ドリームのレビュー・感想・評価
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差別と偏見を無くすための戦い方とは
黒人であること、そして女性であること
二重に差別され文字通り地下室に押し込められた存在
宇宙計画の裏側を描きつつ、黒人の公民権運動が盛り上がろうとする60年代始めの黒人社会も活写する
音楽は全てR&Bだ
もちろん本作は映画「ライトスタッフ」と対をなす
それを観ていれば本作をより一層楽しめるのは間違いない
しかし本当に対になっているのは映画「マルコムX」では無いだろうか?
差別に対して不当であると主張することは正しい
しかし、正しいことを正しいと声高に怒鳴り回るだけで差別は解消されるのか?
暴力で差別や偏見をなくす事ができるのか?
そんなわけはない
暴力は暴力の連鎖を生み、攻撃的な言説は反発を生み差別と偏見を見えないように隠して陰湿にするだけだ
本作の三人の黒人女性は差別と偏見を無くす為に戦う
それは暴力でも攻撃的な言論でもなく、仕事の能力によって戦い正しい評価を勝ち取るのだ
数字には差別や偏見は無いのだ
宇宙開発もジムの仕事である軍も実力だけがものをいう世界なのだ
それゆえにジムは自分の過ちにすぐに気がつくことができたのだ
仕事を前に進める事のできる推進力という指導力は差別や偏見などに価値を認めない度量を求めるのだ
漫然と被差別者であると嘆き、他者を批判するだけでは何も解決はしない
差別と偏見に勝つには努力して能力で圧倒し尊敬を勝ち取ることが必要なのだ
これが本作のテーマなのだ
AIによってホワイトカラーは、本作の計算係のように解雇される時代がまもなく訪れようとしている
本作の黒人女性達のように勝ち残るために今何をすべきなのかも考えさせられた
素晴らしい映画だ
スカッとする作品
一言で言うとスカッとする作品。
気分よく映画館を後に出来る作品だ。
人種差別が顕著な時代に、天才的な数学者キャサリンをはじめとする、優秀な3人の黒人女性の直向さや頑張りに、感情移入もさせられるし、とにかく応援したくなる。
実話だから最後はめでたしめでたしで終わるのは予定通りだが、あまりメリハリが無く淡々と終わった感じ。
クライマックスはもう少し緊張感を味わいたいかな。
あとは登場人物が結局は皆いい人ばかりで、強烈ないじめや嫌がらせのシーンがないので安心して観ていられるが、その分どこか物足りなさも感じる。
ケビン・コスナーは漢前な本部長役がよく似合う。
うん、カッコイイ。
家族で楽しめるのはもちろん、若い子たちにもぜひ観てもらいた作品だ。
拳を握り応援したくなる。気持ち良いサクセスストーリー
着眼点がすばらしい。
着眼点がすばらしい。一つのストーリーで複数のテーマを提示し、なおかつ散漫な印象はない。
マイノリティ、ジェンダーを主にした差別問題を扱う一方、NASAという組織内での痛快なサクセスストーリー、そして有人宇宙飛行の成功という史実、ロマンを描いてもいる。
これは、鬼シナリオ。着想はどこが出発だったのだろう。これだけテーマを多く含んだ素材はめずらしい。奇跡的といえる。
複雑でデリケートな問題を明るく描いている点も良い。表現しにくいところを黒人女性の日常目線で、さらっと提示してみせる。背景の違いはあるが、「それでも夜は明ける」より全然受け入れやすい。
愛嬌のあるキャスティングもグッド。これはかなりの良作でした。
すごく評判よかったけど…
黒人もの、LGBTもの、女性差別もの、今までマイノリティに対する人権意識向上作品を散々見てきたので、物語の展開的にはさほど目新しくもなく、オチが読めた点では、ややエンタメ性には欠けました。
今の時代じゃ考えられないような人権無視は珍しくなかったでしょうが、この作品が他の作品と違うのは、出てくる黒人女性たちがとんでもなく頭がよいこと。
まともな教育が受けられず、親の収入では高等教育を与えられなかったろう時代にあんなに優秀な黒人女性が存在したのがそもそも奇跡的なこと。そして、その時代の黒人女性たちにとっては、誰にも負けない知性があれば、差別を受けずに生きられたという事実。
…だから親や先生は勉強しろと言うのです。自分だって勉強が好きじゃなかった学生時代を送ったくせに(笑)。
でも、勉強っていうのはなかなか平等な気がします。ルックスとか運動神経とか肌の色とか、生まれつきどうしようもない遺伝子レベルの差異ではなく、努力でいくらでも上を目指せるというのは、たしかに夢がありますよね。自分も数学できたら、世界が違ったかもしれないな。
ちなみに原題にあるfigureという単語には「人物」という意味と「数字」という意味があります。黒人女性という「意図的に隠された人」というニュアンスと「コンピュータによってはじき出された計算の裏に潜んでいる、優秀な人物の正確な数値」というダブルミーニングが潜んでいる点でも、こんな陳腐な邦題にガッカリせざるを得ません。
差別って、する意味なくない?
邦題は『ドリームガールズ』に影響されたためか?
冷戦下、アメリカとソ連の宇宙開発競争が熾烈となっていた1961年。人類発の有人宇宙飛行士ガガーリンのニュースを見て焦るアメリカ!といった時代。バージニア州にあるNASA最古の研究施設ラングレー研究所において、計算手として黒人女性の仲良し3人組、キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)、ドロシー(オクタヴィア・スペンサー)、メアリー(ジャネール・モネイ)が働いていた。西計算グループという黒人女性ばかりが集まる部署であったが、図らずもキャサリンが宇宙特別研究本部で初の黒人でしかも女性スタッフに抜擢された。
まだ黒人差別のあった時代。トイレも白人専用と有色人種専用に分けられていて、キャサリンが働くことになった棟には有色人種専用トイレがなかったのだ。そのため800メートル離れた棟にまで行かねばならないキャサリン。それに気付いた上司のハリソン(ケヴィン・コスナー)がトイレの差別表示板をぶち壊す。いい役を演じているコスナーを見たのは久しぶりだ。
ドロシーは管理職希望だったが、上司のミッチェル(キルステン・ダンスト)にあっさり却下される。しかし、IBMコンピューターが導入されることになって、扱える者がいないため、自らフォートランというプログラミング言語を学び、部下たちを率いてコンピューターに精通することになる。また、メアリーはエンジニア志望だったが、白人専用の学校の単位が必要なため、裁判に訴えることになる。
NASAの職員たちはそれほどでもないものの黒人冷遇の時代。体制をぶち壊そうとするわけでもなく、地道に努力をして評価される女性たちの姿が真摯に描かれていました。特に痛快だったのは判事に食って掛かるメアリーのシーン。バージニア州にはバージニア州の法律があるというアメリカ南部の特徴も思い知らされました。誰かが壁を破らなければ、発展しないものですよね。
やがてアポロ計画へと繋がる彼女たちの功績は見ていてさわやかに映り、実話であることの重みも感じられます。ロケットやケネディ大統領、キング牧師など実際の映像を上手く取り入れ、それがストーリーの邪魔することなく自然に描かれてるのもいい。ホロっと涙が出たのはプロポーズシーンでしたが・・・
こんなお膳立てされりゃ感動する
「ジャンゴ」に通ずる痛快作
ここまで人種差別が露骨にされてる時代とは意外。
トイレも、ポットも、バスの座席も、図書館まで、白人とそれ以外の人種で別という、アメリカでも特に差別が厳しい南部だからなのかもしれないが、60年代でもまだこんな人権意識が低いのかと驚く。
それを大前提に、NASAで働く3人の正に下剋上は痛快。
メアリーが判事に告げた、「私が最初の女性になります」このセリフは時代の幕開けを目の当たりにした気がして震えた。
キャサリンがトイレに行く様子を端折らずわざわざ見せるのも演出として良いし、そのキャサリンの小走りが面白い。
「IBM」ってそういう由来なのね、と勉強。
今は中国傘下。
「ジャンゴ」は力技で白人をねじ伏せていくが、これは数字や知識、そして少しの勇気で革命を起こしていく。
「ムーンライト」「それでも夜は明ける」とか人種差別を大上段に構えた作品も悪くないが少し重たい。これや「ジャンゴ」は差別を前提にしながら見事に一件落着させる。しかも「ドリーム」は実話ベースだから尚凄い。
ケビンコスナーがいい味出してます。彼はダスティンホフマンみたいになってきましたね
終始流れるファレルウィリアムズの音楽も最初はノイズだったが、終わるころにはサントラ欲しくなってた。
諦めずにひたすら仕事にかける情熱が素晴らしい
はぁースカッとした
Hidden Figures
シェルドンが出てるけど宇宙飛行士はハワードじゃないよ
行動しなければ何も変わらない!
レンタルDVDで鑑賞(吹替)。
1960年代、ソ連と宇宙技術を競い合っていたアメリカが進めていた「マーキュリー計画」の成功を影から支えた、3人の黒人女性の知られざる実話とのこと。
黒人と白人とでトイレやバスの座席、水飲み場まで分かれていた当時のアメリカの世相を考えると、とても進歩的な出来事が起きていたことに驚きました。しかも、その中心を担っていたのが女性たちだったと云うことにも…
「黒人だから」と云う理由だけで理不尽な差別を受けて来た彼女たちでしたが、自分の能力を最大限に発揮して、周囲の偏見を吹き飛ばす活躍を見せてくれるのが痛快でした。
キャサリンの必死の訴えを聴いてすぐさま意識改革し、黒人用トイレの看板を剥ぎ取るケヴィン・コスナーのような人が生まれたことに、大きな意義があるように思いました。
周囲の空気感や慣例に一度染まってしまったら、そこから抜け出すことは容易ではありませんから…
IBMの導入によって自分たちの存在が危ぶまれても、その使い方をいち早く習得して、新しいことに順応していった姿を見習いたい…。逞しささえ感じさせる彼女たちの行動力の源とは、偏見を恐れず、自らが道を切り拓いていこうとする強い気概に満ちた心の持ち様だと思いました。
黒人だからなんだ、女だからなんだ、、、
ただ待っているだけでは変化は訪れない。夢を叶えるなんて到底出来っこない。何も変わらないのならば、自分自身がパイオニアとなって前例をつくるだけ…
人間が本来持っているはずの強さと勇気に溢れていて、生きる活力が湧いて来るような高揚を感じました。
[余談]
「あなたを差別しているわけではないの」と言うキルスティン・ダンストに対して、ドロシーが応えたセリフ(ええ、知ってます。あなたがそう自分で思っていることはね)にハッとさせられました。これこそが差別の本質かもなぁ、と…
意識の奥底にはあるはずなのに、「そう云うわけではない」と言い訳して、自分を誤魔化して、知らない内に誰かを傷つけてしまっていないかどうか、考えさせられました。
※修正(2022/09/14)
前向き
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