三度目の殺人のレビュー・感想・評価
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モヤモヤとモヤモヤと
単純だと思われていた事件が、実はモヤモヤした複雑な事件だった!ウーム面白いではないかと観ていたが、モヤモヤと終わっていったのが残念に感じた。結局は、別に複雑でモヤモヤしてなかったのに、モヤモヤとした演出をしていくのはミステリーとしてどうなのかな。監督の演出はホームドラマでは好きなんだけどな。
広瀬すずの覚悟
この映画、確かに福山雅治と役所広司の鬼気迫る演技が売りかもしれない。
福山は弁護士のもう一つの顔である合理主義と言おうか、早く片付けたいという職業病という態度から、本当はどうなんだ、という事実を求めていく役を熱演していた。役所は犯人とされる人物の複雑さを、その日の気分いやその時の気分によって移り変わる(でもこれってこの男特有のものではなく、自分自身にもある人間の感情かもしれない)男を微妙な仕草で表現していた。都会派エリートの福山と、さびれた田舎の底辺の役所。初めはそんな対比が明確だった二人が互いに触発さて、混じり合う、そんな光景が垣間見える演技だったが、この二人なら熱演は当たり前ともいえるだろう。
この二人より異彩を放っていたのが、一貫して不気味な、退廃的な娘を演じた広瀬すずだ。生まれつき、いや、事故で足を不自由にしてしまった(本当はどっち?)殺された社長の娘。いつも足を引きづり、無表情。母親との関係も微妙。死んだ父親との関係はもっと複雑、といった役どころである。
広瀬すずといったら、青春を満喫しているような「ちはやふる」や「チア⭐︎ダン」などのアイドルの役が多い。それが一般的な彼女の評価だろう。でも、それだけでは済まない別の面が広瀬すずにはあるのだ。この映画の監督作品「海街diary」で見せたちょっと複雑な4女役。それに「怒り」で演じたレイプされ、それを黙っていてと叫ぶ少女役など。
旬の女優としてなら、青春満喫路線でいくべきだし、周りの人もそう思ってるだろう。(そうであったなら、僕との出会いはなかったに違いないだろうが)あえて、こういうシチュエーションの役を選んだのは彼女自身ではないだろうか?青春路線の表情とは違って、腫れぼったい空虚な目をした不幸な少女が最後に自らの主張を叫ぶ、でもそれは本当のことかもわからない。
この映画、全てが闇の中にあるといえるだろう。確かなものとされたことが、突き詰めていくと迷宮のようなところに行き着いてしまう。確かに、物事は簡単ではない。これでいいんだとどこかで割り切らないと前には進めない。そんなことを思わせる映画だったような気がする。
言わない美学
何が本当で何が嘘だったのかわからないまま終わってしまいモヤモヤするが、それこそがこの作品の最大のポイントなのかなとも思える。「真実とはなにか?」「誰かを守るための嘘は真実よりも真実であるべきではないのか?」そんなふうに問いかけられているような気持ちになった。
福山雅治と役所広司のタイマンはとても見応えがあった。クサいけど「魂のやりとり」って感じだった。片方が喋っている時にもう片方がガラスの反射で、話している方に被るようにしていたのは意図的だと思う。福山雅治と役所広司を視覚的にダブらせたかったのだと感じた。広瀬すずも演技派に囲まれても浮かない演技力を存分に見せつけていた。「チア☆ダン」「ちはやふる」のような明るい役もいいが、「怒り」や今作のような役もまた合っていると思った。
是枝監督の作品は無駄な音が少なく、俳優の演技やストーリーだけでグイグイ引き寄せられる。
三度目とは
殺人事件に関するミステリーというより法廷で起こるサスペンス?
あまり知識もなく察しも悪い私なりに考えた三度目の殺人は、死刑が言い渡される法廷で行われたのだろう・・・と。
咲江と三隅の関係性や虐待や工場の不祥事など家庭の事情が映画で語られていることが真実であれば、予測できてしまってました。
でも何が本当で誰が嘘をついているのか、若しくは全員が嘘をついているのか・・・。
あやふやにしたまま終わらせる斬新さにまた脚本の意図などを色々と考えさせられました。
面白かった~
賛否両論のある作品になるかもしれないけど、面白かった~! 私は楽しめました!
主演の福山雅治の演技はあと一歩(たぶん頭で考え過ぎなくなれば。。。)だったけど、役所広司、広瀬すずの演技は素晴らしい!
福山さんVS役所さんの演技にもご注目!!1回観てもわかるかなぁ~
観終わって、私はもうちょっとギリギリまで事件を掘り下げても良かったんじゃない?って思い、心残りありの作品でした。
でも、この作品は「犯人は捕まった。真実は逃げ続けた」という宣伝ポスターでもあるように、完全な法廷劇ドラマです!裁判の判決が気になる~、殺した理由は~などなどいろいろな視点から観ていくと気になる点が多く、観終わったあとあれっ?ここはわかったけど掘り下げないんだ。ここまでしか語らないんだ。という心残り感が出るかもしれません。
でも、問題を問いただして、答えは皆さんで想像してくださいっていうのが是枝監督の狙いかもしれません。1回じゃわかりませんぜぃ、ここ気になったら何回も観てくださいねって言えるような感覚だと思います。そうだとしたら、斬新なミステリー作品になりますぜ。
今回の福山さんは裁判で勝つためには、真実は二の次と割りきる弁護士の重盛。役所さんは得体のしれない不気味な容疑者・三隅、そして広瀬さんは被害者の娘・咲江。
接点も気になりますが、福山さんと役所さんの拘置所の接見室シーンはすごい映像でした。前半はドラマでもよくあるカメラワークでしたが後半からはすごかったので、ご注目。
是枝監督らしい静かな映像表現と音楽も日本映画らしくて好きですねぇ、小説本も発売してますので、まずはこの作品を楽しんでいただきたいですね。このジャンルのミステリー好きも満足できると思いますよ。
是枝監督っぽくはない。
是枝監督の家族愛や隣人愛の特色が強い映画ではないので、注意はした方がいい。
園子温の様な独特の雰囲気が感じられ、個人的には好きだが、良くも悪くも人を選ぶ作品だと感じた。
人によって捉え方が大きく異なる映画だと思うので、レビューを見るより自分の目で確かめた方がいいと思う。
深すぎて一回見ただけじゃわからない
全体的に暗めのスクリーンなので夕方より朝の回が良いかも ウトウトするとかトイレに立つとかしたら 余計に難しくなる わからなくなる。
福山さん役所さん広瀬さんの役への入り込み具合がすごくて かなりの熱演でした。
見ながら必死に自分の中で推理してみたが難しすぎた でも2時間たっぷり見応えあった作品でした。
“三度目の殺人”は確かに行われた
是枝裕和監督の作品が好きだ。
法廷サスペンスのジャンルが好きだ。
なので、本作を期待しない理由が何処にも無い。
この秋…と言うより、今年公開作の中でも特に楽しみだった一作。
結構賛否吹き荒れてるようだが、確かに好き嫌い分かれる作風だろう。
まず、単純明快なエンタメが好きな人はダメ。
勧善懲悪、白黒はっきり付かないとダメ。
モヤモヤすっきりしない終わり方の映画がとにかく嫌い。…などなど。
映画はエンタメであるべきという考えは大前提だが、同時に観客に考えを委ねるような作品も好き。韓国サスペンスのような後味悪い作品が好きなのもその一例。
加えて書き出しの理由もあって、本作は非常に面白かった!
展開は淡々と。静か。
派手なシーンは皆無で、退屈との声も出ているが、本作に派手なシーンがあったらそれこそ違和感あるだろう。
邦画法廷モノの大傑作『それでもボクはやってない』だって、派手なシーンは皆無で、淡々と静かだが、凄まじく引き込まれた。
本作も然り。
さらに本作は、サスペンスとしての醍醐味もあるのだからケチの付けようがない。
容疑者、三隅。
開幕早々、殺人シーン。明らかにクロ…と、まず思う。
しかし、取り調べするや否や、供述がコロコロコロコロ変わる。
何々だったのか、したのか?…と問われると、曖昧に「はい」と返答。
後から違うじゃないかと問い詰められると、「そうでした」「ちょっと勘違いして…」と、どうもしっくり来ない。
また、意味不明なのか意味深なのか分からないような言動もしばしば。
人柄は穏やか。が、彼の言う事に本当に見てるこちらも翻弄される。
抑えた演技ではあるが、そこから異様な凄みを滲み出す、いつもながらさすがの役所広司。
主演は福山雅治演じる弁護士・重森。真実よりも勝ちにこだわるエリート。
福山×エリートは、同監督の『そして父になる』同様のステレオタイプでもあり、彼が三隅に翻弄され次第に真実を知ろうとする動機もちと弱い気もするが、彼目線で見る側も真実を追求したくなる入り口として一役買っている。
福山と役所の度々の対峙シーンは素晴らしい緊迫感。
監督と福山の2度目のタッグも上々。
相思相愛だったという初タッグの監督と役所。
是枝監督×福山雅治×役所広司のケミストリーは見事だった。
もうちょっと演者について言及。
奇しくも本作には、嫌われ女優と渦中のお騒がせ女優が揃って出演しており、おそらく作品を見もしないで、作品の中身関係ナシにその部分だけ叩くであろう輩が沸いて出るだろうが、そんなの言語道断!
両者共、非常に良かった。
特に広瀬すずの、事件のキーパーソンで陰と悲しみの演技を見せられると、女優としての才は素晴らしいものと改めて思わざるを得ない。
吉田鋼太郎演じる弁護士も何だか本当に居そうと思わせ、満島真之介演じる若い弁護士はなかなかいい所を付く。
にしても、市川実日子がスーツを着ると、どうしても尾頭さんにしか見えなくて…。
供述が二転三転する三隅。
嘘か真か、本当の事を語り出す。
そして、被害者側もまた隠された話を…。
捻り歪んだそれぞれの証言の中に、筋道通り繋がった、真実の姿が…。
ところが…
本作は根底に、是枝監督の十八番である家族の関係をそれとなく織り混ぜつつ、裁判の不条理を鋭く突いている。
裁判に於いて真実とは?
本当に真実とは、尊重されるものなのか?
それが、明かされて誰かの心に深い陰を落とす真実ならばやむを得ないが、本作の場合は違う。
裁判は時に己の利益の為にただ事務的に処理され、誰も真実などどうでもいい。
真実を欲し、真実を知りたい者は居ないというのか…?
“三度目の殺人”。
が、劇中語られる殺人は、二度。重森の30年前の事件と、今回の事件。
最初の事件なんて正直省いても良かったのでは?…と、途中まで思っていたが、見終わって意味を成している事が分かった。つまり…
30年前の“一度目の殺人”。
前科者が関わっているから、今回も当然犯人。“二度目の殺人”。
誰も彼の真実を信じてくれない。
そして下される“三度目の殺人”。
この“三度目の殺人”こそ、最も罪深い。
…いや、“一度目の殺人”重森も“二度目の殺人”咲江も、同情の面はあるとは言え、殺人を犯している以上罪深い。
だからこそ、真実から目を背けてはならない。
司法の実態
最近は漫画ばかりを映画化して失敗作を大量に排出している邦画界であるが、久々の骨太映画である。しかし、広瀬すずが出てきたところでほぼネタ割れしてしまったのは如何なものだろう。それでも日本の司法制度に一石を投じた意義は大きいと思う。司法は真実を明らかにするのではなく事務的に量刑を与えているに過ぎないと言うことだ、市川実日子の事務的な演技がそれを示している、シン・ゴジラの再現かなと錯覚しそうだった。前半の場面で重盛の娘が嘘の涙を流す、これがこの映画の全てだったのかもしれない。マイナーな映画だけに福山雅治人気だけでは客は引けそうもないが、ハリウッドでトム・クルーズとアンソニー・ホプキンズあたりでリメイクしてくれたらメジャーになりそうだ。ベネチアではだめだったようだが、モントリーオールあたりなら金賞を取れたんじゃないかな。
真実とは裁くとは
重盛が血を拭うシーンから三度目の殺人とは真実と向き合おうとしなかった重盛が三隈を殺したということだと思うが、人によって考え方が変わる作品だと思う。
重盛・三隈・咲江3人が本当に咲江の父親が殺されるべき人間だと思ったということで三度父親は殺されたということなのかもしれない。
実際誰が父親を殺したのか分からないが、法廷の人達にとって都合の良いことが世の真実となり、それによって人は裁かれるものと思った。実際にあった真実は必要ない。というより誰も分からない。
返り血や重盛と三隈の顔が重なる演出など、考えさせられるシーンが所々にあり、脚本も素晴らしかったと思う。特に罪を犯した理由によって罪の重さが変わるというようなセリフが印象に残った。
Cover one’s butt
自己保身と自己犠牲、本作のテーマだと感じる。始めに断って置くが、今作品は決してスッキリとしたエンディングは用意されていない。それよりも、イメージとすればガリレオシリーズの『容疑者Xの献身』に近いかも知れない。まぁ、主人公が同じ福山雅治ということもあって似てしまうのかも・・・
そして、今作品に流れる本当と嘘の境目を完全に曖昧にしてしまっている点においては、犯人役である役所広司以外は全て煙に巻く、木で鼻を括るスタンスを貫いていく。アバンタイトルからして、ストーリー途中には、それを否定してしまうようなシーンもあったりするし、これは単なる法廷闘争劇ではなく、どちらかというと、スティーブン・キング原作的な内容に近いのではないだろうか。何か人に見えない不思議な力なのか、それとも稀代のペテン師、もしくはインチキ占いの類、もしかしたら神?悪魔?そんな劇中では『器』と呼ばれる男が、果たして自己犠牲において守りたいものがあるのか、それとも、自己保身に走る『司法』という舟に乗っている弁護士、検事、裁判官を断罪しに地上に遣わせたのか、そんな世界観を重く暗い映像で観客に問いかけるのである。ミステリーとすれば、少々イレギュラーなプロットではあるが、邦画の一つの可能性を指し示せたことにおいて、是枝監督の相変わらずの秀逸な出来映えに満足している。法律用語や、時系列、過去シーンでの登場人物の若返りの姿がないこと(役所広司は同じ顔つき)など、かなり観覧者のイマジネーションや知識を必要としなければならないところもあるので、着いていくのが厳しいと思うし、何と言っても時間が長く、自分のようなジジィだととにかく生理現象には勝てず、せっかくの面会室でのクライマックスで中座してしまう始末・・・
提案だが、逆にもっと上映時間を長くして、4時間位の途中休憩というプログラムではどうだろうか?もう少し、福山とその娘の間のストーリーや、食品偽装が法廷闘争に関わってくる内容とかも深く盛り込めると、観ている人のミスリードを最大限誘発できるとおもうのだが・・・
ラストシーンでの十字路の中央で立ちすくむ主人公、人を『裁く』という現実にどう立ち向かうか模索する象徴シーンでもある。
果たして、神か悪魔か・・・・
結論なき映画
殺人映画といえば
殺人があり犯人が見つかって
何で殺したかと言うのを描き
「ああ!そうだったのか」と観ているものを
納得させて終わるものですが
この作品はそれがありません
なので終わった後がとっても後味が悪くもやもや感が残ります
しかしこういう作品もありなのかとも私は思いました
観ている側も 福山雅治演じる弁護士と一体化して
頭の細胞をフル回転して犯人演じる役所広司は何を考え
どうしたいのかと 嫌がおうでも考えせざるをえません
もしかして世間一般の事件でもこのように
真実はわからないことが多いものですよね
事件ものでは だいたいが法廷闘争が見どころになりますが
この映画は法廷のやりとりよりも
は犯人の役所とそれを弁護する福山とのやりとりが
メインとなりそこの場面は緊迫感がただよい
観ているものは引き込まれます
殺された夫の妻を斉藤由紀が演じていて
取材陣に追われているシーンがあって
現在週刊誌でも追われているので
それがかぶっていて 何だか複雑やら彼女には申し訳ないのですが
何だか可笑しい気分になりました
広瀬すずも今回も良かったです
暮らしの中に闇をかかえている少女を見事に演じてました
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