「「キングスマン」ファンは前作の何が好きなのか?前作の致命的欠点を補った本作をおっさんはこう見た!」キングスマン ゴールデン・サークル しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
「キングスマン」ファンは前作の何が好きなのか?前作の致命的欠点を補った本作をおっさんはこう見た!
「『キングスマン』最高!!」
君たちは前作「キングスマン」の何を評価しているのか?なぜ「キングスマン」が好きなのか?実はこれを言えるひとは結構少ない。
「アクションがすごい!」
・・・正気を失った「紳士」コリン・ファースが髪を振り乱してのダサイアクションの、どこがかっこいい?
「敵ガゼルがかっこいい」
・・・出オチ。結局全然弱かった。
「威風堂々のシーンがいい」
・・・あの表現で高揚する気がしれない。
結局
「コリンン・ファースがかっこよかった。」
・・・その通り!
「マーク・ストロングがかっこよかった。」
・・・その通り!
それだけの映画なのだ。
ただ、コリン・ファースがかっこいい、と言っているくせに、あの教会のアクションがかっこいい、ってどういうことよ?
コリン・ファースの復活を伏せたほうがイイというバカな戦略はあり得ない。コリン・ファースがいないと「キングスマン」ではないからだ。エグジーの成長や、女スパイや犬ころの存在などどうでもいい。
自分でネタバレしていることすら気付かない、気持ち悪い常連レビュアーのクソみたいなレビューに驚きを隠せない。
「キングスマン ゴールデン・サークル」
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逆を言うと、コリン・ファースさえいれば「キングスマン」なのだ。
という前提を踏まえて言うと、本作は明らかに前作の欠点を補ってきた傑作である。
まず「007」のパロディという観点からすると、今回も仲間の登場は極力抑え、必要のない存在はさっさと消去する。かといって「必要な存在」については、いかようにでも復活させる。
マーク・ストロングのスーツ姿が本作の最大の見せ場の一つであることは間違いなく、「念願」のスーツ姿をお披露目した十数分後には、あっさりと退場させる。
主要人物を殺しすぎ、というまえに、なぜマーリンのスーツ姿に拍手喝さいをしないのか?
もちろん、マーリンの現場参戦はあり得ず、「退場させるべき」存在であるのも本シリーズでは鉄則。役割としては、本作で最もアガるであろう、ハリーとエグジーの共闘を邪魔しない必要があるからだ。だからと言って、見せ場なく、退場させるわけにもいかない。
その退場時の「カントリーロード」だが、これはマーリンの「英国」への望郷ではない。またマーリンがカントリーロードが好き、という設定も実はどうでもいい設定。
前作の「ぐっとくるであろうシーン」にどうでもいい「威風堂々」をあてがったように「カントリーロード」に意味はまるでない。同じようなテンションで使われただけ。「古き良きアメリカ」、「今のアメリカへの風刺」とかバカじゃないか。
マーリン退場自体はしょせん、その程度のもの。
だが、次作必ず帰ってくる。その伏線は、本作の「義手」と「犬」にある。「義足」から「義手」という短絡的発想もバカ映画としてはそれでいい。
ハリーとエグジーの共闘アクションも、とにかくハリーが乱れていないのがいい。紳士たるもの、アクションもクールに。前作のクソみたいな教会のアクションシーンからの見事な反省。
敵役についても、前作のサミュエルよりはるかに007らしい。ミンチ機なんてその最もたるもの。ストーリーもエグジーの成長譚でなく、ドラッグの現状を分かりやすくカリカチュアしたもので好感。
もちろん、欠点としては、ステイツマンがゴールデン・サークルの存在を知らない、ステイツマンがこれまで何をしてきた組織なのか、まるで分らないということがあるが、まあ、キングスマンも似たようなものだからこれには目を瞑ろう。
追記
チャニング・テイタム。ダンスさせるだけの登場。