海辺の生と死のレビュー・感想・評価
全32件中、1~20件目を表示
たとえそこが戦地であっても、緑の美しさは色褪せない
戦地の素顔は、美しい。緑が濃く、瑞々しく、鳥や虫がひっそりと息づいている。
そのような描き方がされるようになったのは、イーストウッド監督2部作の頃からだろうか。塚本晋也監督渾身の作「野火」で、「美しい戦地」は決定的となった。さらには、布教をめぐる受難を丹念に描いた「沈黙」(塚本監督が、壮絶な死を遂げる村人を鮮烈に演じている。)で描かれる、大自然の神聖さへと受け継がれていく。五島列島の深い森や荒涼とした岩海は、ちっぽけな存在である人を包み込む場として、戦争が繰り広げられた熱帯の島々に連なっているようだった。
「海辺の生と死」は、奄美が舞台となっているが、民間人を大きく巻き込む戦場となった沖縄を想起せずにいられない。どちらにも、豊かな自然と文化がしなやかに根付いている。あまりにも自然が色濃く描かれているので、その鮮やかな緑は、「今、そこ」にあるもののようだ。もしくは、時代も場所も越え、ここではないと何処か、いつでもない何時かの物語のようにも思えた。(実際、一緒に観た6歳の子は、旅行したばかりの石垣に印象が重なり、昔の物語とは思っていない様子だった。)
過去のいわゆる戦争映画は、史実を辿ることに意味があった。一方、ここ最近の作品は、普遍的な物語の通奏低音として戦争を描くことで、戦争が決して過去のこと・他人事ではないと、静かに強く語りかけている。
また、かつては、主要人物が命を落とすことで、戦争の愚かさ悲惨さを訴えることが多かった。一方本作は、豊かな自然に寄り添った日々の営みを丁寧に織り込むことで、人々が緑の美さや鳥の声を味わう余裕なく追い詰められ、追い立てられていく「戦争」というものをあぶり出す。何があってもそこに淡々と在り続け、全てを包み込む自然の広大さが、戦争の矮小さを静かに語っているようにも感じた。
島の少女と、赴任してきた若い兵士が出逢い、為るべくして惹かれ合う。死が近づいていると互いに感じ、別れを受け容れようとしながらも、生にすがらずにいられない。史実を知っている身としては、2人は結局は無事なのだと八割方確信している。にもかかわらず、あまりに必死で一途な2人の姿を見ているうちに、もしや…と、不穏な気持ちをかき立てられずにいられなかった。(彼ら(のモデルとなった島尾夫妻)の悲劇は、ずっとずっと後に起こるのだが…。)緊張の末のラストは、すとんと胸に落ち、じわりと心に染み込んだ。
沖縄の唄ともまた違う、哀切のある奄美の島唄が、今も耳に残る。ヒロイン満島ひかりさんに加え、朝崎郁恵さんの唄も久しぶりに味わえてよかった。
ついてはいけないでしょうか たとえこの身がこわれても 取り乱したりいたしません
2019年8月25日
海辺の生と死 鑑賞
ついてはいけないでしょうか
たとえこの身がこわれても
取り乱したりいたしません
太平洋戦争末期の奄美群島・加計呂麻島で出会った島尾ミホ・島尾敏雄夫妻をモデルにした作品。
満島ひかり と 永山絢斗 が主演。
特攻と集団自決。悲しい事件を題材にしたお話
#満島ひかり#永山絢斗
満島ひかり覚悟の演技
個人評価:4.0
私はこの作品を見て初めて心底、戦争が憎く、そして当時のアメリカを恨みました。
数多の特攻隊や戦争映画がありますが、そういった気持ちになるのは初めてです。
このテーマは時代がどんなに移り変わっても、伝えいく必要がある普遍的なテーマだと感じます。選択肢が無いまま死んでいった人達の為に。
選択肢が無くなった若い2人の恋。それは死という絶対的な事柄を前に、2人を盲目的にさせたのか、それともよりクリアに真っ直ぐな気持ちさせたのか。おそらく後者であると感じる。
満島ひかりの真っ直ぐな演技が胸に刺さり、当時の現実がリアルに押し寄せる。
虫や鳥は今日も変わらず鳴き続ける。波は変わらず今日も寄せては返す。島民だけが自分達が決めたルールで死んでいく。
選択肢が無い、選択肢がないのですよ。村人の声が聞こえてくる。
極限だから?
生死の境にいるからこそ2人は恋に落ちたのだろうか。終戦後はすっかりその気もなくなってしまったという感じ。死に損ねて生きている意味も分からなくなってしまった?でも原作者夫婦の実話ということは結ばれたんだよなぁ。
終戦間際の沖縄の離島がどのような状況だったのか、リアルに伝わった。極限の状態でも時間はゆっくり流れ、歌も歌うし踊りも踊る。ただ台詞の間や沈黙の時間が長く、退屈に感じてそこまで島時間に浸ることはできなかった。満島ひかりの歌と裸は良かった。先生でも子供っぽくて、好きな人の前では子供のように甘えるのがまた可愛かった。
戦時下のラブストーリー
第二次世界大戦の末期、奄美の女教師(満島ひかり)と海軍特攻隊士官(永山絢斗)の恋物語。
2時間半を超える大作で、熱演ではあるが、私のような感度の鈍い人間にはやはり退屈。
元は3時間半バージョンらしい
劇場で観ればよかった。
元ネタも知らずモデルがいるとも知らず。
戦争末期、奄美群島加計呂麻島が舞台。
実際奄美大島で撮影とか。
特攻艇 震洋の基地もあったとか。
もっと戦争を押し出すのかと思っていたが、至極ストレートなロマンスモノ。反戦もストレート。
奄美島唄と鳥の声、ゆったりした時間。
子供たちが軍人にそっけないのがいい。
川瀬陽太のザ・軍人。島唄と対照的な同期の桜。
去っていった足跡が残る砂まで愛おしいとは。
喪服から下着姿、洋装に行水時の裸まで満島ひかりを終始愛でる映画。方言やイントネーションまで可愛らしい。
元気デス。
ハッピーエンドで良かった。
島の言葉と歌が良かった
満島ひかりが歌う、島の歌が良かった。特にケコちゃんの踊りに合わせて、太鼓叩きながら歌ってる8月の歌が好き。全体的に島のにおいや温度をすごく感じた。家にいて聞こえる波の音や、夜のフクロウの声がいい。好きなシーンがいっぱいある。ケコちゃんが手紙を読むところ、トエと生徒たちのシーン、大坪さんとトエのシーン。トエの服装もかわいい。2人の恋愛や戦争のことよりも、島が強い印象を残す映画。
思ったよりも?
第30回TIFF鑑賞記録
3作目
Q&Aでの満島さんは、踊ったりしてて、本当に美しいのに、お茶目な面もあり、ただただ最高でした。
満島ひかりさんに惹かれて観ることに決めました。
最初の10分でそれを後悔し、辛い150分になる事を覚悟しました。
が、映画が進むにつれてだんだん引き込まれていく自分がいました。
最初はよくある安い恋愛映画かなと思いましたが、すごく硬派な方向に振った渋い映画でした。
去年のTIFFで観た「痛ましき謎への子守唄」のような雰囲気(ニュアンス?)を感じました。
とにかく満島ひかりさんは凄かったです。
彼女のファンだけでなく、凝った映画が好きな方は是非見て欲しいと思いました。
しかし、娯楽映画ではないので、そこは注意して下さい。
睡眠をしっかりとった状態での鑑賞をお勧めします。
奄美へ迷いこんだ錯覚さえ覚えた。
2時間半があっという間でした。
オープニングの自然な始まりから第二次大戦末期の奄美へ迷いこんだ錯覚さえ覚えた。
上手く言えませんが現代の日本において、映画の在り様が
何か強烈なメッセージを発している気がします。
多くの登場人物が何気なく唄ってた。
観ていて、人間にとって本当は言葉なんてものは意味無いのでは?とか、人はなぜ唄うのか?とか考えてしまった。
父さんと娘の関係性も良かった。
最後の方、救われます。これで良いのだ。
主演の満島さんが佇む良い宣伝写真が目に焼き付いていて、
以前から興味があったが、上映時間が2時間半という点で観る事を躊躇していたが、思い切って観て良かった。
映画の日ということもあり、お客さんも結構入ってました。
男女の愛と反戦
島尾敏雄の作品は、40数年前の学生時代に複数読みました。昭和20〜30年代には、この作品に描かれているように、純粋に「もう戦争はゴメンだ」とほとんどの日本人が思っていたんだろう。大事な人と「死」が近くて辛かった時代だと。
その意味で、昭和の香りのする作品ではあるけれど、新鮮に感じ、若い人達にもたくさん見て欲しい作品になっている。
眠い授業に耐える感覚を味わった。
事前の知識不足と睡眠不足もあり、集中して理解、観ることができず終始眠かった。眠気を誘ったひとつにテンポの悪さがある。長回しを多用し、カットできないことがテンポの悪さの原因だと思う。集中力のある序盤に、永山絢斗が子供たちと会話する長回し(子供は吹き替えっぽいが)を延々とするものだから眠くなり、それ以降は、眠い授業に耐える感覚。
自分が席の予約をした時は、立ち見まであと10人を切っているほど人気だった。席についたら、周りが年配の方だらけ(9割くらい)で、自分と同年代がいなくて驚いた。夏休み、年配の方が観るものがないからかもしれない(金曜1000円だから?)満島ひかりのおっぱいが映ったとき、劇場中の年配男性たちから、クワッと瞳孔が開くオーラが発散されたのを感じて、可笑しかった。
満島ひかりの「女優魂」を評価
9割方退屈な映画である。それは予想していたので、納得であった。
さて、★★程度の作品かな…と思いつつ、2時間(本編2時間35分!!)を超えようか、というところで話が、画面が、満島の演技の温度が高くなっていき…。
結局、彼女が裸(がっかりおっぱいだけど)になったことへの意気を評価して、★2つプラスである。
舞台の奄美に満島自身のルーツもあるそうで、確かにその風景と空気に溶け込む芝居はしていた。
まあ、彼女の演技力からすればどんな芝居、状況でもこなしていくんだろうが。
あの程度の芝居、裸を見せたくらいで僕も評価を甘くしてるっていうのも、それだけ他に見るべき演技ができる俳優(男女問わず)、作品がないっていうことでもあるんだけどね。
ところで、
監督は満島と永山が現場でラブラブだったということは、当時は感じてなかったんだ、と。
この映画の宣伝に熱愛はプラスになったかな…?
低予算過ぎて物語に深みがない
永山ファンなので見てきました。場面ごとに画質が暗くて目が疲れた。主役の満島さんは少し精神障害者みたいな表現で痛かった。
永山さんは上手いけど出撃場面の苦しむ葛藤が全くないのには脚本のミスがあると思う。
特に奄美の方言で全部カバーしようとしていたのではないか?
25年くらい前にみた特攻隊関連の月光の夏のほうが号泣できた。海辺の生と死は涙出ませんでした。
広島に新型爆弾落とされた事実を知ったなら船でどこまで体当たりに行くのか程度は説明欲しかった。
そして満島さんが下着姿になるのですが、戦時中の奄美にあのようなオシャレな現代風のキャミソールがあったのかな?不自然
全32件中、1~20件目を表示