「彼女たちには夢がある」ドリーム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
彼女たちには夢がある
評判違わず!
『ヘルプ』『42』『大統領の執事の涙』…これらの作品が好きな人にはドンピシャ!
いや、もっともっと、多くの人に愛される好編!
60年代、NASA初期の宇宙開発計画の逸話。
まだまだ優れたコンピュータなど無く、軌道や着水などの計算は人の頭で行われ、それを支えた人物にスポットが当てられている。
まさに縁の下の力持ち! この貢献が無かったら、ソ連との宇宙開発競争にもっと遅れていたかもしれない。
が、ずっと厳しい立場に居た。
何故なら、黒人で、女性だったから…。
人種差別根強い60年代。
圧倒的に白人男性社会である当時のNASA。
そんな偏見に満ちた世界へ飛び込んだ黒人女性たち。
新たな部署へ異動になって部屋に入って来ただけで白い目で見られる。
トイレやコーヒーポットが白人/非白人で分けられているなんて当たり前。
昇進は阻まれる。
資格を取ろうにも、必要な学校に行けない。
冒頭、エンストを起こして修理してるだけで警官に職質される。
自分だったらストレスで疲れ、倒れているだろう。
しかし!
彼女たちは逞しい。明るく、前向き。
仕事ぶりは目を見張るほど。
コツコツコツコツコツコツやっていれば、誰もがその才能を認めざるを得なくなる。
努力・実力によって周囲の信頼を勝ち得ていく様が痛快!
才能や努力や実力に、肌の色や性別は関係ない。
彼女たちの存在が周囲の考えを変えていく。
時々、数十分も居なくなる事がある。遠く離れた非白人トイレに行っているから。初めて職場の劣悪な現状を涙ながらに訴えるシーンに胸打たれた。
上司がポットの非白人専用ラベルを剥がし、トイレの白人専用の看板を壊すシーンにも胸打たれた。
とあるコンピュータが導入されるも、扱える人が居ない。彼女たちが抜擢されるシーンが何とも「やりぃ!」な気分に。
そのコンピュータによって、いわゆる“計算係”はお払い箱になるも、打ち上げ当日に予期せぬ事態が。コンピュータのまさかのミス。そんな時、頼りになり、必要なのは…!
胸打つシーンやスカッとするシーンがツボを抑えて描かれる。
人種問題や男女差別が絡み、NASAのちと小難しい専門知識や用語はあっても、作品はライトなエンターテイメント。
演出も展開も軽快で、ユーモア挟み、楽曲もノリノリ。
タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、メイン3人が快演! やはりこの魅力が非常に大きい。
ケヴィン・コスナー演じる上司がカッコいい。キャリアでもベスト級の名演!
全く前例の無い事を成し遂げた彼女たち。
前例が無いのならば、前例になればいい。
その勇気、実行力。
自ら現状を変え、切り開く。
彼女たちには夢があった。
本当に、いい作品であった。