ディストピア パンドラの少女のレビュー・感想・評価
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意外なゾンビ映画
磯村勇斗が紹介してくれたので、
緩急のある良作
何やら管理をされていながら、それをなんの疑問もなく受け入れる子どもたち。突然消える友人。前情報無しで観ると、冒頭の不穏な雰囲気ですぐに引き込まれます。
単にウィルスに免疫があるのではなく、「感染した」と「感染していない」の中間というセカンドチルドレンの設定だけでここまで世界観をつくれるのがすごい。
施設から抜け出してからはゾンビ映画の典型みたいになったので少し残念かなと思っていたら、終盤できちんと独自性を出してきた。
ギャラガーとメラニーが同時に外に出たときは、食べちゃうのかとハラハラしたけどそこまで残酷な話ではなかった。
オリジナルのタイトルと邦題があまりにも違うので何故かと思ったら、原作小説に倣ったみたい。ただ、そのタイトルのせいでラストのネタバレになっちゃっているのが、なんとももったいない。ましてや「ディストピア」ってなんだ、どっちかというと「ユートピア」じゃないか。
病原体との共生
メラニー役のセニア・ナニュアは、上手いね。微妙な心揺れを自然に表現ができてる。リドリー・スコット制作のゾンビドラマ『パッセージ』でも主人公の少女はすごく上手かった。ふたりともアフリカ系だから、姉妹役で映画を作って欲しいね。
ゾンビを扱った映画やドラマでは、知性をもつゾンビが登場するようになってきたが、この映画では知性をもったゾンビというよりは、人間のまま、肉食しかうけつけなくなったハイブリッド体。しかも条件があって、胎児のときに感染した場合だけ、アンデッド化しないらしい。吸血鬼みたいなもんだね。
メラニーもその一人で、そういった「セカンドチルドレン」が何人もいるんだけど、知性の高さを研究するためか、全員が教育を受けている。メラニーは、ひときわ知的好奇心が高く、歴史や文学にすごく興味があるだけど、施設の中では外の世界に関係することを教えるのは禁じられているから、教師のヘレンがこっそり語ってくれる。
夜に博士がやってきてメラニーが数字を選ぶと一人ずついなくなる。なんか、『約束のネバーランド』みたい。『約束のネバーランド』も実写化されるらしいけど、日本でも天才子役が出現して欲しいね。
ゾンビ映画でありながら、病原体との共生とは何かを考えさせてくれるエンディングだった。
対極の狭間
設定で攻める系
開始10分以上たっても疑問の多いこの映画。
子供達が地下室みたいな所に閉じ込められ、部屋を出る時は銃を持った大人達に車椅子に拘束され、教室に移動させられ勉強する。
子供を変な形で扱う作品。この雰囲気どっかで感じたなあ、、、。
「わたしを離さないで」(以下:あの作品)を序盤から思い出していた。
同じイギリス・アメリカ合作かぁ、、、、。
(序盤は個人的に期待薄)
あの作品も子供達が生まれた境遇を考えさせられる映画。映像的に形違うといえ、一部の大人達の為に生まれた意味を利用される主人公の少女。
徐々に明らかにされる世界。ゾンビが蔓延する様な世界。
演出はそれ程でも無いが、徐々に感染した少女に役割が与えられて行き面白くはなる。
楽しんでいる後半、ある事に気づく。
「前半はあの作品風で、後半猿の惑星風じゃね?」
設定だけの映画で終わらず、後半もある程度脚本が攻めたこの作品を褒めたい。
パンドラの箱に残った希望とは
原作ものということで、発想やテーマはすごい。感染元の設定のおかげで...
次世代ゾンビ映画
本当に全く新しいゾンビ映画かも
いわゆる「ゾンビ映画」と言えなくもないが,ゾンビ化のメカニズムやストーリー展開は唯一無二で,既存のどの作品とも似ても似つかない。実に個性的でオリジナリティのある作品だと思う。2014年に発表されたM・R・ケアリーの手になる同名小説が原作となっており,映画化に際して著者自らが脚本を手掛けただけのことはある。
原題は『The Girl with All the Gifts』なのに,なぜ邦題が『ディストピア パンドラの少女』となるのか理解に苦しむ。確かに舞台は近未来のディストピア世界かもしれないが,この映画の本質が人間とウィルス,あるいは人間と「セカンド・チルドレン」の共生にあることは明白だろう。
主人公のメラニーは極めて特殊な「セカンド・チルドレン」ではあるものの,だからといって彼女を「パンドラの少女」と表現するのはちょっと違うと思う。なぜなら彼女は「最後に残った希望」ではないからだ。本編のラストで明るい未来を感じさせるシチュエーションが描かれているが,よくよく考えてみればそこには一片の希望もない。メラニーは地球上にただ一人残された「先生」と「セカンド・チルドレン」をつなぐだけの存在だ。このラスト・シーンから「希望」を汲み取るのはかなり難しい。
とは言え邦題の意味不明さを除けば素直に楽しめる作品であることは事実。オーディションで500人の中から選ばれたセニア・ナニュア演じる主人公メラニーの生き生きとした表情が印象的だ。
読んでもないのに絶対小説>映画 なんだろうなぁと思った
単なるパンデミック系近未来ゾンビ映画ではなく、1歩先を見据えたスケール作品。原作の小説はさぞ名作なのだろう、とこの長ったらしくもある映画を観て思った。
大量の感染者の中でなぜか抗体を持ち…っていうタイプならまさにバイオハザードの二の舞だけど、主人公メラニーは感染者でありながら人間と同じかそれ以上の知能を持つプロトタイプ。人類の救いとなる為に赤ん坊の頃から厳重な拘束状態で生活してきたが、成長し様々な知識を得て世界を観ると自分の置かれる状況に疑問を抱き始める…という至極自然な感情の動きがきちんと描かれていて、衝撃的とも言えるエンディングもすんなりと受け入れたくなってしまった。
災厄をまき散らしはしたが、たった1つの希望だけは守ろうとしたメラニーはまさにパンドラの箱のような女の子。行動前に自分に「人類を救う代わりの死」を求めた博士に対し、自分はアイデンティティを持った生き物か?を繰り返し問い、その答えを受けて「ならなぜ人間の為に死ぬの?」という何とも純粋でシュールなコメントを返す。メラニーと仲間たちがこれまで受けてきた扱いを考えれば、人間の為に死ぬ事に意義を見いだせないのは当然だ。
全体を通せば結構面白かったなぁと思うんだけど、中だるみが激しく退屈になってしまった事と、パディ・コンシダイン演じる軍曹の最期が若干やっつけ感が出てしまっていて悲しみの涙も引っ込んでしまったところが残念。
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