「誰もが納得できる理由を求めてしまう」三度目の殺人 てんりゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが納得できる理由を求めてしまう
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なんとなく、真犯人は被害者の娘で、三隅がかばって被告人になっている話だと思っていた。でも違った。
罪を犯したのは被害者の娘を父親から守るためでは?
被害者の母親に殺害を指示されたとうそをついたのは娘を守らなかったその母親に対する制裁だったのでは?
突然裁判で否認に転じたのは被害者の娘を世間の目から守ろうとしたからでは?ーーと、被告のひとつひとつの行動にどこかで納得できる理由を探していた主人公が、ラストで呆然とする姿に考えさせられた。
犯罪者は生まれたときから犯罪者だったという考えは短絡的だし、止むに止まれぬ事情でというのも実際にあると思う。
でも、
「殺すやつと、殺さないやつの間には深い溝がある」
というセリフにあったように、なかには、ひとつひとつの行動に意味がなく、まったく理解できない人間もいる、と突きつけられた気がした。
自分も主人公と同じように、どこかで三隅を理解できる人間だと思って、すっきりしたかったのかもしれない。だから、観終わってももやもやする。
司法の問題点のほか、公判前手続きなど普段は省略されてしまうような場面が描かれていてよかった。
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