「古典芸能の"口上"と"見得"を楽しむ映画。」ジュラシック・ワールド 炎の王国 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
古典芸能の"口上"と"見得"を楽しむ映画。
これから楽しみにしている人には、息つくヒマのないスリリングな内容で、4D3D版にはお金を払っても、損はない。むしろぜひ観るべき。まったく完成度に文句はないし、十分楽しめるんだけれど…このシリーズは、もうやることないんだよね。
本作は、オリジナル3部作(1993-2001)から14年ぶりの前作「ジュラシック・ワールド」(2015)の続編にして、シリーズ5作品目。とにかくお金がかかっていることだけは確か。最新のCG映像を使いながらも、古典的なアニマトロにクス(恐竜あやつり人形)にこだわる贅沢な造り。
身も蓋もない言い方をすれば、オリジナル3部作のパターンを繰り返しているだけで、"最新作なのに、デジャビュ状態"というのが真実。
シリーズファンは、きっと、"今回は新鮮味がある"と反論するだろうけど、それは気のせいだよ(笑)。
この"ジュラシック・シリーズ"は、「スター・ウォーズ」シリーズと同じく、もはや"古典芸能"。同じ演目を繰り返し見ることができる"歌舞伎ファン"や、いつも結末は決まっている勧善懲悪の"時代劇ファン"には、あたりまえの"口上"と"見得"。
恐竜に襲われそうになった瞬間、さらに大きな恐竜がソレに噛み付くシーンは、何度も観た・・・本作の"見得"である。
シリーズ5作品の中でも、もっともメッセージ性が高いことは認めよう。戦争や過ちを繰り返す人間の愚かさ、自らの欲望やエゴのために、大自然の領域を犯す最新科学の過ち。改めて、世界に警鐘を鳴らしている本作は、子供と一緒に観る価値がある。原題の"Fallen Kingdom"="崩壊する王国"は、恐竜の王国ではなく、人間世界である。
ということで、このシリーズを3Dや4Dで観ない人の気が知れない(それならソフト待ちでいい)。初日初回は4DX3Dの吹替版で鑑賞。翻訳担当は、"吹替の帝王"こと、平田勝茂先生である。これもまたテッパン。
(2018/7/13 /ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/吹替翻訳:平田勝茂)。