「良さ、げな作品。」いぬやしき デッカードさんの映画レビュー(感想・評価)
良さ、げな作品。
原作は未読。アニメは視聴済。
悪い事ばかり書いているので、嫌な方は見ない。(ですが私はキチンと書いているつもりです)
まず、1番嫌だったのは、登場人物どいつもこいつも独り言言い過ぎ。
一人の時に、「死ぬのかなぁ…」とか「幻覚か?」だの言いますか?「うわぁ!」とか「はぁ」とか、感嘆や溜息なら出るでしょうが。
映画なんだから顔や目で表現で表現してくださいよ。俳優さんの所為ではありませんが。
あと他の方も仰るように、土下座までして噛り付いた会社なのに、大義のためとは言え平気で無断欠勤するのはなぜ?
佐藤健と同じように預金口座の数字を書き換えるつもりだったのかしら、と思うほど。
そこは単に窓際族的な描き方で良かったのでは。
あと佐藤健を匿ってるシオンの家に機動隊が突入するシーン。一般市民がいるのにあんな簡単に発砲しないでしょ。アニメではどうなってたっけ。忘れちゃったけども、まるでシオンを殺す展開が欲しいから発砲した様にすら見える
CGがすごいCGがすごいと言いますが、確かにロボ2人のメカはすごかったですよ。でも東京が襲われた時の、チラッと映るビルとか建物とか、全然崩れてないんだ。もくもく煙を貼り付けただけ。爆撃のシーンも全然破片とか飛んでない。フレアを足しただけ。技術的に出来ないのかなぁ、とも思ったが、都庁の広場に叩きつけられた跡はちゃんと表現されている。「これぐらいでいっか」って手を抜いたんじゃないのか!
「ちょっこ」が人々に向けて「スマホや電子機器から離れてください」と言うシーン。
アニメではそれがキチンと機能しているが、本作では佐藤健が掲示板襲撃後、既にニュースで「被害者は一様にパソコンやスマホの画面から撃たれた」って言ってるのに、注意喚起は何も無しですか?そら信じられないかもしれないけど、一応そう報じるべきなんじゃないの?
終盤、何で木梨さんが佐藤健をやっつけたのかもよくわからない。カタルシスも何もなかった。
マジであの場で娘を追いかけて絶対に救いたいと思うなら、佐藤健とカウンターするのではなくて、フェイントで軌道を反らして衝突を避けると思う。映画の中にだってフィクションはあるだろう。
それとアニメだと、娘が閉じ込められていたビルにはもう火の手があがっていて、一酸化炭素中毒で動けなくなった様に見えたのだが(記憶違い?)
本作では火は鎮火しているし、窓は爆撃のお陰でしっかりと空いているので、一酸化炭素中毒ではない。かといって娘が倒れた原因が爆撃によるものなのか、瓦礫によるものなのか、もよくわからない
それと1番大事な事だが、アニメではロボット化を通して犬屋敷家が最後には一つになっていくのに対して、本作では娘と心が通ったっぽいのに、息子は?母親は?そして息子のカツアゲは?母親の投資失敗の件は?(これはどうでもいいかも)
とにかくストーリー通して家族に何ら変化がないのはおかしくないか。所詮凶悪殺人鬼の犯した大量虐殺テロでした、♪チャンチャンてか。
それこそ佐藤健が劇中で言う「どっかの誰かが死んでも悲しまないでしょ」なのか!?
あと佐藤健が単なる悪として描かれすぎ。完全なる悪ではなくて、憎しみとか誰の心にでもある悪い部分であった筈なんじゃないの?
確かにそういう描写が全然無いわけではない。母の死に泣いたり。でも描写が足りないと思う。アニメでは同じ布団に入ってるんだよ?高校生にもなって同じ布団に入りますか?それぐらいの描写が無いと全然哀しみが伝わってこない。
だからシオンと母親の死がまるで記号的。母親の死を知っても家に行かない。あるいは描いてない。普通母親が自殺したなんて報道見たら家行くでしょ。ましてやママ大好きっ子なんだから。
あとすげぇ細かいけど、手の平に出したカメラレンズで撮影するシーン、
あの体勢で撮影したら画面はもう少し揺れるハズ。なのに映し出された画面はめっちゃ固定されてる。定点カメラで撮ったのが丸わかり。
スタビライザー付きのカメラで撮るとか、揺れをも少し反映してくれ。ホント細かい箇所かもしれないが、そういう「こだわり」が無いと、見透かされて乗れない。
あがらないんだよ!
ギレルもデルトロ監督のこだわりを見習って、爪の垢でも煎じて飲んでほしい。
とにかく突っ込みどころが多すぎる。
ただアニメ1クールをギュッと2時間に収められたのは良かったし、色々省いてうまいことまとめてたと思う。
突っ込みながらも普通に見ることができたし、作り手に対してこんな上から目線で言いたくはないが、まぁまぁではあった。
同監督作のアイアムアヒーローがめちゃくちゃ良かったのに、今作は何なんだ…
脚本が悪いのか誰が悪いのかよく分からないが実に残念。
しかしこんな中でも佐藤健は光ってた。やっはり彼は凄いと思う。
追記。謎が解けた。
製作総指揮を務めた人物、なんと「踊る大捜査線」「アマルフィ」「誰も守ってくれない」「少林少女」を手掛けたというシネマハスラーでお馴染みのチンカス国士無双を生み出した人物であった。
フジテレビMovieのクレジットが流れた瞬間嫌な予感はしてた……。
その手腕を潰されてしまった監督やその他の方に心よりお悔やみ申し上げます。