「心情の描き方が見事」三度目の殺人 白波さんの映画レビュー(感想・評価)
心情の描き方が見事
私は是枝監督の作風が好きで、今回は何と言っても役所広司がどのように絡んでいくのかがとても楽しみでした。
始まってみるとやはり役所の演技が一歩深いところにあり、凄みすら感じます。
途中から福山雅治が役所の芝居に引っ張られている感じがするのですが、それが作品の中の二人の関係性ともリンクしていてとても面白いのですね。
そうした「重なってしまいそうになって重ならない二人」を、面会室のアクリルを使い見事に表現しています。
この手法が本当に見事で、見ていてこちらも引っ張られるのを感じました。
監督は作品の中で全ての答えをはっきりさせない描き方をしますが、本作も同様な作りでどこか引っかかりがあります。
が、そうした「フック」が作り手の狙いでもあるのでしょう。
それでいて最後に「三度目の殺人」に気づくように作っていたりもするんです。
真実そのものの意味とは?と言った監督の問いかけが、心にいつまでも残る作品でした。
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