劇場公開日 2017年9月9日

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「法廷で、真実を話す人はいない」三度目の殺人 お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5法廷で、真実を話す人はいない

2020年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ストーリーも含め、是枝監督が練りに練り上げて提示した、真にすごい映画ですが、賛否が激しく二分するのだろうなとも感じました。

たとえば無言のシーン。
テレビだと「放送事故」なんて言って忌み嫌われるものですが、この映画の白眉こそ、これでもかと多用される無言のシーンなのです。

物語を真に紡ぐのは言葉ではなく、無言である。その監督の強い意志を、二人の名優がこれでもかと絵にしてくれています。
二人の心理の揺れ動くさま、ほんとうに楽しめました。

また裁判についても、実際にそれを手がけたことがある人だけが知る、これぞリアルな日本の裁判だと納得するものに仕上がっていました。
リアルだけど、決しておちゃらけることはない。この描き方は、キモの坐った人でないとできないものだと感心しました。

ドラマで見る裁判は、あんなの裁判でも何でもなく、単なる裁判劇に過ぎないでしょ、クソ喰らえ! というシニカルな思いなのかも知れません。
「法廷で、真実を話す人はいない」。

奥の深い映画で、ほんとうに楽しめました。

お水汲み当番