「ヒドい脚本」ジュラシック・ワールド 炎の王国 ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒドい脚本
退屈というより、内容を外しているというべきか。
●前評判が芳しくなかったので期待はしてなかった。しかし映画前半はサスペンスフルな演出やキャラクターの自然な芝居など、前作より格段に良かった。ジュラシックシリーズらしいアドベンチャーな展開に引き込まれ、これは前評判と違って面白い作品なのかと期待したけど、早々にトーンダウンしてしまった。
●中盤からは恐竜たちは檻に入れられ、ろくに活躍しない。人間だけしか話を進行していない。後半はただ1匹の恐竜と追いかけっこをするだけで話が全く広がらず退屈なだけだった。様々な強竜が出て、個性的な特性を見せるのがシリーズの醍醐味では?
●上記をふまえるとクライマックスが前半にきているような印象。
構成を逆にした方が良かったんじゃないか?火山が噴火する島から恐竜たちを救い、脱出するスペクタクルは後半に持ってくる方が盛り上がると思うし、悪人が画策し、恐竜をオークションする場面は前半でも組み替えが出来る気がする。
●舞台を島から金持ちの屋敷にしたのも内容を収縮させる原因だ。森や草原、滝や湖。大自然の中でこそ恐竜たちは大暴れ出来るし、様々な展開を生み出せる。今までにない発想にするため舞台を変えたのかもしれないが他に考えはなかったか?
●前作にも登場したが遺伝子操作による新種の恐竜は必要なのか?観客が求めるのは見たことのない恐竜なのであって、おとぎ話のドラゴンやグレムリンではないと思うが。
●クローンの少女は全く意味のない設定だ。話の内容に全く貢献していない。遺伝子操作技術への啓発という面をこのシリーズは含んでいるが、あくまでジュラシックシリーズはアドベンチャー映画だ。
考え方を外しているとしか思えない。
そもそも毎回子供を登場させるのは、子供たちの恐竜への夢や憧憬を表現するため。子供キャラの使い方を間違えている。
●後味のよくないラスト。スター・ウォーズのようなシリーズ連続した人間ドラマを誰も求めていない。流行りのダークな娯楽は似合わない。一本一本、スカッとハッピーエンドにして欲しい。
前作はパークが開園したという設定でシリーズに新しい発想をもたらした。しかしパークが閉園してしまい、またも発想は振り出しに戻ってしまった。目を引く新しい内容を作るのは至難だと思う。
それでもラストで恐竜が逃げ出し世界中に散らばるのを予感させる先に、猿の惑星みたいな映画になったら目も当てられない。