「「空っぽの器」という言葉が、役所広司主演作『CURE』を想起させる」三度目の殺人 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
「空っぽの器」という言葉が、役所広司主演作『CURE』を想起させる
謎めいた事件の真相を追う者が、対峙する犯人の闇にいつしか取り込まれてしまうという筋は、映画にもたびたび登場する。接見室のガラス越しの対話シーンという点では、近年の傑作『凶悪』(白石和彌監督)と共通するが、役所広司が演じる三隅を指して語られる「空っぽの器」という言葉で、黒沢清監督作『CURE』を思い出した。そこでは刑事の役所と、催眠暗示の使い手の萩原聖人、それぞれの状態を示唆するように同様の表現が使われる。
『CURE』では役所が犯人を追う側、『三度目の殺人』では犯人という立場の違いはあるが、犯人のブラックホールのように空虚な闇に取り込まれてしまう構図や、一種の超能力のような特殊能力を犯人が備えることの示唆を合わせると、黒沢監督の『CURE』に対する是枝監督からのアンサーソングのようにも思える。そう考えると、三隅が残す「十字」は、『CURE』の「X字」の切り傷との符号のように見えてくる。
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maku1さんのコメント
2018年10月14日
なるほど、凶悪も話題でしたよね。しかし自分的には全然つまんなかった。今回も賛否両論で、見てみたら凄く引き込まれました。エンタメ要素はないのに。ただ、予備知識なく、無料(TV放映)でなかったら、と思うと、また違った感想になったかもしれません。映画ってほんと当たりハズレが他者と異なるので見てみないとわからないですね。
猫は友達さんのコメント
2017年9月9日
『黒沢監督の『CURE』に対する是枝監督から
のアンサーソングのようにも思える』
というレビューに惹かれて観賞しましたが………
本作品が、「『CURE』のアンサーソングなのか?…」
という疑問のまま終わった。
映画自体は良いできでした