「視点」パトリオット・デイ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
視点
まるで隣で見ているような…それ程までの臨場感とリアリズムがあった。
市街地で犯人が爆弾を数発投げつける。
吹っ飛ぶパトカー。轟く銃声。
カメラも驚くような絵を映す。
生々しい。
CGだけじゃない緊迫感があったように思う。
圧倒的なライブ感だった。
それはもう役者の芝居からして、カメラを忘れてるかのような演出であった。
ラスト犯人の頭に照射される複数の赤い光点にゾッとする。当時の写真だとは思うけど、それは死刑宣告にも似たものだった。
物語は凄く細部まで心血を注いで作られたようにも見える。
これはアメリカの国民性なのだろうか?
犯人が捕まった時、お祭り騒ぎのようだった。駆り出された警察官もバーで打ち上げのような状態に。
明るいなあと、つくづく思ったけど、それより印象に深かったのは被害者達だ。
勿論、選択の条件はあったんだとは思う。
全ての人が前向きな人生を歩めてるなんてことはないだろう…紹介された方々は、皆んな一様に強く前を向いてるように思えた。
それまでの人生とは全く別の人生を歩む事を余儀なくされてるのに。
「今」を生き、過去の積み重ねから逃げないように思った。
俺はあんな風に生きられるだろうか?
この世界はそんな危険に満ち溢れてはいる。
他人事ではないんだと思う。
ボストンの街を、文字通り命懸けで守ろうとした全ての人に敬意を。
悪魔にも愛は奪えない。
…んだそうだ。
映画だという事を忘れそうになるほどの作品だった。
途中、彼等の正当性を説こうとする場面が挿入されてた。
事実を知らされていないからだとか、俺たちはその真実を知っているだとか。
ただ…それが本当の事であったとしても、むやみやたらに人の命を奪っていいって言う事にはならない。
だから、彼等の考え方を受け入れられない。