「お米ができるまで」ごはん レントさんの映画レビュー(感想・評価)
お米ができるまで
御多分に漏れず「侍タイムスリッパー」から遡ってこちらを鑑賞。さすがにかの作品ほどのものを期待してはいけません。あんな傑作にはそうそうお目にかかれるわけありませんから。
普通に良い映画です。昔、小学校の体育館で見せられた教育映画のような。本作鑑賞後、おそらく製作配給の未来映画社の人が意見を聞かせてほしいというアンケートを取ってたので、そのまま感じた通り小学校で見せたらいいのではと言ってしまった。いい意味で言ったつもりだったけど商業映画としては弱いという本音がつい出てしまった。
確かに親が子供に見せたいような映画。逆に子供はコナンとかドラえもんがいいのにと拗ねてしまうだろうけど。それくらい地味な作品であり、エンタメ性は低い。毒っけもないので娯楽作品としては物足りなさも感じるかも。
ただ安心してみていられるし、やはりこの監督は人間を描くことには長けていると思う。描くべきところはちゃんと描いてる。だからこそ今回の「侍」の成功があるんだろう。信頼できる監督だと思う。
昔、親からご飯は米の一粒一粒にお百姓さんの汗と涙が詰まってるから一粒も残さず食べなさいとしつけられた。だから今でも米粒を残してる人を見ると気になってしまう。
本作はお米が取れるまでどれだけの手間と労力がかかっているのか子供に教えることができるし、大人にとっても代々お百姓さんたちに受け継がれてきた知恵を知ることが出来て勉強になる。本当にご飯のありがたみを感じられるいい映画だ。
ちなみに主人公のひかり(コシヒカリからつけたんだろうか)が西山老人からお父さんの言葉を聞かされて東京に帰らず農作業やる決心したんだけど、その言葉が後半明らかにされると思ってみてたけど結局は明かされずじまい。あと、げんちゃんがギプスをしていながらどうやってズボンはいたのかも謎のままだった。さては監督は続編まで明かさないつもりか。んなわけないか。
最近令和のコメ騒動があったばかりだけど、日本人のコメ消費量はここ60年で半減してるのだという。食の欧米化でパン食が増えたりしたせいだが、コメの消費量に合わせて減反政策なんてのも過去に行われていたっけ。
今回のコメ不足では新米の季節とかぶってたから新米の値を下げないように備蓄米の放出もなされなかった。
日本の食料自給率は30%台と相変わらず低く多くを輸入に頼ってるので戦争や災害などの世界情勢に影響を受けやすい。カナダやアメリカなんかは200%を軽く超えているのでいざとなれば輸出を止めて自国の消費に回せるが日本はそうはいかない。
コメの生産もやはり農家の跡取り問題や高齢化でその担い手が不足していて本作のお父さんのように他人の田んぼを一人で請け負い負担が大きくなってる現状がある。そんな事態を打開しようとスマート農業がいま注目されている。ドローンを使った害虫駆除や本作でも苦労していた田んぼの水位を監視するのをコンピューターで制御したり、広大な範囲を少人数でもカバーできるという。
国も無駄な兵器買う金あるならこういう事業にもっと補助金増やしてやればいいと思う。食料自給率低い国が戦争やるなんて自殺行為だからね。