劇場公開日 2017年9月29日

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「妬みも焦りも苛立ちもエネルギーに変える3人が素敵!」ドリーム 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5妬みも焦りも苛立ちもエネルギーに変える3人が素敵!

2018年3月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

NASAで働く黒人女性3人が根強く残る人種差別と性差別に負けじと努力を積み重ね続け、アメリカ初の有人宇宙飛行計画を陰ながら支えて夢を掴んでゆくドラマ。
原題の『Hidden Figures(隠された人々)』が本当にセンスいいですね。邦題が『ドリーム 私たちのアポロ計画』って…アポロチョコ発売記念かよ……いやはやしかし、邦題はレビューとは関係ない。たとえどんなに酷くて映画の価値が損なわ(以下略)。

天才的に数字の"先を読む"計算係キャサリンが主人公と、後々NASAで黒人初の女性管理職になった友人と男顔負けに技術者となり功績を残す友人の互いに切磋琢磨していく関係性にただただ憧れる。愚痴は聞くが甘やかすでもなく背中を押し合い成長していける関係…貴重過ぎるでしょ!!夢を追う者同士1人が成功に近づくと焦ったり妬んだりしてしまうものだけれど、彼女達はそれを互いにアッサリ吐露する事により明るく前進するエネルギーに変えていけたのでは、と思った。カッコイィ…。
キャサリンの職場では彼女の仕事ぶりが認められても最後まで全体の雰囲気が変わる事はないんだけど(あくまで女性差別が強かった)、そのぶん認められないが最早彼女の計算の早さについていけなくてたじろぐポールがちょっと可愛く見えてしまう罠。本部長ケビン・コスナーは良い役どころだった。トイレの看板を叩き壊すところなんて最高にセクシーな上司じゃないですか!くぅ~。プレゼントの発案とか不器用すぎかよ!!かわいい。
まだ降り立ったことのない宇宙という夢を追うNASAの仕事は、不確定な要素が多すぎてまるでお役所仕事。必要なければ人も予算も切り捨てられ、日々、同じ技術を追うロシアに後れを取れないプレッシャーとの戦い。ただでさえ厳しい世界で、女性であり黒人であるという不利な環境の中でも誇りを持って夢を追い続ける3人の姿は心を打たれるものがある。自分も何かを極めて人に認められたいって思っちゃうよね。

アカデミー3部門ノミネートに相応しい1本。心が折れそうな時にまた観たい。

幸ぴこ