怪物はささやくのレビュー・感想・評価
全74件中、1~20件目を表示
あまりに切ない題材をファンタジーの力を借りて掘り下げるバヨナの力量
スペイン出身のバヨナ監督は子供の表情を捉えるのがうまい。それも上辺だけの演技ではなく、深層心理が自ずと剥き出しにされる瞬間を的確に映しとって見せる。何よりも冒頭で、主人公が悪夢にうなされ子供とは思えない形相で飛び起きる場面から、彼が今、両手では抱えきれぬほどの様々な思いを抱え込んでいる只事ではない状況が伝わってくるのだ。思えば『永遠のこどもたち』は屋敷にて深層心理の階段をゆっくりと下るようにして幼子を探し求め、『インポッシブル』では大惨事の巻き起こる中で、親子が互いを探し求める物語だった。そう考えると、病を患った母と、その事実を受け止めきれない息子の物語にも何かしら通底する音色を感じ取ることができる。怪物の存在、そして「真実の物語」を通じて、儀式的に少年の心を覆ったベールを一枚ずつ取り除き、その深部にある自分の気持ちと真向かわせているかのよう。本作もまたバヨナの才能を裏付ける秀作として語り継がれていくことは間違いない。
現代人に向けたおとぎ話
状況は変えられない。
「辛い真実には嘘が必要だ」
でも「大切なのはそんな考え方ではなく、行動だ」
行動とは「真実を話すことだ」
この作品が最も伝えたい唯一のこと。
確かに人は、自分の都合のいいように出来事を解釈する。
それはそれで仕方ないが、自分に嘘をついてはならない。
そして、
一つ目の物語のように、誰かが悪く誰かが良いのではないということ。
さて、
母親の死に向き合うということは、コナー少年にとってどれほど苦しいことなのか。
孤独
毎晩見るナイトメア
その中にコナーの真実が隠されている。
「もう終わらせたかった。死ぬと分かっているのが辛かった。だから手を離した。ボクがママを死なせた。ボクは治らないと最初から知っていた。もっと頑張れるのに手を離した」
それは、決して口にできないこと
誰もそうしているし、そう思っている。
「そう考えるのは悪いことだ」
いじめ
本当は殴ってやりたいけど、怖くてできない。
リビングの破壊
「何も触らないで」
どこにも居場所はない
誰もボクの孤独をわかってない。
心の怒りをぶつけたい。
心を、開放したい。
何もかも思い通りにならないイライラ
感情
感情というコントラスト 喜怒哀楽
それを押し殺すことで起きるイライラ
「本当はどうしたい?」
「お前の真実を話せ」 お前の意見を言え
心の真実は真の願い
人間とは本当に面白いもので、社会性という枠の中で押し殺してしまっている自分自身の感情にさえ気づかないことがある。
ここに諸悪の根源があると作者は考えたのだろう。
状況を変えることはできない。
「自分自身も、変わる必要などない」
ただ、「自分は本当はどう思ったのかを明確にすることが必要」なのだろう。
「あとはお前が心から素直に真実を話すことだけだ」
人に合わせる
自分の意見を言わない
その他大勢に紛れてしまって「私」が「存在しない」ようになっている。
つい人が陥ってしまっていること
それに気づけとこの作品は言う。
それをコナー少年と怪物に託した物語
さて、
最後に祖母がコナーの部屋を用意してくれる。
机の上に置いてある母のデッサン帳
そこに描いてあった絵と怪物の話した3つの物語
そして最後に小さな少女の絵
それは少女時代の母 または彼女の魂
そしてあの怪物
おそらく4つ目の物語、つまり母の真実とはいつか怪物の背に乗り、コナーに「心の真実を語る」大切さを教えたいと強く願ったのではないだろうか?
そしてその「タイミング」がやってきたのだ。
母が最後にコナーに伝えたかったこと
「心の真実を話すこと」
当たり前のことが、当たり前にできなくなった人間たちへ向けられたメッセージ
素晴らしかった。
深いけど謎も多き映画
何もかも上手くいかず周りから白い目で見られながらも、病に苦しむ母親に必死に尽くす少年。
そこに現れ何かを諭すように話しかけてくる不思議な木の怪物。
待ち受ける運命へと揺れる少年の心の葛藤を描く感動のダークファンタジー。
リーアム・ニーソンの声が怪物にハマり役でした。
様々な人間が周りにいて、誰が善人なのか悪人なのか、怪物が教えてくれる言葉の一つひとつが妙に深くて考えさせられる。
しかし謎も多き映画であることは確か。
“少年の気持ち”という部分では良かったと思うのですが、それ以上に なぜ? や どうなった? という疑問も多く残ってしまった。
今まで見てこなかった
多分つまらそうと勝手におもってた。今回涙してしまう程感動した。
子役の演技、目力、表情が素晴らしい。一瞬目力見るとBenicio Del Toroの表情にも重なる名演技。
ファンタジーも盛り込んでいるが全くバカバカしくなく、怪物の言葉に耳を傾ける。
悲しいストーリーを見事に感動へ導くラストは見逃せない。 監督さん、脚本家、見事な作品でした。👏👏👏
泣ける。
囁き声ではない
2023年5月4日
映画 #怪物はささやく (2016年)鑑賞
難病の母と暮らす少年の前に怪物が現われ、これから3つの「真実の物語」を語ること、そして4つ目の物語をコナー自身が語り、その内容はコナーが隠している「真実」でなければならない
#フェリシティ・ジョーンズ がお母さん役とはね。気づかなかった
ずっと主人公の本音を知りたかった。 終盤に彼が叫んだ一言。 それは...
ずっと主人公の本音を知りたかった。
終盤に彼が叫んだ一言。
それはまだまだ自分の感情もコントロールできないひ弱で優しい子どもにとってこれ以上の答えはないだろうと思えるものだった。納得もできたし涙するしかなかった。
あと、個人的におばあちゃんが最高に好きでした。
思春期の悩める頭が重たい時期を表した物語。
内容は、12歳の少年と何千歳かの丘に立つ巨大木の怪物との対話により様々な矛盾や問題と向き合い魂の解放へと導かれて行く物語。印象的な言葉は『本当は他の全てが夢かも知れないんだぞ?!』認識論は、それだけで面白い作品のテーマになる。『真実とは、えてしてそういう物だ!』『世の中、善人も悪人もいない。だいたいその中間だ!』この時のイチイな木の巨人の目は何処となく主人公コナーににている。この様な言い回しはパンチラインが聞いていて上手い。大人も尻込みしてしまうかも知れません。『末永く複雑だよ。』無責任な大人の我儘に振り回される子供の辛さ。大人は子供と認識している者に本当の言葉は言いません。その辺りの誤魔化した大人の狡さの表現が上手い。自分も思い出すとそう思います。『人は真実の辛さを和らげたくて都合の良い嘘を信じる。結局はどう行動するかなのさ』行動の本質を突いた言葉にはグッとくる。このイチイの木とコナーの対話には祖父とも、もう1人のイマジナリーフレンドとも取れるミスリードが素晴らしい。お母さん(リジー)が最後に自分が子どもの頃に、今のコナーと同じ経験をしていたと分かる最後は、カタルシスの解放加減が素晴らしい。思春期とは、取り返しのつかない事をしてしまう時期だからこそ大切な人生勉強の時期なのではないでしょうか。最後の静かな過去を振り返り懐かしみ認める様な主人公の演技は素晴らしい。映像で語るカタルシスが取っ付きにくいかも知れませんが噛むほどに面白い作品だと思います。
考えさせられる
ダークファンタジーと知りながら見ましたが、思ったより深い話でした。
大人でも共感できる内容ばかりでした。
個人的には好きなジャンルです。
もう少し細部まで理解できるような演出があるとさらに良かったと思います。
途中のアニメーションの絵がとてもキレイでした。
前振りが長い
まわりくどい展開。
はじめは思春期の心の葛藤を
描いているのかと思ったけど、
シンプルに大切な人の死を受け入れられないがために、どう折り合いをつけるかを木のモンスターを介して描いている。
こういうテイストは自分が事故で死んだことに気付かず、真実を求めさまよった結果、自身の死を受け入れる映画とよく似た技法。
ラストの終わり方もよかった。
母親も息子と同じような経験、感性をもっているのだと読み取れる。
CG満載なんだけど、水彩画の様なCGを使っていたので、良かったと思う。
ストーリーは言うまでもなく、素晴らしいと思う。精一杯生きて、最後に運命を受け入れる。そういった気持ちが癒やされるって事か。
CG満載なんだけど、水彩画の様なCGを使っていたので、良かったと思う。
ぐっどきたけど、泣かないで見た。この映画の主題がそうだと思ったので。丁寧に描かれた傑作だと思う。
ヤングケアラー
病に侵された母と2人で暮らす少年コナー。洗濯や料理など、自分だけでなく母の世話までする毎日。学校ではイジメられ、もうズタボロ。そんな彼は、地面が割れて崩れる中、母を助けようとしてできない、という夢をしばしば見る。その度に恐怖で目覚める。
ある日の夜中、突然コナーの下に怪物が現れる。怪物は物語を3つ語って聞かせるので、4つ目はコナーがおのれの真実を話せ、と言う。怪物の物語はどれもスッキリしない結末で、コナーは理解できない。そうこうするうちに、いよいよ母の具合は悪くなっていく…。
水彩画が使われる画面はすごくきれい。質のいい絵本のよう。繊細な絵が、そのままコナーの心情を語っている。水をたっぷり含んだ色が、紙の上を流れる様子が、それだけでドラマティック。
悲しいけど、透明感があって、優しい映画だった。母の愛はどこまでも強い。
主演のルイス・マクドゥーガルくんは、まつ毛が長くて、愁いが漂う。これ以後、出演作品がないようだけど、どうしたのかな? 成長した姿が見たいな。
日テレの放送を録画で鑑賞。
誰もが避けて通れない「死」を乗り越える物語
アマゾンプライムで観賞。
大切な人を失う悲しみや恐怖、それをどう乗り越えるかは全人類の普遍的なテーマだがそれを子供が乗り越えるのは容易なことではない。そんな子供にとって怪物との出会いは大切なきっかけであった。怪物は何者だったのか最後まで明示されなかったが、大した問題ではない。怪物の正体がたとえ夢や妄想でも、それが人に勇気や希望を与えるのであれば、肯定されるべき尊いものだと思う。素敵な話しだった。
この物語は何だ‼️見たことも聞いたこともない‼️
この切なさは何だ⁉️初めての経験。このような切り口と表現はかつて経験したことがない‼️衝撃の物語。最初どんなにダルくても見た貴方は最後は必ず画面に向き合って正座していることだろう❗号泣するでもなく、一条の涙を流すでもなく、味わったことの無い深い感覚の前に心が揺さぶられている筈である。
タイトルなし
イギリスの作家パトリック・ネスの
ベストセラーが原作
J・A・バヨナ監督が映画化
スペインのゴヤ賞で9部門受賞した
ダークファンタジー
.
病に冒されている母
その事実を受け止めきれない少年コナー
祖母・父・級友を遠ざける姿から
少年の不安や孤独・悲しみ・怒りが
痛いくらい伝わってくる
孤独な少年は
現れた怪物(癒しの木の精?)と交わした
真実の物語を通し
閉じ込めていた想いを解き放つ
.
孤独から逃げたい
苦痛から逃げたい
それが人間
真実の辛さを和らげるためには
素直な気持ちを話すだけ
.
不条理
矛盾
孤独・闇
善悪だけではないのが現実の世の中
3つの物話を通し
少年の心に語りかける
ささやいてる……?
正直、少し退屈ではあった。
少年のカタルシス、イニシエーション・ストーリーとしてはしっかりと型に倣った展開だったと思う。
しかし、最後のお母さんの絵が表すものがいまいちしっくりこない。というか、写真に写ってたけど、怪物はおじいちゃんなの?笑
そして、ささやいてないけど。
全74件中、1~20件目を表示