「確かに愛犬家のポルノ映画なのかもしれない」僕のワンダフル・ライフ たきさんの映画レビュー(感想・評価)
確かに愛犬家のポルノ映画なのかもしれない
個人的にリアルな動物が人間の感情と思考回路で言葉を喋らされている映画(ジャングルブックとか)がとても苦手で、動物達を人間の都合の良いように創作、解釈してんじゃねぇよ! 腹減らしたジャガーに喰われてろ! と反感を持っておりました。
本作はまさにその極地で、犬という物言わぬ他者を人間にとって非常に理想的な隣人として、都合よく、エゴイスティックに描き出している。レビューでも散見される指摘は的を射ていると感じます。
ですが、結論から言えば私は終始涙を抑えられず、おそらく今年見た映画で一番泣いたと思います。それは、犬を飼っていた人、いやもしかしたら人類の本能を直接刺激して、感動させ上手く泣かせることに特化した内容だったからだと思う。犬を飼ったことのある人なら、且つ別れを経験したことのある人なら、誰だってこれは泣くし、誰だってこんなことがあればいいなーと夢想する。ある意味卑怯な作品、愛犬家にとってのポルノ作品、AVだと言っても良い。まあ、ある意味アニマルビデオだし。
そう言えば、短いチャプターで様々なシチュエーションを連続して見せていき、感動のヌキどころを作っていくスタイルもAVっぽいなーと思ったり。
批判っぽくもありますが、予告を見て、犬で泣きにいこうかな、という鑑賞動機を100%満たしてくれる作品であるのは間違いなく。愛犬家によるファンタジー映画と思って観る分には良いんじゃないでしょうか?
5年前に死んだ、猫のように自由で全然懐かなかった愛犬が、もしかしたら近所の野良猫として生まれ変わっているのかもしれないなと思う、そんな妄想を喚起させる作品でした。
コメントする