劇場公開日 2017年7月8日

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「みればみるほど面白い」メアリと魔女の花 Don-chanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0みればみるほど面白い

2024年7月17日
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鑑賞方法:VOD

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スタジオジブリで約20年間過ごしてきた米林宏昌監督。彼の作品が私は好きです。『借りぐらしのアリエッティ』は世界観とBGMが抜群でした。『思い出のマーニー』は孤独な少女の不思議な体験にワクワクし、ラストは感動もしました。

今作は、スタジオジブリではありませんが、ところどころに『天空の城ラピュタ』、『となりのトトロ』、『魔女の宅急便』、『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』、『崖の上のポニョ』を彷彿させるような場面がありました。

マダム(天海祐希)とドクター(小日向文世)が仕切っている「エンドア大学」は、もしかしたら“犠牲者を出すような組織や団体”の比喩なのかもしれません。

登場人物たち全員の家族についての詳細は描かれていません。おそらく血のつながりがなさそうです。全員が独身のようでもあります。時代も場所もわからない不思議な世界観です。古代文明の痕跡のようなものさえありワクワクしました。
血がつながっていなくても、恋人でなくても、人が人を想い、助けあい、動物たちへの愛も描かれていてます。メアリのあだ名「赤毛の子サル」も伏線回収しました。
ラスト、ほうきに乗って飛び回る謎の生き物フラナガン(佐藤二郎)の存在が残っていることから、結局は魔法は無くなってないということが考えられます。魔法自体を全否定している作品ではありません。片渕須直監督作品『アリーテ姫』(アニメ映画 2001年)のように、主人公の普通の女の子が、魔法で支配されている世界を終わらせて自由を手に入れるという物語でした。

普通の人という設定のため、キャラクターの個性は控えめにしたのだと思います。
オマージュ的な既視感も敢えてのことだと思います。そのため、作品全体の印象がオリジナリティがないように見えてしまうのではないでしょうか。

俳優さんたちの声が良かったです。“シャーロットの若い頃”(満島ひかり)と、“メアリ”(杉咲花)の声が特に好きです。

エンドクレジットに、“感謝  高畑勲 宮崎駿 鈴木敏夫”とあり、感動しました。
エンドクレジット中に流れる『RAIN』(SEKAI NO OWARI)の歌詞やメロディも今作の雰囲気にピッタリとハマっています。

Don-chan