「老いた野心家は厚かましく好機を逃さない」ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ 木神さんの映画レビュー(感想・評価)
老いた野心家は厚かましく好機を逃さない
U-NEXTで観賞した実話ベース映画。
マクドナルド(以下MCD)の誕生経緯と如何にして他人の手に落ちたかを描く。
無関係だった営業マン【レイ・クロック】(以下レイ)が事業への介入を契機にMCDをアメリカ全土に広がる世界最大のファーストフード店へと成長させ、最後はMCD“本来”の創業者から経営権・店名・マークを奪取し“創業者”を名乗る。 生みの親にとってはロクデナシだが、そこに至る紆余曲折を見てるとレイは『悪い奴だがしゃあない』といった感じだ。 なにせビジネス系の史実映画では成功者はたいてい違法スレスレか違法をしまくり、クリエイターとビジネスマンはよく対立して決裂しがちだから。そんな訳で毒されてると感じつつも本作の結末はマシに思えた。
それ抜きでもマクドナルド兄弟(以下兄弟)は事業拡大にも非協力的で丸投げ&譲歩しないスタンスに加えて詰めの甘さが招いた結末に見えた。 レイの提案全て『ノー』の一点張り、事情も汲まず代案も出さないは営業妨害そのもの、この状況下で突破口を開拓して全国展開させたのだから間違いなくレイの手腕は“やり方はともかく”スゴイ。
結局、兄弟の経営理念とレイの野望が噛み合わなかったのが全てだが52歳(成功知らずの野心家)で売り上げが右肩下がりの製品を車に載せて営業する日々に嫌気がさしてた男にとってMCDの出会いはさぞビッグチャンスに写った事だろう、この男の“人生もbetする執念”を見誤った事も敗因の一つ。いずれにせよフランチャイズ計画進行中の仕事も私生活も好き放題してるレイの姿は“今この時こそ我が人生の最盛期”といった感じだった。
こうしてMCDの成り立ちを知った訳だが変わらずハンバーガーが喰いたくなったら足を運ぶんだろうなと。作り手の事情なんて買い手には関係ないってつくづく思う、あぁ無常。