アダムズ・アップルのレビュー・感想・評価
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信じる者は…
救われる。父親からの虐待、妻の自殺、息子が脳性麻痺、自分は末期の脳腫瘍と数々の不幸なせいで全ては悪魔のせいと気持ちを押し込め、現実逃避をしながらも奇跡的に生きている聖職者イヴァン。各々の人生の試練に耐え切れず、そんな彼を慕う人々。出所したばかりのネオナチ思想のアダムはこの風変わりな人々、特にイヴァンに現実を分からせようと試みたところ、ついにイヴァンも受け入れた結果、息も絶え絶えに。しかし、奇跡が起き、脳腫瘍も吹っ飛び、生きることに。全ては神のなせる技。人生には必ず試練がある。それにどう付き合い、乗り越えていくのかは自分次第。ラスト、あれだけ苦虫を噛み潰した顔をしていたアダムが車中で口ずさむ姿が良かった。
デンマークのヒューマンドラマ?
主役のイヴァンとアダムの役柄設定と巧妙な演技が良かったです。最後はスキンヘッドでネオナチだったアダムが髪を伸ばしイヴァンとお揃いのベスト着てるのには笑いました(^^)
世にも奇妙な変人達の宴
年配のお客様に「どんな映画?」と聞かれた上映館のスタッフさんが、「ちょっとブラックなヒューマンドラマです」と答えていた。説明と勧め所の難しい、このような作品は大変だな。
狂気あり、暴力あり、笑いあり。不条理で、難解で、でも何故かラストはちょっとほっこり。
キリスト教的メタファーに満ちているのは間違いないが、教訓があるような無いような、ただアイロニカルな笑いに気持ちよく転がされているだけのような
飄々とした、奇妙な魅力を持つ作品である。少し落語の感覚にも似てるな。
全員が全員普通じゃない登場人物達。刑務所上がりのネオナチマッチョが、イヤイヤ、可笑しいだろ!と、ツッコミ役に回る有り様。
独善的盲信的な神父の、狂気を感じる気味悪さ。彼の盲信を裏付けるかのように次々と巻き起こる事件。明らかな欺瞞を暴く事で、むしろ崩れていく平穏。人としての欠如がもたらす救い。
そして、いつの間に何故か辿り着く。冒頭で悪意を持って車体を傷つけたナイフで、小さなリンゴケーキを切り分けて、むさ苦しい男が二人、並んで頬張る絵面の微笑ましさよ。何がどうしてこうなった。
世界はかくも不可思議。人間如きのちっぽけな善悪論で、サックリ切り分けられるものではないのだ。
暴力もグロ表現も多少あれど、差程陰湿でなく、バイオレンスの苦手な私でも拒否感なく見られた
死や宗教、人種に関してのかなりブラックで際どい表現、ナンセンスな展開は、受け手を選ぶだろうが、センスが合えば、映画ってこうであって欲しいよなーという、創作ならではの快感が得られるだろう。
それにしても、『ボーダー二つの世界』といい、北欧映画は侮れないなぁ。
全ての愛はきらめきの中に
まったくノーマーク、だけど観て面白かった映画。タイトルが示すように、聖書と寓話がベースになってはいるが、お話は狂信的な神父、ネオナチ、アル中の妊婦等々、一筋縄ではいかない登場人物たちが織りなすブラック・コメディの仕立て。ドタバタ感はなく、むしろ淡々と物語が進行してゆく感じだ。最近の北欧映画独特のブラックさを堪能できる(笑)。マジか!という凄いような凄くないようなオチにも驚いたが、このじわじわと来る映画の感触は笑っていいのかいけないのかさえ分からなくなる不思議さだ。ビージーズの「愛はきらめきの中に」がミスマッチなくらいにマッチしていた。
最初どうなるんだろうって、
心配してたけど、見終わってとてもすっきりした気分になりました。
まさか銃弾が脳腫瘍を吹き飛ばすなんてビックリです。
ちゃんとアップルパイ作れてほっとしました。チームワークですね。
"Ivan Lambert Andersen" なんて良き響きか⁉
例えば、普段から、他人には決して知られないように心の中では、電車に乗るときなんか、人の迷惑にならないように"2列でお並びください"とアナウンスされれば、並んでいる列の最後尾に回ってまですすんで並び、しかも席には座らず、電車内での携帯は、電源を切り、動画や検索結果の誘惑に負けそうになったり、部下や家族からの頼み事は嫌な顔は微塵にもみせずに進んでするように心がけ、チョとした小さな善行が大きな善行につながると思っているのに....! なのに財布を落としたり、若い人からは、陰口をたたかれたりするのはまだしも本当に殴られたりもする。そして、ストレスからの病にもかかるッテ、一体全体、どこまですれば善いのですか?主よ⁉ そして、仏様.....はないか? 冗談言うくらいなら書くなってか?
ある映画の台詞 ”でも本当に良い刀というのは鞘に入っているものですよ”
そんな台詞なんて、端から蹴散らしそうなアダム。その仏頂面からイヤイヤ、刑務所から仮釈の為の更生復帰施設の教会に向かい、その送迎バスを降りるや否や、バスにナイフで傷をつける人。右腕には鉄十字の入れ墨を入れ、迎えに来た施設長であるイヴァンが荷物を持ってあげようとした手を跳ね除けてしまう有様。この映画の主題とも言える、人を信じること。教会への途中、イヴァンが音楽 ”How Deep Is Your Love ” をかけるとすぐに消すアダム。荷解きをするときには、ヒットラーの肖像画を十字架をどけた後に飾り、ドア近くにあるタンスの上に聖書をほったらかしにする始末。しかし何かにつけ”Book Of Job”の章のページが開く?
アダムの心の固くなさを少しでも和らげるためか、イヴァンがアダムに何か目標を持てばいいんじゃないかと提案したところ、アダム自ら........
(ナチスといえば鉄十字勲章、ドイツではその古くは中世から現在に至るまで紋章として、勲章として指す。ネオナチの象徴とは⁇)
I would like to bake a cake. Yes, the apples from garden.
イヴァンが、子供の事で、相談に来たサラに対するおざりな態度や同じ仮釈放を待つ立場のガス・ステェーション強盗犯のカリードと、アルコール依存症で窃盗・レイプ犯のガーナーが今でも犯罪を繰り返しているとイヴァンに告げても別の見方をして、反対にアダムに説得をするように言うものだから、アダムは感情失禁どころか、それを通り越して、イヴァンをアンドロのような面相になるまで殴りつける。それでもイヴァンは....次の日
(アンドロ:The Man Who Was Never Bornのキャラ1963年公開)
I'm going to the casualty room.
-Will you pass the market?
I could.
-Could you get my cough syrup?
Sure, what's it called?
-Von Osten.
Right. Think about what we can do about the birds, if you have time.
フルボッコ状態で、口笛を吹きながら、出て行くイヴァン。何かおかしい⁇ その後アダムはイヴァンの過去と現在の言葉では表せない彼の状況や、そして彼は何故、耳から血を流すのか?村の医者のコルベルクに聞く。その話の途中、コルベルク医師は、イヴァンは、”the Ravashi syndrome”? だと説明する。(the Ravashi syndrome:架空の病気)
I think Satan is testing us.
He's testing your strength to withstand him.
風前の灯火の庭のリンゴの木。"罪と死の象徴"ワタリカラス襲来・"悪魔のリンゴにはすべて虫がいる" 張りのウジ虫攻撃・落雷でリンゴの木は終になくなります。(カラスが枝にとまっているシーンで カラス が木の枝に足をくくり付けられているかも?)この時にはアダムは、リンゴパイを作ろうと努力をする立場になるが、しかしリンゴパイを作るオーブンも使用不能となり、どうするアダム。残ったわずかながらリンゴ7個を集め、後はカリードとガーナー2人の力を借りてガス・ステェーションにレンジを拝借(強盗)に行くだけ......
あくる朝、洋々として帰ってきた3人がそこで見たものは.........!!!!!
What are you doing?
Where are the other apples?
-We ate them.
Have you eaten seven apples?
He was hungry. You only had beer. 一同、がっくり
You look good in that outfit.
Did we fool around yesterday?
ここにも出てくるリンゴの数が7という数字。スティーブン・キング原作の「IT Chapter Two(2019)」に出てくるルーザーズ・クラブのメンバーは7人。数 字の7は神に関する一般的なシンボルで、ユダヤ教では神聖なる契約や、その他聖なる目的での象徴として頻繁に使われ、例えば1週間の7という繰り返しの基本とする宗教的な数字となっているが、数字の6は、真逆に ”不完全” を意味する。
前に、ネオナチの連中の1人がカリードの放った2発の銃弾を浴びてしまい、その仕返しに大勢を連れて乗り込んできた。その時、不幸にも神父であるイヴァンが誤って頭を打ち抜かれてしまう。
In medical terms this is called a half Kennedy.
He won't get over that. I can assure you of that.
Well, you just say your goodbyes and I'll stick the kettle on.
イヴァンとリンゴパイの運命はいかに....? だが....!?
“He is in your power, but you must spare his life!”
ヨブ記をベースにしていることを説明に載せるサイトが多いのはわかるし、この映画の作者の方々も教訓じみた旧約聖書に載っているこの話を現代風にブラックな冗談を織り交ぜ、アレンジをした才能は素晴らしいと拍手を送りたくなるが、この言葉も付け加えたい。
Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces,
I would still plant my apple tree.
イヴァンの息子のクリストファー。車いすでしか移動できないが、イヴァンからすれば、彼の素晴らしいところしか見えていないようで”Blindspotting” ともとれ、この映画のイヴァンの立ち位置が"苦悩に対しては、脳が受け付けないようになっている"ことを象徴している。しかもサラが授かった新しい命にも寡聞の人間にとっては、不安でしかない。それを敢えて映画に登場させる、ある意味、勇気と言ってもいいものに頭が下がる思いになる。
モーゼ直筆の書とも作者不詳ともいわれ、伝説的意味合いの多いユダヤの教え。そのヨブ記に登場する人たちの中に、個人的には少なくとも4人の登場人物がいると思っている。この映画にはもちろん全能の神は登場しない。あと3人、ヨブはもちろんイヴァン。あと2人、最後に登場するエルフがアダムか?だいぶ違うかも失礼。そして残る1人、最後の最後で言わなければならないSci-Fiテレビシリーズ「ティープ・スペース・ナイン(1993)」にも登場する”ジ・アドバーサリー”という魔王。もともとはサタンとも呼ばれ、全能の神にある約束をそそのかしたサタン。それをいいことにヨブを陥れようとする。Jesus says that 'Only God is Perfect' の意味するところ。もし、これが崩れることがあろものなら、この世は...!? 映画.comのポスターには、このサタンとされる人物は載っていないけれども、たぶんこの映画を理解しているオリジナルのポスターには、その人物を載せているので、ある意味、揶揄的また比喩的な映画でもあると自身では思っている。ただし、ヨブ記で例えるなら役目は誰かと言っているだけで、映画では悪魔としては出た来ませんのであしからず。それなら書くなってか?
ラスト、新しくやってきた仮釈志願の2人の若者の前に1人の登場人物がパツキンに、そして.........!
Finally パチパチ
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