします(笑)」

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