「すごかったなぁ」三度目の殺人 Ryoさんの映画レビュー(感想・評価)
すごかったなぁ
深く印象に残る映画でした。またしばらくしたら映画館で観たい。他の方も仰ってましたが、一秒も目を話せない緊張感のある映像です。登場人物が泣いたり叫んだりしないぶん、張り詰めた空気に捕われて身動きが取れなくなります。こういう重く悲しい雰囲気に浸っていたい、というのは変ですが、終わって欲しくなかった、いつまでも観ていたかった、そういう映画でした。
事実はどうだったんだろうかとか、何がいいたかったかとか、テーマはなんだろうかとか、そういう分析をしない方が「分かる」感じがします。この映画はこういう映画なんだ、と言ってしまった途端、それだけでは無い気がしてしまう。事実はきっとこうなんだろう、と考えた途端、それだけでは無い気がしてしまう。結局、何かよく分からないが重いものが伝わってきてしまった、とだけ言うしかない、と筆力のない僕は思います。
役者さん達はみなさん凄みがありましたねぇ。
. . . という訳で、何も言っていない感想です。「すごかったなぁ」という小並感と同じこと?
追記: 音楽が素晴らしかったことを言い忘れてました。この映画の雰囲気作りに大きく貢献していると思いました。劇中で何度も流れる主題曲だけ配信で販売されてます。映画の色々な場面が思い起こされ、浸れます。
追記2: あのあと、この映画を小説化した文庫本を読み、もう一度映画館で観ました。今度はもしかして退屈するかもと思ったら全然そんなことはなく、やはり画面・セリフ・表情・景色・音楽などなどに惹きつけられ、一秒の緩みもない緊密な映画だと改めて思いました。(つまり、次の展開が分からないから夢中で観てしまうというタイプの映画ではないということ。) 二度目なので、一度目で見逃していたり「理解」してなかったりしていた細部まで感じ取ることができました。(広瀬すずさんの刺すような眼差しが恐ろしかった。)
真実も事実も分からないので、並行世界が重なって見える目眩(めまい)のような気分です。むしろ人間の心とはそういう並行世界が詰め込まれたようなものなのかもと思いました。結局、安藤桃子さんの「所詮、我々は何も知らない生き物なのだ」(この映画の公式サイトから引用)というのが当たっていると思います。
Ryoさん、コメントありがとうございます。
この世には、“事実”はあれども“真実”は無し…確かに本作を観て、そのことを思い知らされました。
今までなんと曖昧なことどもの上で生きてきたのだろう…と背筋がゾクゾクして冷や汗が出て来るような、そんな危うさを感じました。
人間というのは、やはり面白い生き物ですね。
それを見つめようとした監督自身さえ、迷宮に囚われたような状態になるのですから、やはり“人間”というのは不思議だなぁ、と(笑)
「ハイゼンベルク」…調べてみます。