「40代のオッサンにとって今観るべき作品となっている(と思う)。」T2 トレインスポッティング ハルさんの映画レビュー(感想・評価)
40代のオッサンにとって今観るべき作品となっている(と思う)。
アーヴィン・ウェルシュの原作("Porno")が前エピソードの10年後を描いているのに対して今作は実世界の経年に合わせて20年後を描いている。ダニー・ボイルはあっさりと「原作はそんなに面白くなかった」と言ってしまっているので、映画として面白くするためには俳優たちの変化も最大限に反映させたものにしたいと考えたのだろう。その背景にある時代の変遷と現代のスコットランドの状況なども軽妙に絡ませた結果、その判断は成功していると思える。この年でさすがにもう前作のようなものは作れないよね、ということでもあるんだろう。
前作では主人公たちに寄り添うことは一切なかったのを記憶している。しかし今作では4人すべてに共感できることがある。そうなるといきおい楽しめるのは道理で、彼らをすでに知っているという前提があるとはいえ、今作では人物の描写が過不足なく書かれていて、そこも心地よい。前作では人物の内面の描写よりもトリップ感の表現に重きをおいていたし、ロンドンに行ってからのエピソードは取ってつけた感が強かった(編集のせいだろう)。しかし今作は破綻の無い本と編集で伏線などもちゃんとしている。今作の作りはその多くで前作を踏襲しているが、そのことでかえって時代の流れを感じさせているのも上手いと思う。それがつまらないと言われそうなトレスポではあるけれど、ダニー・ボイルが今更アレをやってもね。
オトコがひたすらダメでオンナがとにかくしっかりしているというのもいい。まあアイルランドやスコットランドを舞台にした作品では通底しているテーマではあるが。
ユニオニストが集まるパブのシーンが面白かったのであの歌詞と暗証番号の意味を知るために歴史を調べるハメに。ちなみに原作ではレンジャーズのシーズンチケットを持っているサポーターを標的にしていたが、同じことだ。
さらに20年後に続編があるのかどうか笑