三度目の殺人のレビュー・感想・評価
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”三度目”とはなんだったのか。何度でも観返したい作品
大好きな是枝監督作品かつアカデミー賞受賞したのにまだ観ていなかったのだが、TV地上波で早くも初放送されたので録画して鑑賞。
これは受賞すべき作品だとすぐに納得。是枝監督はすでに名実ともに日本映画史に名前を残す代表的なひとりとなったと思う。
この世の法律や司法制度の保守化や矛盾を風刺しながら、本当の罪とは、それとの向き合い方とは、そして人の命の尊さとはを、重い静かなトーンでグサリと抉ってくる内容。
ほぼ刑務所の面会所での弁護士と容疑者の男とのやりとりで話が進む構成に、その細かややりとりや駆け引き、心の葛藤が繊細に浮かび上がる。そこで際立ってくるのが役所広司の本心がどこにあるのかを迷わせるあの目の奥の演技は圧巻。
男が本当は何を思いどう行動したのか、またそれに関わる人たちの心の内は…いろんな見方があり一度では捉えきれなかった。近々にもう一度観て咀嚼したい。
そして、”三度目”に込められた意味は…
是枝監督が切りとり紡ぐテーマに今後も目が離せない。
あなたが信じたいストーリーを容れる、からっぽの器
それぞれが見たいもの、信じたいストーリーを好き勝手に被告人に貼り付けているだけで、結局“ほんとのところ”なんて知りようがないし、そんなものハナからないのかもしれない、ということでしょうか。
真相なんて重視してなかった主人公は、はじめはいつものように仕事上都合のいいストーリーを探していた。なかなかそれをくれない支離滅裂な依頼人に苛立ち、つい真相に興味を持って探求してしまった。
これが真相だと確信したが、それも結局は都合のいいストーリーに過ぎなかった?という少し皮肉めいたお話なのかなと。
被害者の娘の「私を助けるために」という“いかにも真相めいたもっともらしい動機”も、最後のシーンでクールに突き放されます。それはそれで、彼女が信じたいストーリーなのかもと。
前のシーンで、殺してほしいと頼んだわけでもないのにその願望が「伝わったんです」と頑なに言い張っていたのも“伝わったからやってくれたんだと、私はそのストーリーを信じたい”と考えれば納得できます。
そう考えれば彼女も気持ちの整理がつく。
気持ちの整理がつく都合のいいストーリーを誰しも求めてる。
「言うことがころころ変わって何を信じていいか分からない」非論理的な存在というのは、裏を返せば「あなたが“本当はこんな奴なんだろう”と信じたいように、どうぞ信じてください」という、どんなストーリー(論理)も受容できる“器”とも言えるのかなと。
それを論理的合理性の権化である法廷劇で投げかけるわけですから、痛烈だなと思いました。
真実なんてどこにもない
最初に言ってしまうとこの映画は、この手の映画にあるあるのスカッとじゃなくモヤッとする終わり方。オダギリジョー主演の『ゆれる』と主題は同じ感じがする。
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映画中何度も「ホントのこと」ってセリフがあるけど、結局「ホントのこと」なんて見る人によって違うし、皆自分が見たい、都合のいい「ホントのこと」しか見ようとしない。
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そして事件の関係者が泣く。これ私はみんな結局嘘ついてたんかなって思ったんだけど、最初らへんに福山雅治の娘が嘘泣きをしたくだりからずっと気になってた。広瀬すずに関しては娘の嘘泣きと泣き方が同じに見えた(笑).
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あと、役所広司と福山雅治の面会室でのシーンで徐々に映し方が変わって、最初は福山雅治が左にいたけどそれが角度が変わって右に来て、最後にはほとんど同化するように映っててそこの変化が面白かったかなぁ。
二転三転…そして???
役所広司の供述が二転三転。
そんで、みんな嘘ばっかり。
なんなんだ!?
加害者、遺族、弁護士、検察、裁判官…
みんな自分に都合の良い事だけを言って、都合の悪い事は隠したり、嘘ついたり…
途中までは面白く見てたんだけど、結局、何がホントで、何が嘘だかわからずにエンドロール…
個人的には完結しませんでした…
ちょっと俺には難しい作品でした。
それにしても、福山雅治はキレイな顔しとるわなぁ~
もっと単純な話だと思ってたら違ってた。 供述をコロコロ変える意図っ...
もっと単純な話だと思ってたら違ってた。
供述をコロコロ変える意図ってなんだったのかとか、翻弄されながら弁護士は何を思い巡らせていたのかという根幹の所がイマイチよくわからなかった自分が悲しいというか情けないというか。
福山雅治を見直した。彼すごいな。
弁護士って、お金さえもらえれば誰でも弁護するのかしら?
今まで観たことのない裁判映画。
犯人は誰か?
この中で一体誰が嘘をついているのか?
など、たくさんの人の証言から推理して犯人当てをする映画ではありません。
この作品では、事件の真相を探るのではなく、一人一人の証言から導き出される、一人の男の裁判を描いています。
弁護士の質問に対し、コロコロと発言を変える男の供述。
そこには、一人の少女をかばうための悲しい秘密があるのかと思いきや、少女自身も虚言癖がある様子…。
バラバラとしている発言が続き、何がなんなのかよく分からないというのが正直な感想。
でも、この映画は事件の真相を求める為に作られたわけではありません。
1つ1つの言葉の意味を汲み取ることで、些細な会話の中にハッとさせられる部分か沢山詰まっているのでしょう。
しかしながら、彼が突然無罪を主張しても、検察や裁判官の都合で全てうやむやにされてしまう現実…。
えげつない社会の仕組みによって、一人の男の命の明暗が決定づけられてしまうだなんて…。
真実は闇の奥底にあるからこそ、真相は最後まで見えません。
答えを考えるのは視聴者。
そして、監督はその答えわ持っているのか?
最後の最後まで謎に包まれた映画でした。
映画通には受けそうですが、万人ウケは難しそう…。
だからこそ、是枝監督の珠玉の作品だと私は思うのでした。
個人的に、かなり難しかったというのが正直な感想ですが…。
真実の目は見えるだろうか?
地上波で鑑賞前に他でもこの作品を鑑賞済み。ただこの作品を見ていてとても気持ち悪さ、いや気分が悪くなる。この作品はほとんどの人は、モヤモヤ感だけしかないはずだが、自分には気分が悪くなった。残念だが二度と自分には鑑賞出来なくなるだろうと思い目に焼き付けた。誰が悪いわけではない。
答えを探してやっと落ち着いたのでまとめた。
それはこの作品自体がとても「矛盾」が多く存在する。
小さな矛盾と大きな矛盾この二つで成り立っている。
大きな矛盾は
三隅の証言への矛盾。
まず三隅…三隅自体は殺人に動機はない。常に相手から受け取った思いのみで殺人を犯してる。一度目の高利貸し殺しも被害者の影響を受けた事で殺人を犯してる。二度目の殺人も咲江の思いに影響を受けている。よって三隅自体に動機はらしい動機はない。それは証言の中でも出てきている。「自白」→「奥さんからの依頼」→「やっていない」の計3回。これは三隅が影響を誰かから受けるからであって、三隅本人の意思でもない。
重盛の真意の変化。
重盛は、摂津からの依頼で弁護をする事になる。会うたびに意見が変わる三隅に困った為重盛を呼んだ。ただ最初は三隅の謝罪文に対して妻が破いた手紙も「今は遺族が何やっても許されるんだ」と言うことを言っているし「なんで弁護するんですかーってこっちは仕事だっつーの」と突き放した感じで話している。その後三隅と面会室であってガラス越しに手を合わせ、三隅の事を知るうちにだんだん変化していく。摂津が盲目の人が触った象の話を出して、重盛はそれのような事件だと言うシーンがある。そして最後は三隅を知ろうとしてる。一貫性が重盛にはない。
違和感を感じる法廷。
裁判員裁判なのに裁判員は一切出てこない。あるのは法廷での裁判官・検事・弁護士のみ。ある意味淡々とこなす映像。真実を話す場ではないとは言えこれは、違和感がある。
小さな矛盾は
娘の存在。娘がいるにも関わらず一度も娘の出てこない。全く。前の職場の店長から「死んでほしい」って本人の意思は伝えられてるが。そして何故娘も足が悪かったと言うのか。その証言の映像はない。
二階から飛び降りた咲江。飛び降りた理由はわからないが嘘と断定するには診断書がないからなのか?それすら出てこない。生まれつき足が不自由な二階から飛び降りれないからか?それとも周囲に嘘を伝えていても検事は信憑性を高める為に周囲にも聞くのか?仮にそうだとしても多分大ごとにならずに病院に行ってなければ嘘になると言うのか?可能性では足がより悪くなるかもしれないが…。
三に固執してる状況。三に固執し3の物ばかり目につく所に3がある。地方裁判所の階段や弁護士の人数や家具三隅の部屋など…しかし3に固執しても3の意味が大勢は司法の弁護士・裁判長・検事を見てしまう。これも司法を表す上で十分になるがそこではない気がする。しかも三度目の殺人は誰を言ってるのかそれがわからずじまいで終わる。多くは三隅の死刑を表してると思う。しかし三隅の名前にも三が最初からあるのだ。弁護士も3人裁判官も3人で検事のみ2人理由は?となってしまう。
十字。映る十字。社長の焼死体跡、カナリヤの墓、雪合戦の妄想、十字路。十字の回収はされていない。そのままで終わる。
裁判長への手紙。ありえない。刑に服してる三隅が裁判長に手紙を送れない。いや裁判官に手紙を出しても届かないはず。出所してから書いてるとして何故住所を知っている。報復の可能性を秘めてる以上三隅がその気がなくても知る手立てはないはず。じゃなきゃ裁判長なんか出来ない。
検事側の証拠不十分の起訴。これはどうなのか自白だけで裁判をするのか?日本の司法では、自白も証言として扱い、証言人や証拠を集めてから起訴するはず。証拠不十分で証人もいない、前回殺人を犯したから裁判員裁判でも刑にかけれるとしてもそれをそのままやるには危険だし減刑される可能性がある。それと検事側は求刑を望んでるのかどうかすら情報がない。それ程矛盾がある。
面会室での両者の写り込み。面会室の映像を撮るとき写り込み防止としてライトの位置は気をつけて、カメラワークも注意する。それなのにこの作品では写り込んでる。わざとだろうと推測できる。ただこの手法では犯人像がボケてしまう。それを見込んで撮ってるとも思える。
以下の事を踏まえてこの矛盾の答えが「個の存在」そのものだとは思いもしなかった。正しいとか間違ってるとかは監督は答えてないので分からないが、三の意味は生・存在・死の三つだろう。司法ではなく。生は選別されて生まれてきて、存在は生きてる証生きてる以上見えない存在に支配されて影響を受けながら個の存在する。そして死に向かう。存在そのものを描いた作品は少ないが、三隅の存在がまるでいるようでいない存在。いや例えるなら都市伝説の口裂け女のように存在は誰もが知っていてだが、理由もなく殺す。まさにそんな存在が三隅。それを裏付けように周囲の証言。大家や咲江や娘(出てこない理由)が彼の周囲を取り巻き存在するように見える。三隅は生きてるし人間だがまるでファンタジーの生き物のような存在なのだ。人の心が解るのは1番強い負のエネルギーのみで手を返して伝わるわけではなく、目で見て伝わる。手からは強く感情が読み取れるレベルとなる。それが1番解るのが面会室での三隅と重盛の写り込みだ。写り込んでる二重に重ねる。三隅と重盛。そして少なからず影響を受けさせることも出来る三隅。重盛が三隅と同調し始める姿はその後の重盛の真意の変化でもよくわかる。そして十字は裁く裁かない神でもない、影響の存在への迷いを表すのが十字だろうと思われる。裁きのような十字だが、三隅の空っぽの器で理解した。十字は人生の影響下で存在が向かう先を描いていた。それが答えだろう。執拗に裁きを表すように見える。ただこれは「個の存在」を証明した作品だ。元々監督はこのようなありえそうでありえないものを題材に撮っているが、どの作品も「個の存在」を映してきてる。役者にも焦点を当ててるし、それ以外でも見えない存在を表すことが多くそれが今回の答えにつながる。
ずいぶんとかかった。しかしこれが答えだとすると法廷ミステリーでもなんでもない。答え合わせに見た時もこれだとぴたりと矛盾に合うと感じる。ただ、これでは三度目の殺人の答えを見つけられずに困っている人がいてモヤモヤして終わる。勿体ない。「個の存在」到底撮ってるとは思わないのだから当然だろう。残念でならない。星三つは役者が良い演技の分だ。作品としても完成度は高いが、この答えは頂けない。と自分は思っている。
真実は…? いったい本当は何が起こっていたんだ?話は二転三転、さま...
真実は…?
いったい本当は何が起こっていたんだ?話は二転三転、さまざまな情報もあり、推理好きは頭をフル回転させることとなります。しかしそれのみに気をとられてしまうと最後にバッサリ切り捨てられモヤモヤさせられることに。
私はこれ、裁判ってこんなんだよ、真実なんて大した意味はないんだよ…と捉えました。恐ろしい!恐ろしすぎます。
鋭い社会風刺を込めた秀逸な作品だと思います。
役所の好演
役所広司のサイコパスにも義賊にも見える演技が良かった。
ラストの福山と役所の顔が重なりそうで重ならない演出は見事。
人の心を読んで、2回殺人を犯す三隅。
そして3度目は自分を殺す(死刑にする)ように裁判で供述を変えていく。
ホワイダニット系ではあるけど、答えははっきり明示されずに終わる。
それは裁判が真実を明らかにする場所ではないというメッセージの表れなのかなと勝手に思った。
エンタメ要素がほぼないのに飽きずに面白いと思えてしまうのはさすが是枝監督。
視聴者に考えさせるタイプのやつ
こういうのは合わないんだよね。
解決させてほしいと言うか、謎を散らかしすぎて本筋がおざなりになっていると言うか。
ラストの大逆転的なのに期待したけど、“あえて”そういうことをしない狙いのようだけど…だとしたら、もう少しうまく推測させてほしかった。
見る人の器が反映される映画
現在の司法制度の欠陥を三隅が見事に利用した映画だった。
真実が証言や供述、誰かの人生観や価値観によって、いとも真実かのように決められる理不尽さ。
「あなたはただの器?」
最後に重盛が三隅に問いかけたセリフ。
結局は、三隅という器を通して重盛の価値観や感情が反映されていた。
映画の掴みどころのない意図はそのためだと、真実を伏せることで重盛やあなたの価値観が反映される怖さ。
この現代社会の構想が、映画を見る人の思考が、三隅を通して反映されるように作られた映画だと思います。
三番目の殺人は、真実を見極めなくても簡単に行われるものだと。
真実は色んな見解があるけど、私は咲江の母が依頼殺人をしたのかなと。判決が下されるあの場面での不可解な震え。
自己の罪悪感が妄想ではない、決定付けられた判決の瞬間に耐えきれなくなった。
・・と思いましたが、真実は?
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