「佐藤健と木梨憲武が素晴らしい」いぬやしき unangpさんの映画レビュー(感想・評価)
佐藤健と木梨憲武が素晴らしい
この映画に限ったことではないが、人を殺し過ぎ。簡単に次々と人が死んでいく。たとえどんな理由があろうとも、肉親が死のうが世界から見捨てられようが、こんなに虫ケラみたいに人を殺すべきではないと思う。いや、虫ケラだってむやみに殺すべきではないと思う。そこに正当だと思える理由があり、殺せる立場にあったとしても。これは善悪の問題というよりも、好き嫌いの問題なのかもしれない。とにかく私は簡単に次々と人を殺すようなシーンは好きではない。
原作もアニメも未見だが、おそらく双方とも人を殺しまくるのだろう。ここまで殺さないとヒーロー像が描けないものか、と疑問に思う。登場する人に対して敬意の思いがまるで無い。登場させて、すぐに意味もなく殺す。面白がって殺しているようにしかみえない。作者は作品にとって神のような存在なのかもしれないが、登場人物への敬意の無さが不快である。
と、それはそれとして。
悪の殺戮者となった佐藤健。この映画は、どうして彼がそうなってしまったのかを最小のカット数で描くことに成功している。佐藤健の演技力、特に表情の演技力と相まって、説得力を生んでいる。
また、木梨憲武がいい。彼の顔と表情の動き。泣かされる。この映画は彼の顔を見るだけで充分元を取れたとさえ思った。渾身の演技である。
映画の展開として、皆の力を合わせて悪と闘おう、とはならない。犬屋敷のジジイの孤独な闘いとなる。殴られても蹴られても、諦めない。木梨憲武の顔がいい。がんばれジジイ!と思う。
佐藤健と木梨憲武。
この配役で成功した映画である。
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