「ハラハラ、興奮、感動を乗せて、ゾンビ急行はノンストップ!」新感染 ファイナル・エクスプレス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ハラハラ、興奮、感動を乗せて、ゾンビ急行はノンストップ!
まずはやっぱりこのウケを狙っているような邦題を聞いた時、あちゃ~と思った。
でも予想に反して、相次ぐ面白かった!の声。
話も設定も面白そうだなとは思っていた。
で、実際に見てみたら、確かに面白い!
日本でも『アイアムアヒーロー』というゾンビ映画の快作が作られたが、こりゃまた韓国に差を付けられたな…。
釜山行きの列車の中で、何かの感染でゾンビと化し、次々と乗客を襲う…!
韓国製ゾンビ映画というのも珍しいが、ゾンビ×列車パニックというのもこれまで無いジャンル。(未公開のB級映画ではあるかもしれないけど…)
つまりは、走る密室。
逃げられない。隠れる場所も少ない。別の車両に移動しようも隣の車両にはゾンビたちが居て移動も出来ない。
途中駅に着いても、そこはすでにゾンビだらけ。
ゾンビ映画数あれど、これほど絶体絶命な状況はそうそう無い。
ハラハラドキドキ、スリリング!
アクションもダイナミック。
ほとんど列車内の密室だが、外界の終末的なスケールも充分。
ゾンビ映画あるある、序盤のあちこちで何か異変が起こり始めている不穏なムードもいい。
最悪のゾンビ急行の発端は、一体のゾンビの駆け込み乗車。皆さんも列車に乗った時、ゾンビの駆け込み乗車にはお気を付けを!
ゾンビ映画でありながら、感動した!泣ける!という声も続々。
前半はまだハラハラドキドキだけだったが、中盤~後半はドラマがどんどん熱くなってくる。
話のメインはファンドマネージャーの父ソグとその娘スアン。
父は仕事人間で、勿論娘の事は大事に思っているが、全く構えない。誕生日にまさか以前と同じ物をプレゼント。
こんな状況下でも他人を思いやる娘に対し、父は自己チュー、自分が大事。まだ逃げてる人が居るのに、その目の前でドアを閉める。
そんな父親が、次第に他人を助け、何よりも娘を守ろうとする様がツボを抑えて描かれる。ラストはついつい目頭が熱くさせられちまった。
この父娘だけじゃなく、作品は群像劇スタイルで、各々のドラマもまた心揺さぶる。
何と言っても、中年男サンファと妊娠中の妻ソンギョン。
サンファの最初の印象は、韓国映画いるいるの粗野なヤな感じ。
が、この状況下で誰よりも漢気溢れ、腕っぷしも強く、頼りになる~!
ソグに目の前でドアを閉められたのがサンファ。その後立場が逆になった時、「早く来い!」と見捨てない。
非常に妻思い。この奥さんも妊娠の身でありながらなかなかタフ。
ネタバレチェックを付けるので書いてしまうが、サンファは犠牲になる。その時の妻との別れには本作で一番感動させられた。
高校生カップルや老姉妹もドラマを盛り上げる。
ドラマの面白味では、ゾンビ映画の中でも最上級!
感情移入してしまう面々も居れば、心底ムカつく連中も。
ゾンビ映画あるあるの閉ざされた空間の中の人間模様。
韓国映画いるいるの言動も横柄で民族レベルの低い連中。(失礼!)
その二つが混ざり合ったのだから、殊更エゴ剥き出し。
バス会社の重役を始めとする安全な車両の奴らのクズどもが!
テメーら全員ゾンビに喰われちまえばいいんだ!
実際そうなった。へへ、やりぃ!ザマーミロ!
と思ったら、あのバス会社の重役だけ命拾いしやがった!
テメーのせいで何人犠牲になったと思ってんだ!?
テメーが一番最も酷い死に方しやがれ!
…おっと、こんな事言ったらスアンに注意されちゃう。
そんな事言う人が悪い人だよ、と。反省。
(あ、一応そのクズ野郎は死にます)
ゾンビの描かれ方もユニーク。見えるものに襲いかかり、トンネルなど暗くなると見えなくなる。
で、明るくなり、ドアや窓を突き破って雪崩れのように一気に襲いかかるシーンはスリリングではあるが、何故だか笑えてもくる。
別車両への移動どうするのかと思ったら、武器を持ち、噛まれないように腕にテープなどを巻いてのまさかの強行突破! …いや、アンタら主役格だから何とかなったけど端役だったら完全襲われてるよ…などなど、強引な点、ツッコミ所も多々。
でもそれらもノンストップで乗り過ごしてしまうくらい、ハラハラ、興奮、感動のエンタメであった!
そもそものこの異常事態の発端は…?
前日譚のアニメ『ソウル・ステーション パンデミック』で描かれているそうで、一緒にレンタルしてきたので、さあ見よう!
その後は『我は神なり』もだね。
ヨン・サンホ監督、要チェック!
そういや本作、ハリウッド・リメイクが決定したんだっけ?
やめなさい!!