「愛の形は人それぞれ」彼女がその名を知らない鳥たち さわらさんの映画レビュー(感想・評価)
愛の形は人それぞれ
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「登場人物、全員ゲス」
っていうからどんなものかと思ってたけど、非現実的ではまったくなく、今歩いているこの街にも居そうだし、もしかしたら自分の中にも要素がありそうだし、何なら色々あったあの彼もこの映画の住人かなって思ったくらいだった。
それぞれが、愛、欲望、淋しさ、プライド、そして今までの人生で埋めそびれた穴なんかをどうにか満たそうと必死で、人間だなぁ、と思った。
陣治。不潔で、食べ方も振る舞いも品がなくて、ずっと嫌な気持ちで観てたけど、ベンチで横並びに座っている最後のシーンで「もう生きて居たくない」と泣きながら吐露する十和子に、ベンチからバッと降りて正面から「そんなこと言うたらあかん。なんもかんも引き受けて、全部持ったまま生きてくんや」って力強く伝える陣治を見て、人生を感じました。生きていくことの覚悟みたいなもの、自分に足りないって日々思っている私には、すごく重い言葉だった。
「生きて、見てくれだけじゃない良い男に出会って、子供を産め。俺はお前の中に入る。女でも男でも、その赤ん坊は陣治やからな。忘れるなよ」と言い残して陣治は飛び降りる。生きる希望を無くしてる十和子に、未来と、守らざるを得ない約束を取り付けて、彼女の命を繋ぐために。常識で考えたらきっと歪んでるけど、愛も、その表現方法も、受け取り方も、ひとそれぞれだなぁって、当たり前のことだけど、思いました。
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