怪物はささやくのレビュー・感想・評価
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フツー
少年が成長するだけの話。前評判なく見たら良い映画ね( ´_ゝ`)ってなったかもしれないけど、パンズラビリンスと比較するような批評を見てしまったので期待してたのですよ。薄い薄い。雰囲気分からんでもないけど薄いよ!
決して綺麗事だけでは語れない。“怪物”がこじ開けた、少年の心。
【賛否両論チェック】
賛:心を閉ざした孤独な少年が、夢に出てきた怪物が語る物語によって、自分の本心と向き合っていく様が、不思議な雰囲気の中で描かれていくのが印象深い。ラストも感動的。
否:展開は非常に静かなので、気をつけないと思わず眠くなってしまうかも。
学校でイジメに遭って孤立し、唯一の拠り所であるはずの母親は重い病で不安定。そんな孤独な少年の夢に姿を現した怪物が語る、「善悪」「信念」「存在」にまつわる物語が、少年の閉ざした心から、その本当の感情を引き出していきます。
やがて母親の容態が悪化し、少年の心もすさんでいってしまった時、3つの物語を語り終えた怪物が、少年がずっと想いながらも表に出すことを許せずにいた“心の叫び”を解放させるシーンは、本当に印象に残ります。
決して明るい気持ちで観られるストーリーではありませんが、人としてどう生きていくかの道標になるような、そんな作品です。
12:07
家の窓からから見える巨大なyew tree。この大木が、ある時刻になると目覚めてMonsterに化けます。よく喋る高齢Grootといった感じ。墓地に植えられていることから死を受け入れる象徴のようでした。
Monsterが語る最初の2つの物語は、死が絡み善悪が不鮮明な内容で、滲む水彩画に良くマッチしていました。3つ目の物語はもう少し工夫して欲しかったです。
Monsterの声を担当したLiam NeesonはConor少年の祖父として写真に写っていました。Monsterはおじいちゃんの化身か?!って訳ではないようで。
互いの想像力とスケッチを通して、危篤の母と残される息子との対話とも読めるし、もしかしたら母親自身も、父親(つまり少年の祖父)を幼い時に失くした際、Monsterに癒されたのかも知れません。
母親の病、両親の離婚、祖母への反発、学校でのいじめ、と様々なストレスから怒りを噴出させる13歳の少年。心が壊れるくらいなら、家具を壊すことなど大したことではない。少年の祖母にとっても、夫に加え娘にも先立たれるという不運を乗り越えなければなりません。人生はままならないこと、折り合いをつけて受け入れていかねばならないという、大人になってもなかなか難しい教訓がテーマのようでした。
"Most of us just get messily ever after."
よかった
悲しい話で、主人公がその内面の現実と向き合う、よくできた話だったのだが、よくできてると言わせたい感が強い。もうちょっといびつな話でもいいのではないかと思う。特撮映像が素晴らしかった。
いじめっこがそんなに意地悪な顔をしていないところがリアルだった。その取り巻きの子分みたいのが手を踏んづけてムカついた。
お母さんもつらいが、何より友達がいないのがつらいのではないだろうか。
4つ目の物語
とにかく画面が綺麗で、水彩調のアニメーションも美しい。それだけで映画館で観て良かったなと思える一本。
派手すぎず地味すぎず、いい案配だなと。また、コナー少年の陰のある雰囲気も良かった。
彼が4つ目の物語で「僕が殺した」と叫ぶシーン。じつは母親の薬を入れ替えてたのかなとか深読みして、そんな自分への罰へとしてイジメられていたのかなあと。
為になる話
絵本が原作と聞いていたので、軽い気持ちで観に行ったが、始まってみたらかなり重い内容であり、怪物の三つの話はとても為になる話であったが、自分には少し難し過ぎたのか観終わった後なんだかモヤモヤしてしまった。
TOHOシネマズみゆき座にて観賞
成長型空想ファンタジー作品としては定型を踏襲しており、さほど独創性があると思わなかった。
赤い火花が内部から散る怪物は、ここ数年で何匹目だろうか。
しかし、話も演出も弱さは無い。
目を見張る構図が時折あり、アニメーションには見惚れる美しさがある。
ルイス・マクドゥーガルを抜擢したのも大きい。孤独だがどこか目に強い意志があり、これが物語の核心になっているのは唸る。
シガーニー・ウィーヴァーもいつになく良い。
観賞後に原作者の一人が病に倒れていたことを知った。最後の少年と母親の繋がりを思い返すと、今頃泣けるではないか。
生きている限り続く矛盾
予告を見てファンタジーだと思ったら全然違った。
でも、とても染みた。
母親の病と鬱々とした日々。
生きていると色々突き当たる矛盾。
その矛盾を受け入れられずに生まれたのがグルートってことなのかな?
さすがに妄想の怪物を見るほどじゃないけど思い当たる事はある。
お互い好きなのに別れなきゃならない状況。
痛いのはイヤだけど構われないのはもっとイヤ。
嫌いだけど理解して受け入れなきゃいけない。
グルートの矛盾の物語りは遠回しに道を示す。
生きている限りこれからも矛盾に当たり、嫌々受け入れ、それに苦しむ。
でも、もう二度とイチイの木は立ち上がらない。
過ぎし日々の葛藤を想う
体調不良で映画に集中できず。
寝落ちするはトイレに立つはで残念…
そんな日は劇場に
足を運ぶべきではないですね。
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2017.6.21 TOHOシネマズみゆき座にて1回目
少年に突きつけられる過酷な現実
そして人間の真実を語っていく怪物。
現と空想の間を自在に行き来する
少年の心象を綴った脚本が実に魅力的。
ルイス・マクドゥーガルの
大人びた凛とした眼差しが
思春期の危うさを醸し印象に残る。
愛溢れるエンディングに向けて
涙が止まらなかった。
素晴らしい映像美と真実の深さ
数年に一度、観て良かったなぁと思える映画に出会います。これはまさにそれです。
俳優陣の演技、特に主人公の男の子の演技に心が締め付けられました。
詳しくは書きませんが、時間とともに流れる心の機微がよく表現されていました。また『なぜ怪物?これファンタジー?』とはじめはよく理解できていませんでしたが、怪物と現実の接点が最後に理解ができました。よく作り込まれた素晴らしい作品です。
私はレイトショーで観ましたが、これくらいの時間に色々考えることがある大人にぴったりな映画です。オススメします!
子供向け?否、オトナになれない大人向けかも。
大切な人の生命の終わりに直面した時の、自分には何もしてあげられない無力感、腹立たしさ、イラつき‥‥、
そういったやり場のない感情を、少年の成長に仮託して描いた作品だと思いました。
老夫婦や普通の中高年で同じことを描いても、オトナなんだからしっかりと現実を受け止めろよ、と鼻で笑われてしまうので、ファンタジーの形をとったのではないでしょうか。
小学生や中学生の時、物凄く大人に見えた先生や先輩達と同じ歳になっても、『なんだこんなもんか、全然大人になんかなってないじゃん、オレ』と思ったことありませんか?
オトナらしく振る舞うことはそれなりに学びはしましたが、感情をコントロールできるほどの大人に果たしてなれたのだろうか?
難解
この話しのどこにファンタジーを感じろというのか…?
そんなお気楽な感じで観てられる内容じゃなかった。人じゃないモノが出てきたら全てファンタジーなのか?
夢や希望的な話しは一切出てこない。
「死」という逃れられない運命を乗り越えるとかじゃなく、どおやって受け止めるかっていう滅茶苦茶現実的な話しだったし、またその「死」と向き合うがため、母親が死んでくれたら楽になると思っている自らを認めてあげるとか、なんとかかんとか。
その他、内包してる話も非常にシビアで…イジメやら離婚やら、大人への不信感やら妄想癖やら、とんだ社会派な作品だたよ。
また、映画の宣伝部にいっぱい食わされたような感じだ!
なもので…俺のアンテナはそんなトコには向いてはおらず、故に非常に退屈だった。
12:07の種明かしは、なんだかとても微妙な感じで…あちらさん的には神という存在が確固としてあるから、その采配的なような事なんだろうけど。
母の死と入れ替わりに現れる祖父の化身とかって、彼単体とは全くリンクしないような気がして…。
彼はそんなものを自ら産み出さないように思えてしまう。
まあ、面倒な話しだった。
子供に読んでほしいなとか全く思わなかったな…。
あれだな。
物語が揶揄するものが純粋で崇高過ぎて、捻くれたオッさんには理解しきれないって事だな、たぶん。
成長する少年の死への葛藤物語
子供から大人へ成長する多感な時期に迎えてしまう、母の死を受け入れる為の物語。
アニメーションも綺麗で、少年の涙も綺麗で何度かこちらも泣いてしまいました。
自分の罪を誰も裁いてくれなくて、余計に追い込んでしまう。「僕のことはいいからお母さんを助けて!」って言うところも、少年の優しさが溢れ出ていて泣いた一面です。
怪物が現れた意味も分かっている少年は足掻き、死を受容していく。
最後のシーン、あれは結局、怪物の生みの親は母親ということ…?母親も同じ経験があったってこと…?
その辺りは理解しきれませんでしたがあれも、母と繋がっていると少年が実感出来て良かったと思いました。
寓意性と普遍性に満ちた少年の物語
イギリスの田舎町、墓地が見える一軒家で暮らす少年コナー(ルイス・マクドゥーガル)。
彼は、毎夜、12時7分になると「怪物」の姿をみる。
それははじめ夢の中での出来事だったが、次第に「怪物」は現実にも現れるようになる。
そして、怪物は「3つの話を聞いて、4つ目にコナー自身の物語を話せ」と告げる・・・
というところから始まる物語で、コナーには重病を患った母親(フェリシティ・ジョーンズ)がおり、娘の看病とコナーの面倒を見るために離れて暮らしていた祖母(シガーニー・ウィーヴァー)がコナーの元へやってくる。
こういう設定なので、怪物はコナー少年の心の内の象徴で、気づかなければならない事柄や乗り越えなければならない事柄を気づかせる役割を果たしていることは早々にわかる。
そして、それらの事柄も、重病の母親にかかわることであろうと想像はつくし、必ず現れる時間の意味も想像はつく。
さらに、怪物の声は、すでに亡くなっている祖父(リーアム・ニーソン、写真でチラリと写る)の声だ。
なので、おおよそ想像が展開は想像がつくのだが、物語の語り口、映像表現が素晴らしく、興味は惹かれる。
特に、目を見張るのが、怪物が語る物語。
3つのうち、はじめの2つはアニメーションで語られ、黒を主体にした水彩画のような感触で、素晴らしい。
また、語られる内容も、通り一遍の価値観を押し付けるものではなく、善悪や良否などは曖昧で多義的であるなど、寓意性も高い。
そして、この寓意性の高い普遍的な物語は、コナー少年が語る(語らねばならない)4つ目の物語にリンクしていく。
ということで、絶賛したいところなのだが、3つ目の物語の表現がアニメーションを捨て、よりコナー少年自身に近づきすぎているあたりは、少しがっかりした。
なお、12時7分の秘密が明かされた後のエピソード、はじめは蛇足かと思えたが、怪物が語った物語の秘密が最後の最後に明かされ、思わず落涙させられてしまいました。
演技陣では、母親役のフェリシティ・ジョーンズが意外と良く、これまで彼女を良いと思ったことがなかったので、、驚かされました。
優しい話ではある
嫌悪や怒りや諦めなど、自分の中にある負の感情を肯定してくれる話。そういったものに向き合い、受け入れることは「勇気」だと、伝えてくる。
怪物がコナーの色々な内心や、薄々察知している事を表面化する。嫌悪している祖母は悪人ではないし母は誰のせいでもなくただ死に向かっているのだということ。信じれば母の病気は治るのだという願望と、母の死を仄めかしてくる祖母や父に対する失望や怒り。居場所の無い寂しさを打ち消す為に、それから自罰の為に、暴力を受けていること。自分を罰したいという願望の裏にあるのは、母の延命を望むのと同じ位かそれ以上に諦めたがっている後ろめたさである事。
「僕は自分から手を離した」と打ち明けることで、コナーは自身の弱さと向き合い、母の死を安らかに受け入れる事ができる。
負の感情や、人の心の複雑さや、善悪の多面性を、「そういうものだ」と受け止めてくれる作風は優しいけれど、なんかヌルいなぁ…と感じてしまった。ファンタジー側の画と現実側のストーリー展開の、2点で。
第二の物語で部屋をめちゃくちゃに荒らすあたりまでは、制御できない怒りや、それに恐れおののく様子がうまく描写されてる印象だったんだけど。
第三の物語で同級生に暴力を振るうシーンや、第四の物語での母の死を象徴する悪夢は、サラッとしすぎというか、もっと恐ろしく描いても良かったと思う。一番メインの第四の物語「母の延命を諦めたい、疲れた」なんて認めるの、物凄く恐ろしいはず。万能感に包まれた子供時代を抜け出しきれていない年頃であれば尚更、醜く弱い諦めの気持ちと希望を持ち母親を愛する気持ちとの葛藤は強いだろうと思う。自分に向き合う恐怖心を描くなら、もっとエグくて目を背けたくなるような心象風景になっても良かった気がする。(パンズラビリンスのスタッフ、っていう宣伝文句があるから余計そう思うのかも知れないけど…戦争描写の残虐さやファンタジー世界のグロテスクさがすごかったので、恐ろしいものを恐ろしく描く技術、もっとあるでしょと思う。)
また、コナーは自分が何かしでかすたびにそれでも罰が与えられない事にショックを受けるわけだけど、大人たちはコナーに罰を与えない。寛大で賢明な判断とも取れるけど、ヌルいといえばヌルい。コナーが「自分でも分かっている」事に、大人は気づいているのだと思う。ただでさえ自分と向き合っていく最中の難しい年頃で、そんな折に母親の病気という辛い現実に直面して、やり場のない悲しみや怒りをうまく発散できない。負の感情と上手に付き合うにはそれなりの訓練が必要で、まだそれができてない年頃だから、失敗して物や人を傷つけても、罰は与えない。コナー自身も自省して何が悪かったか理解しようとしているから。
罪を自覚した時点でその人は赦される、っていうのは精神世界的な信条としてはアリだけど、やっぱり現実の社会では(いくら未成年でも)やらかし過ぎたら取り返しのつかない事になるので、なんかそこの、ファンタジーにおける赦しと、現実世界における許しは混同しない方が納得感あるなぁと思った。
逃げたい少年に、ベビーグルート系怪物が、ホントのことをぶっちゃける
まさに今年、スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞で最優秀監督賞ほか9部門を受賞したファンタジー映画だ。見終わって、少し経ってからの方がじわじわくる。
画面ヅラは、VFXによる"イチイの木"の怪物が現れるファンタジーだけれど、"死"と向き合うという子供にとって重いテーマを扱う、悪夢な映画である。
原作小説は、英国人作家パトリック・ネスによる児童小説。2012年の英国児童文学最高峰の"カーネギー賞"(The Carnegie Medal)と、最も優れた絵本の画家を表彰する"ケイト・グリーナウェイ賞"(Kate Greenaway Medal)を同時受賞した傑作。絵本というより、コワい挿し絵の、スゴい児童小説というべきか?
教会の墓地が見える家で、難病の母と2人で暮らす少年コナー。離れて暮らす祖母と、離別した父がいる。ある晩、墓地に立つ"イチイの木"が怪物となって現れる。
怪物は、これから3つの"真実の物語"を語ること、そして4つ目の物語は、コナー自身が嘘偽りのない"真実"を語るように告げる。怪物は、少年コナーの悪夢なわけだが、嫌がるコナーをよそに、毎晩同じ時間に現れ、ひとつずつ話を聞かせていく。
現実の世界では、大人たちは、子供のコナーに気を使ってほんとうのことを言ってくれない。重い病気の母との別れが迫っていることぐらいコナーだってわかっているのに。そして実は、身近な"死"を受け入れていく術を、怪物は諭していくのだ。
クライマックスで、コナーが覚悟を決める、第4の話が切ない。"死"を本当に恐れているのは、"死"を受け止められないことなのではないか。児童小説の問いかけとしては、とても斬新だ(オトナでもキビシイ)。
主人公のコナーを演じるのは、ルイス・マクドゥーガル。「PAN ネバーランド、夢のはじまり」(2015)に出ていたというが、脇役なので憶えていない。しかし家族の配役はすごい。母親がフェリシティ・ジョーンズ(ローグ・ワンのヒロイン)、祖母がシガニー・ウィーバーだ。そして、"イチイの木"の怪物に、リーアム・ニーソンがモーションキャプチャーで参加している。声優だけではないので、顔がそのまんま(笑)!
今年は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」(2017)でも、"ベビー・グルート"が大ウケしているが、"樹木系キャラ"が流行りか。
(2017/6/11 /TOHOシネマズみゆき座/シネスコ/字幕:藤澤睦美)
思っていた以上に子供向け。
『パンズラビリンス』的なグロいダークファンタジーを想像していたのですが、怖さはあまり無くストーリーも単純。
ストーリー内で語られ3つの物語のイラストのアニメシーンになるたびに、単調で睡魔が押し寄せました。
ラストに向けて色々な伏線が張られているわりには、なんか切れが悪く不発な感じでした。
シガニー・ウィーバーを初めとする、俳優陣はとてもよかった、ジェラルディン・チャップリンもちょい役で出てましたね。
フアン・アントニオ・バヨナ監督の『永遠のこどもたち』が好きで楽しみにしていたのですが… 次作に期待。
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