三度目の殺人のレビュー・感想・評価
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悪意
現実なのか虚構なのかメタ的描写が挿入され、変化する証言や登場人物の心情の変遷に加え、計算され尽くしたタイミングで明らかになる新事実に観客も混乱をきたす。
結局、実際の犯罪においても目撃証言が無い限りは真実は藪の中…ということなのか。
だとしたらこの作品は相当に監督の悪意が込められている。
技術的にはいつもの是枝タッチだと思うが、観ている我々が迷い考えてしまうようなミスリードが意図的には仕込まれているので、ハッキリ言って胸糞悪い。
反面、叙情的タッチを維持しつつもこれまでとは全く異なる印象を受ける作品に仕上がっていたので、いよいよ是枝監督も更に高い次元へと足を踏み入れたのではないか。
次の是枝作品を待つだけで幸せ。
もやもや
個人的には、結論を観客に委ねる映画は好きではない。主人公の重盛の「もやもや」と同じ「もやもや」を持ってしまった。
そして、三度目の殺人とは、死刑宣告のことを指しているのだろうか?
分かりにくい…。
内容としても、あまり抑揚がなく進み、途中で眠くなったのも事実。
そして一番謎だったのは、勝ちにこだわってビジネスライクな弁護士がなぜ、弁護人になったのか?
犯人は財産なんてないんだから、おそらくは、国選弁護人なんだろうけど、そうなると、摂津が国選弁護人であるわけで、手伝いは認めるとしても、法廷でしゃべるのは、摂津がするべきでは?
結局、設定で躓いているよね…。
また、普通、勝ちに拘るのなら、当然、上告するんだよね?
私はやってません。だけど、死刑です。はい。そうですか…にはならないよね…。
だから、余計にもやもや…。
号泣そして、戦慄
これは、紛れもないミステリ。ラスト数分で、それまでの景色が一変し、伏線が一気に回収される。そして、つらい動機。涙が止まらず、帰り道、今度は震えが止まらない。こういう動機が出てくるということは、多分長い間、監督自身、鬱々とした時期があったのだろう。「藪の中」の意図も十分成功している。しかし、欲を言えば、ラストの一言、決めゼリフだが、唐突感が否めない。「藪の中」性は、終始セリフで一生懸命説明しているが、ドラマとしてそれほど立ち上がってこず、ラストでやっと、「藪の中」がはっきりと、浮き上がる。そういう意味では伏線の回収なのだが、もっと、ドラマとして、途中の段階ではっきりと「藪の中」性を、描くべきだった。もうひとつ主人公の成長。冷静、合理主義者の福山雅治の弁護士が、終盤で突然、共感的人間に変身する感じがぬぐえない。もっと、心理の変遷を丁寧に、緩やかに描いてほしかった。よって、マイナス0.5。
素晴らしい。
初日に鑑賞。
とても重く心に残る作品でした。
観る者に解釈を委ねる作品で、とても考えさせられたし、いまだ悶々としています。
次に観た時にはまた違った解釈が出来るのか…?という思いから、もう一度観たくてたまりません(笑)
キャストも素晴らしかったです。
淡々と進んでいく作品でしたが、とても強く余韻が残りました。
また観に行きます。
3日は悶々とする映画
ここ数年で一番の映画。
とにかく役所広司が凄い。接見室という動きのないシーンが多いのに、一瞬たりとも目が離せない緊迫感を持つ映画。
「真実」は明らかにされず、張られた数々の伏線も、回収されないまま。
この物語での「真実」など、しょせんは犯人しか知らない、という現実そのままの"真実"を弁護士の重盛と同じように観客も思い知らされる。
そして咲江の「誰を裁くのかは、誰が決めるんですか?」というセリフがこの映画のメインテーマなのだろうけど…
観賞後、明かされない真実を悶々と考え続ける映画だな、これは。
「三度目の」というタイトルの意味を考えると、「真実」は2~3の候補に絞られるのだけど、故意にその中のどれかを決められない描かれ方をされている。
撮影に入ってからも何度も改稿されたというシナリオに、一分の隙もないから、狙い通りに悶々とさせられる映画に仕上がったのだろうな。
映像も素晴らしい。
終盤、重盛の顔を接見室のアクリル板に鏡のように反射させることによって、対面する重盛と三隅を同時に見せる撮り方、接見室や法廷の印象的な光の使い方、特に三隅や咲江への光の当て方、いずれも「映像」というものを知り尽くした人たちが知恵を振り絞って表現しようとする迫力を感じる。
「海街diary」で是枝監督ってなんて繊細な映像を撮る人だ、と思ったが、本作ではさらに映像から目が離せなくなっている。(撮影の瀧本幹也の力量も大きいのだろうが)
役者も役所広司だけでなく、みな素晴らしかった。
広瀬すずは、観客の判断を迷わせるという意味で、監督の狙いどおりの絶妙の演技。
福山雅治も、他の映画では失礼ながら何を演じても「福山雅治」にしか見えなかったのだけど、「そして父になる」と本作では「良い役者じゃん」と素直に思える。
木村拓哉も、是枝作品に出れば、ちゃんと「役者」になれるのだろうか…?(笑)
ちょっと見てみたいかも(笑)
なんともいえない。
是枝裕和オリジナルのミステリーは、やはり一筋縄ではいかなかった。
冒頭、三隅(役所広司)が殺人を実行するところから始まるので、彼が犯人だということは疑いのない事実として提示される。
単純な事件と思われた本件、弁護にあたった重盛(福山雅治)は無期懲役に減刑することをめざす。
ところが、三隅の供述が要領をえない。
結論からいうと、三隅は相当頭をフル回転させて重盛との接見に臨んでいた。
弁護士たちの質問に答えるだけなのだが、どうすればいいか、常に考えて話している。
映画で示されたストーリーラインは、役所広司の芝居に対して相当浅いものになっている。むろん三隅はなにも認めていないので、このストーリーラインが真実かどうかはわからない。
それだけ役所広司はすごいということだ。
昔、「CURE」(黒沢清監督)で萩原聖人に翻弄されたそのリベンジを果たした格好だ。
。。。なにをどう言っても陳腐にしかならない。
やはり一筋縄ではいかない。
それぞれの心の闇に
最初から最後まで物静かなモノトーンな映像と語り口で綴られていくイヤミスな法廷ムービー。
犯人・役所が抱えた心の闇に翻弄される弁護士・福山。その葛藤の狭間に立ち、このストーリーの中で救われたのはいったい誰だったのだろう?
そして三度目の殺人の意味するところは何なんだろう?
とても深い心の闇を、お互いに封印し合って成り立つ社会への警告にも感じる作品。いったいラストをどう捉えたらいいのか…真犯人は…?
いろいろ考えさせられる作品でした。
違う周波数
果たして、
どちらが、
裁き、裁かれているのか。
救い、救われているのか。
問い、問われているのか。
その境界線が曖昧になっていく。
その曖昧さに絡め取られた途端、
別の次元の本質の気配がする。
見事な演出でした。
出演者が病的
ストーリーに起承転結が一切なくてガッカリしました。
役所さんの証言にここまで振り回されるのは不自然です、そして結局は死刑判決。
うつ病させたら宮沢りえ、篠原涼子、斎藤由貴と言われる通りで斎藤由貴の演技秀逸。
広瀬すずも上手い。
吉田コウタロウさんが感情を出していない。ちょいやめのキレっぷりが封印されていてガッカリ。
満島さんは弁護士の冷静さがなくて完全アシスタント状態で少しで良いから思いつく直感を感じる演技して欲しかった。
結局、答えは何だったのか?
ストレスな映画です。
さらに配給会社関係者のステマが多いですね、ガッカリです
深すぎる
すごい作品だった。
凄く静かで周りの人の呼吸音聞こえてた。
でも描写が凄くて言葉がなくても役者陣の心情が伝わってくる。
そして役所さんを筆頭に役者陣の演技が凄すぎた。
ん〜映画が終わった後のこのモヤモヤ。
見る人によって考え違うんだろうな。
(1人で見たから他の人と話し合えないのが悲しい‥)
真実とはなにかってのを重点に、なんでなんで?って予想しながら見れて飽きなかった
終わった後のモヤっとした感じはこの作品のいいとこでもあり、味だと思う。
下手なハッピーエンドより、こういう終わり方のほうが好き。
そういう仕事
司法修習生時代の同期に助っ人を頼まれ、死刑判決濃厚な殺人犯の量刑を軽減するべく事件に対峙していく弁護士の話。
事実や感情は不要、勝つ為にはどうするかと行動する主人公。
相反してみえてくる真実と供述の真意。
想像を映像化しているシーンがいくつかあり、明確な真相は最後まで示されないけれど、言いたいことは良くわかり、主人公と同じ目線になれるみせかた。
何ともやり切れない良いモヤモヤ感を味わえた。
余談だけど、流れからいって国選じゃないよね?…誰が弁護費用もったんだろう???
だいぶ演技が上手くなった
福山さん。マシャファンの嫁に連れられて朝一に観に行きました。福山臭が抜けて弁護士として福山を見ることができましま。顔アップの演技も違和感なく観れましたよ。接見所のシーンもガラスの反射を使って交互に顔をパンしなくてよいシーンが多く落ち着いて観れて面白い構図でした。
斉藤由貴さんは現実と状況が同じで笑ってしまいました。斉藤由貴さんのシーンだけでも現実に戻ってしまうのでそう言う意味では俳優のスキャンダルは罪深いですね。
良かった
126本目。
気合いの3本目。
眠い。
でもこんなに上手く時間が被らない日はないし。
今日は気付くと期待値が高い順番に観たんだけど、一番最後に当たりがきた。
後半にかけて見応えがあって良かった。
本当は観るの止めて帰ろうと思ったんだけどね。
福山の芝居は久し振りに観て、まぁ福山節は健在だったけど、やっぱ後半からかな、いい役者さんが揃うと触発されんだろうな。
今更かもしれないけど
法廷ミステリーとゆうことで、派手な演出もなく、淡々と進むので、途中少し眠くなりましたが、映画の完成度としては高い気がしました。その中でも特に役所広司の素晴らしさを感じました。福山さん、吉田こうたろうさん、斎藤由貴さん、市川さん、橋爪功さん…こうも人気者が揃うと民法ドラマみたいに感じてしまうのだけど、役所さんは違う。ほんとの映画俳優だなと。
広瀬すずにも引き込まれた。存在感は唯一無二かな。願わくばずっと10代でいてほしい女優さんです。
気疲れするけど、一見の価値はある
-「被疑者側のシナリオ」は減刑を勝ち取るための戦術であって、真実である必要はない。だいたい、真実なんて誰にも分からない-
そんな風にうそぶいていた福山雅治演じる弁護士が、少しずつ役所広司ワールドにひきずりこまれ、「いったい何が『ほんとう』なのか」という迷路にハマって行く様が良かったです。普通の映画だと、越えては行けない一線を越えて狂人の側へ踏み込んでしまう瞬間が分かりますが、この映画は自然に、本当にいつの間にか、役所さん演じる三隅のペースに因われていく感じが見事でした。関ヶ原でも好演されていた役所さんですが、個人的には本作の方が怖さと凄みを感じました。
本来映画というのは、解釈の余地を残し、視聴者の判断に委ねる作り方をするものですが、そういった意味ではこの映画は極北にあるかもしれません。いわゆる法廷ものとも、真相を暴く刑事ものとも趣が違うので、そっち方面を期待していると肩透かしを食うかも。
映画は留置所での被疑者と弁護士の接見シーンが多くの時間を占めます。絵的に圧迫感があるので、ストレスのはけ口とするためか、食事のシーンが結構あります。シリアスな映画なのに途中お腹がすいて微妙な気分になるかも知れないので、ご注意を。
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