「前例の無い“地上最大のショウ”に我々は魅了され続ける」グレイテスト・ショーマン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
前例の無い“地上最大のショウ”に我々は魅了され続ける
私事で久々の劇場鑑賞。いつも通ってる馴染みの劇場が新鮮に感じた。
また、作品も劇場で見るに相応しいエンターテイメント・ミュージカル・ショーであった。
アメリカでOP成績は不発だったものの、その後驚異のロングヒットになったのも、この楽しさだからだろう。
サーカスの原型となるショー・ビジネスの礎を築いた興行主P・T・バーナムの実話に基づくミュージカル。
レビューはほとんど絶賛で溢れていて、勿論それは充分分かるが、ちょっと気になってた点が。
と言うのも、バーナムはいわゆる“フリークス・ショー”の興行主としても有名。
エンターテイメントに徹する余り、それらはカットされるんじゃないかと危惧したが、ちゃんと触れられていて一安心。寧ろ、重要なポイントの一つでもある。
バーナムがスカウトしたのは、小人、髭の濃い女、毛むくじゃらの男、巨人、巨漢、有色人種などなど、社会から疎外されている人々。
彼らをショーに出演させる。
見世物と思われても仕方ない。
興行の為の金目的だったかもしれない。
が、社会から隠されるように生き、日陰の存在だった彼らが、初めて日の目を見る。その圧巻のパフォーマンス!
普通の人と違う、ヘン…なんかじゃない。個性。
差別・偏見を、歌って踊って、跳ね飛ばせ!
アメリカでヒットした理由もそれかもしれない。
本格的なフリークス・ショーを期待してる人には大いなる期待外れだが、実在の人物を題材に、メッセージ性のあるミュージカルになっている。
ストーリーそのものはツボを抑えているものの、少々平凡か。
ゼロからスタートし、成功を収め、その成功をさらに追い求める余り本当に大事なものを忘れ、再びどん底へ…。
家族愛とか仲間との絆とか、ちと描かれ方はステレオタイプ。
ある時バーナムは女性オペラ歌手の歌に惚れ、彼女と共に興行ツアーへ。家族やサーカスの仲間を置いて…。
バーナムの傲慢な部分も少なからず描かれてはいるが、もうちょっと深く描かれていればドラマとしてもよりメリハリ付いただけに惜しい。
しかし、夢を諦めない姿や、全てを失ってからの再スタートなどは非常にストレート。
それを盛り上げる歌やパフォーマンスが素晴らしい。
ヒュー・ジャックマンはもうさすがとしか言い様のないミュージカル・スターっぷり。
同じくミュージカル出身のザック・エフロンも下手な青春ラブやコメディやるより実に生き生きしている。
『ラ・ラ・ランド』の音楽コンビによる数々のオリジナル楽曲がどれも素晴らしく、お気に入りが一つに選べない。
本作もまた、前例の無い事を成し遂げた者の話。
誰も見た事無いものを見せる。
その新鮮さ、ワクワクこそ、本当の“地上最大のショウ”。
飽くなき姿、圧巻のショーに我々は魅了され続ける。