「関東のマックか?関西のマクドか?金にモノ言わせるなら“アクド”だな・・・」ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
関東のマックか?関西のマクドか?金にモノ言わせるなら“アクド”だな・・・
天才であっても失敗はする。“根気”と“信念”、これがあれば必ずビジネスは成功する。冒頭のレイ・クロック(マイケル・キートン)の独白により、映画ではなく、新人研修か自己啓発セミナーに参加したかのような錯覚に陥る。営業マンであれば尚のこと、こまめに得意先に出向き、誠実に売り込みをかけることに共感できる序盤のレイの姿なのである。
1954年、一度にミルクシェイク・マシンの注文が1店舗で8台もあったことに驚き、カリフォルニアの片田舎でマクドナルド兄弟が経営する店を訪れたレイ。その革新的なスピード・サービス・システムに勝機を見出した52歳のレイは壮大なフランチャイズ・ビジネスを思いつき、兄弟と契約を結ぶ。次々とフランチャイズ化を成功させたレイは、やがて自らのハンバーガー帝国を築くために、兄弟との全面対決へと突き進んでいく。
1号店は自宅を抵当に入れて資金作り。徐々に資金繰りに困ることになったとき、自分で土地を買ってリースさせるという方法を伝授され、実行に移す。また、アイスクリームを保存する冷凍庫の電気代がかかり過ぎるということで、粉末のシェイクを使うことをアドバイスされる。ここでマクドナルド兄弟と対立。真面目な兄弟はあくまでも品質にこだわり、利益追求のレイには不信感を抱くだけとなっていったのだ。1959年には270万ドルで兄弟から商権を買い取るにまで至る。
人のいい、大人しいマクドナルド兄弟。兄のマック(ジョン・キャロル・リンチ)なんて糖尿病持ちで、レイとの確執を持った時には倒れて入院してしまうほどだ。自らの成功のためには鬼にでもなる商魂あふれる男とは対照的。レイのアメリカン・ドリームを具現化したサクセス・ストーリーとして見るもよし、マクドナルド兄弟の盛衰を味わうのもよし、資本主義経済の歪みがと評論するのもよし、といった作品。
『スーパーサイズ・ミー』を観た後にはしばらくハンバーガーを食べなかったものですが、マクドナルド兄弟を想いながらしみじみと味わってみたくなりました。30秒で出さなくてもいいから。