「グレイテスト・ビジネスマンのほうがしっくりくる」グレイテスト・ショーマン ジルドレエさんの映画レビュー(感想・評価)
グレイテスト・ビジネスマンのほうがしっくりくる
簡潔に言うととってもゴージャスなミュージックビデオ。
ストーリーは観客が置いてきぼりを食らったまま、トントン拍子でショーが成功していつの間にか挫折を味わってその挫折で成功に目が眩んで大切なものを見失うのはいけないというのに気付くという作品
もちろんミュージカル映画の醍醐味はキャストの歌とダンスであることは分かっている。
自分もそのシーンで昂るタイプだと思っている。
歌とダンスはとても素敵だった。歌とダンスにステータスを振ってしまってストーリーが追いついていないと感じた。
それも踏まえて『ショー』だったのかなと思ってしまう作品だった。
主人公に感情移入が出来にくいのが原因の一つと考えられる。
主人公は貧乏の生まれという設定だが、正直それで不幸だ…という感じもあまりしないのだ。途中親を無くして生活に困りパンを盗むシーンもあまりにもあっという間すぎて、墓参りしてちょっと血迷ってパン盗んだのかな?と思うほど軽い描写であった。
レミゼのときのパン盗んで囚人になったヒュージャックマンは悲壮感と重厚感に満ち溢れていたのに…
仕立て屋の息子で親を亡くして必死に仕事を頑張り幼い頃仕立てに行った身分の違う良家の家のお嬢さんとめでたく結婚出来るというストーリー。 これを数分で終わらせてしまったのが感情移入出来ない大いな原因だと思う。これだけでも色々なドラマがあったはずだ
この映画の評価でメッセージが伝わりやすい!というのがあるが、実際ショーの一連のストーリーが無くても良家のお嬢さんと結婚し貧しくとも幸せに暮らしました…endでも足ることを知る、欲深く求めすぎてはいけない、人を大切にというメッセージは伝えることは一応出来るのだ。
途中手に入れた船舶証明書も上手い具合に伏線になるのかなぁと期待したものの、お金を借りるためだけのものになってしまったり…
そもそも博物館を自営でいきなり始めたのも謎だし、そこからいきなりショーに方向転換したのも納得いく説明が無かった…。
主人公は突飛なアイデアマンだというのは分かったが主人公の目的が見えにくいのだ。
立派なショーのプロデューサーになりたい!みたいのも特にないので観客としては応援する機会がないのと、それならそれで何が何でも金が必要で稼いでやる!っていう感じに振り切っていればもっと応援出来たかもしれない。
せっかくの妻の金持ちの両親を自分が成功したことで見返そうとする?シーンも別に妻の両親にめちゃくちゃになけなしにされた経験もないのにそこまで執着する必要なくないか?と思ってしまった。
(幼い妻を笑わせて一回ほっぺ叩かれたけど)
マイノリティを乗り越えショーデビューを果たしたシーンも喝采で終わり、フィリップの恋の行方もキスで終わり、出てけと叫ぶ街の人達とはケンカと火事で終わり何一つ解決してないじゃないか! 人種を乗り越えた和解をしっかり見たかったなぁという願望もあります。
といいつつ、サントラ聞いて楽しんでます
でもキャストさんの歌は本当に良いもの聴けたなぁと思うのでストーリーに不満が残るものの歌、ダンスを楽しみたい人にはオススメな作品なのかなぁと思います。