「物語は……でも歌はとても良かった」グレイテスト・ショーマン ハシさんの映画レビュー(感想・評価)
物語は……でも歌はとても良かった
サーカスの団員らが思い思いに手足を伸ばし歌い叫ぶシーンは、なんてかっこいいんだろうと胸が熱くなったしとても楽しかった。
周りで観てきた人たちが「泣いた」と言うのもわかる。私も彼ら(団員たち)の歌とパフォーマンスに感動した。
ただ、ごめんなさい。作品全体を絶賛する気にはどうしてもなれませんでした。
序盤までは良かったんです。主人公が妻と家族へ純愛を貫き水漏れのする家で仲睦まじく夢を語るシーンは好きでした。あと、「ユニーク」と呼ばれる人たちの背中を押すところまで。
多少の小細工を抜きにしても、ユニークな彼らの持つ魅力や技量はどう見たってピカイチで、嘘じゃない。(っていうかあんなプロ並みの人たちよく集まったな。)それなのに主人公やサーカス自体を過剰に非難する人たちが多すぎた。
「公演中あんなに湧いてた観客の声は?あれ?」そこら辺から何やら違和感。
ストーリーとして、リーダーが道を外して後に改心して軌道修正、という結構定番な流れだっていうのは理解できるんだけど、それにしても中盤からの主人公の変貌ぶりよ……
余計に妻や団員、弟子の性格の良さや真っ当さが目立ったからそっちには感情移入できたけれども。
それに、団員たちがパーティーから閉め出されたとき私はとてもとても悲しくてしょうがなかった。人前に出ることを恐れていた団員たちの背中を押してくれた貴方はいずこへ…………(それも良心からじゃなさそうだったけど)
それでも主人公は見放されなかった。「貴方は私たちに居場所を与えてくれた(※ニュアンスです)」と周りは彼に寄り添った。子供たちも父親を嫌うことなく助言してくれたし、妻も歌で許してくれたし。もう、アンタ良い人たちに囲まれすぎだろ、ちゃんと感謝しなさいよ…………と呆れ気味で観てました。
これ、主人公が団員とかだったらまた違ってきたんだろうなあ。
とにかく、俳優女優さんたちはみんな素晴らしく、さすがの演技と歌唱力で惹き込まれたけど、物語に惹き込まれることはありませんでした。
これを…絶賛…?と疑問に思いながらここのレビューを見たら同じく違和感を覚えた方が結構居て少しホッとしました。そういう事のためにレビュー見るもんじゃないんですけど笑
初めてのレビューでこんな長々とモヤモヤな気持ちを語るとは……失礼致しました。
「ユニーク」な団員たち、そして彼らの歌とパフォーマンスはとても良かったです