劇場公開日 2017年7月29日

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「老いた野心家は厚かましく好機を逃さない」ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ 木神さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0老いた野心家は厚かましく好機を逃さない

2025年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

U-NEXTで観賞した実話ベース映画。
マクドナルド(以下MCD)の誕生経緯と如何にして生みの親から他人の手に落ちたかを描く。

無関係だった営業マン【レイ・クロック】(以下レイ)が事業への介入を契機に、一店舗に留まっていたMCDをアメリカ全土に広がる世界最大のファーストフード店へ展開、最後はMCD“本来”の創始者から経営権・店名・マークを奪取し“創始者”を名乗る。
そこに至る紆余曲折を見るとレイの一方的大悪党!とはならず『悪い奴だがしゃあない』に落ち着いたのは、ビジネスものの史実映画の主人公ってこんな連中でこういう結末ばっかだから。

それ抜きでも仕事の観点でみるとMCD創始者の兄弟(以下兄弟)は爪が甘く、MCD事業拡大にも非協力的で丸投げなうえ譲歩しないスタンスが招いた結末にも見えた。
主人公の提案全て『ノー』の一点張り、事情も汲まず代案も出さないは営業妨害そのもの、その状況下で全国展開させたのだから間違いなくレイの手腕だった…やり方はともかく。

結局、兄弟の経営理念とレイの野望が噛み合わなかったのが全てだが52歳の野心的なビジネスマン、それも売り上げが右肩下がりの製品を車に載せて営業する日々に嫌気がさしてた男にとってMCDの出会いはさぞビッグチャンスに写った事だろう、フランチャイズ計画を進めている時の仕事も私生活も好き放題してる様は“今この時が人生の最盛期”といった感じだ。

劇中レイは『鶏が先か卵が先か』の言葉を使ってた、これは今日のMCDを作ったのは提供システムを考案した兄弟(卵)なのか全国展開させたレイ(鶏)なのか、そういう風にも見て取ったがレイは“どちらが先”かの答えは出てた---成長させた方がエライという。

最後に見どころを挙げると序盤でのレイが兄弟の苦労話をレストランで聞いてる所、それ以外はビジネスの心構えだ、我が人生に役立つ瞬間は全くないけど。

木神