「好きじゃないけど凄く考えさせられる作品」三度目の殺人 サウスポーさんの映画レビュー(感想・評価)
好きじゃないけど凄く考えさせられる作品
初めこの映画を観たときは、「何だよこれ、動機とか一連の真相を全く解らせないとか無責任だろ!」と怒りを感じ、2017年に観た中でワーストクラスの作品だと思っていました。
しかし、日本アカデミー賞で作品賞を受賞したと聞いて、何故この作品が評価されたのかを改めてこの作品について思い出しながら考えました。
その結果、「真相が解らずじまいで終わってしまう」という事そのものが評価されたのだと感じました。
実際問題、司法というのは結局証言台に立つ人の証言だけで判決しなければならないので、ある種の限界が生じてしまいます。恐らく冤罪等も少なからず起きています。裁判の難しいところですね。
そして、自分達の都合の良いようにみんな証言してしまうが、それが全て真実だとは限らない。だから真相は闇に埋もれてしまった。
そういったところが評価されたのだと思うのですが、そう思ったときに自分は「この作品はどうあっても好きにはなれない」と悟りました。
ただ、キャストは概ね良く、福山雅治は普通でしたが、役所広司の不気味な存在感と広瀬すずのミステリアスで哀愁を帯びた演技はとても良かったです。
個人的にモヤモヤさせるよりもきちんと真相を明かす方が好きです。
だから、この作品は今まで観た映画の中で唯一「好きじゃないけど、良い意味で考えさせられる作品」でした。
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