「皮肉な邦題をどう評価するか」ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
皮肉な邦題をどう評価するか
邦題からイメージするものとは程遠い作品だ。本作は、テロ事件で生き残った青年が、望んでいないにもかかわらずヒーローに祭り上げられてしまう物語だ。PTSD的な症状に苦しみ、母親さえもメディアやイベントに売り込もうとやっきになる。その孤独から人生に絶望する青年の姿を描いている。
しかし、駄目な邦題なのかというとそうではないかもしれない。非常時にヒーローを求めてしまう気持ちは誰にでもある。こういう映画を見に来る観客はまさにそれを期待するかもしれないし、邦題はそれを煽っているのかもしれない。観客が映画に求めているものが主人公を苦しめていることになる。その意味で、この邦題は強烈な皮肉になっている。まさにヒーローを期待して見に来た観客自身が、主人公を苦しめているようなものなのだから。
少なくとも自分はこの邦題だからこそ、自分の中のヒーローを求める気持ちについてより深く考えることになったと思う。
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