「あまりにも一途で純粋すぎる愛」彼女がその名を知らない鳥たち ぐりめいさんの映画レビュー(感想・評価)
あまりにも一途で純粋すぎる愛
見てくれや普段の振る舞い等で一瞬見失いがちかも知れないが、心の部分だけを取り出したとき、陣治の十和子への愛は
見ているこちらの胸に迫ってくる程の
“哀しいくらいに一途な純愛”だと
私には感じられた。
見返りを決して求めず、ただひたすら
十和子の笑顔を見たいがために彼女に尽くす陣治の姿には、見た目とは裏腹に清廉さすら感じたのは私だけだろうか…
阿部サダヲさんが演じてくれたからこそ
そんな風に感じられたのだと思う。
情けないようでいて十和子に何かあれば
即座に飛んで行き、彼女の窮地を救う。
人を刺し相手が殺められてしまった現場を見ても、逃げることなく彼女を守ろうと画策する姿。
ヘタレでも情けない奴なんかでもない
と個人的には思えた。
また、十和子への愛は親が子を守ろうとする保護欲にも似たようなものにも感じられ、だからこそ 見返りのない愛をよりいっそう感じたのかも知れない。
蒼井 優さんも素晴らしかった。
陣治とは正反対の男達の甘い言葉を信じ
疑うことを知らない。
ある意味 純粋なのかも知れないが
少しでも疑うことが出来ていたのなら
最期の強行に至らずには済んだのではないか…と、胸が痛む。
自分を心から愛してくれる相手を愛することが出来たなら、平凡でも穏やかな生活が送れたかも知れないのに
こんなにも愛してくれる人は、陣治以外に存在し得ないと心底気付いた時には彼はもう側にいない。
陣治が身を挺して彼なりの愛を表現した後、十和子がどのように生きたのか
とても気になってしまう。
でも、幸せな生活の中で子供を設けていて欲しい、と強く願うのは私だけではない気がする…
何年も前に原作を読んで衝撃を受けた作品だったが、映像化され私に取っては
記憶に残る忘れられない映画作品になりました。
はじめまして、みかずきです
共感ありがとうございます。
ぐりめいさんのレビュー、
二人の究極愛を客観的に深く掘り下げた
素晴らしいレビューだと思います。
ー以上ー