「渋谷シネパレスにて観賞」彼女がその名を知らない鳥たち shallowwhiteさんの映画レビュー(感想・評価)
渋谷シネパレスにて観賞
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ヴァイオレンスの先にある「何か」を見せつける傑作を連発した白石監督だが、本作は見た以上のものは残らなかった。
クセのある原作のせいだろうか。
蒼井優の演技は相変わらず……わめきやキーキーすることに専念してしまい人物像が埋もれて見えてこない。
『オーバー・フェンス』では、そんな芝居で作品を台無しにしていたが、『ミックス。』も含めてあまり変わっていない印象だ。(『オーバー・フェンス』と同じくきっちり脱ぐ覚悟も無し)
「叫べば名演」って、いい加減にやめようよ。
阿部サダヲは良い。彼の真摯な懸命さ特に後半、心を動かされる。何より彼が作って食すご飯はいつも美味しそうだ。
しかし、その感動的な演技から迎える自決という結末は全く意味が分からない。
これは原作の問題になるだろうが、死を美化することや自己憐憫に酔ってるようにしか見えない。
せめて、ああするしかないことに、もっと説得力を持たせて欲しかった。そこは脚本の仕事だろう。
白石監督らしい良い演出が光ったのは、2人のクズ男。
松坂桃李演ずるチャラいクズ男、竹野内豊演ずる外道なクズ男、いずれも彼らの他作と比較にならない名演を引き出している。
それぞれ相応の報いを受ける点は、溜飲が下がった。
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