「軽快なサクセス・ストーリー」ドリーム 猫シャチさんの映画レビュー(感想・評価)
軽快なサクセス・ストーリー
人種差別や性差別を扱ってはいますが、作品の本質はアメリカの有人宇宙飛行計画の影の立役者を称える事にあるためか、重苦しいドラマにはせず、アメリカ映画らしい、シンプルなサクセス・ストーリーに落とし込んであります。
全編に渡って軽快なタッチで語られるため、"さほどシリアスな話にはならないだろう"事が予想でき、安心して見られる反面、映画としての深みを求める向きには少々物足りないかも知れません。同じくマーキュリー計画(有人宇宙飛行計画)を描いた「ライトスタッフ」には、着水時のトラブルでケチをつけられたガス・グリスムのくだりや、宇宙へ上がらず超音速に挑み続けたチャック・イェーガーの苦味のあるエピソードが挿入され作品に深みを与えていましたが、本作では3人とも成功を収めるため、エンタメ志向が前面に出ておりドラマとしては浅い印象も受けます(・・成功する事自体は実話なので仕方ないのですが)。
個人的にはもう少しコメディとして突き抜けるか、あるいは逆にシリアスな内面のドラマに寄せるかしても良かったかなーと思いました。
この映画、本来はアメリカ国民のための、割とドメスティックな映画かと思いますが、多感な時期にマーキュリー計画やケネディ大統領を見ていた日本の団塊の世代にも刺さりそうです。そういう意味では、見る世代によって感じ方が変わるだろうなという印象を受けました。
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