「.」スプリット 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅にて鑑賞。オープニングからいびつで異常な状況に放り込まれる。シンプルでク-ルなタイトルコール。終始、テンションを保ち続ける見せ方は流石だが、何よりも“ケビン・ウェンデル・クラム”のJ.マカヴォイの圧倒的な演技力に尽きる。どこか儚げ乍ら芯の強さも感じさせる“ケイシー・クック”のA.テイラー=ジョイも佳い。そして幾らネタバレ全開でも書くのが躊躇われるラスト。よく聴くとエンドロールで流れるナンバーは、監督のフィルモグラフィーにあるあの作品と同じである。監督の過去作を観ておく事を強くお薦めする。65/100点。
・本作を形成する潜在的なモチーフとして、精神疾患発症の要因の一つとも云われるネグレクト、DV、セクハラ等と云った現代的な社会問題がコミットされている。
・23に新たな一つを加えた24の人格と云うスペックが提示されるが、登場するのは半分以下でエンドロール時には8つのみに留まっている。そして解離性同一性障害(DID・多重人格障害)の最新研究結果の拡大解釈から、メンタル面だけでなく肉体的にも壁をよじ登ったり、弾丸のダメージが低減化したり、まるでスーパーマンの如く超人的に変貌するのは如何なものか。
・パソコン上に表示されるQuickTimeのファイル名は──「1_Barry」、「2_Jade」、「3_Orwell」、「4_Kevin」、「5_Heinrich」、「6_Norma」、「7_Goddard」、「8_Dennis」、「9_Hedwig」、「10_Bernice」、「11_Patricia」、「12_Polly」、「13_Luke」、「14_Rakel」、「15_Felida」、「16_Ansel」、「17_Jalin」、「18_Kat」、「19_B.T」、「20_Samuel」、「21_MaryReynolds」、「22_Ian」、「23_Mr.Pritchard」の23個である。
・オープニングのタイトルコール時、及び最後のスタッフロールは肝である人格の数──6列×4行=24(23+1)分割で表示されている。亦、オープニングクレジットやタイトルロゴのタイポグラフィはフォントの違いこそあれ、『10 クローバーフィールド・レーン('16)』のデザイン処理を想起した。
・本作の"Casey Cooke"は、『アンブレイカブル('00)』の"David Dunn"同様、『スパイダーマン('62~)』の"Peter Parker"、『超人ハルク('62~)』の"Bruce Banner"、『デアデビル('64~)』の"Matt Murdock"、『ファンタスティック・フォー('61~)』の"Reed Richards"、『スーパーマン('38~)』の"Lois Lane"・"Lex Luthor"等と同じくファーストネームとファミリーネームのイニシャルが揃っている。
・これ迄と同様、監督は本作でもB.バックリー演じるドクター“カレン・フレッチャー”のオフィスが在るマンションのファストフードを愛するコンシェルジュ“ジャイ”として自作に顔を出している。
・本作製作時から構想に有ったと云う続篇は、本作の興行的成功(監督としては五作目となる一億ドル越えのヒット)を受け"Glass"と云う仮題で、'19年1月18日リリースを目指し、現在製作中であると'17年4月26日にTwitterで明かした。この続篇のキャスト陣は、J.マカヴォイ、B.ウィリス、S.L.ジャクソン、A.テイラー=ジョイの続投が予定されている。
・鑑賞日:2017年10月1日(日)