「素晴らしかった」メアリと魔女の花 ゆきこさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
冒頭のシーンは美しくて鳥肌が立った。自分の頬にも風を感じるような、疾走感のある画面だった。あの楽器の音も良かった。
メアリが暮らす山の風景が広々としていて、特に1人でサンドイッチを食べながら眺める景色のシーンが好きだった。
キャラクターが一人一人、どれも好感が持てて、それがかなり良かった。個性的で可愛らしい。赤毛の魔女のメアリの風貌は、ムーミンのクラリッサを思い出した。
至る所にジブリのオマージュが散りばめられていて、観ていて、懐かしさと、それらに対する敬意を感じた。あ、このシーンはあれかな、このセリフはあれかなって思いながら見るのも楽しかった。
けれど、やっぱりジブリとは違うと思わされるポイントもいくつかあって、新しさも沢山感じた。新しい世代が作っているっていうのは、うまく言えないけれどすごく感じた。大学の中の設定はすごく作り込まれていて、それを見た時のワクワク感は、例えば千と千尋を見た時のそれとよく似ているんだけど、でも宮崎駿はこれは作らないだろうなっていうのかな?そんな気持ちになった。
児童文学が原作で、それを映像に起こしたら、ある程度大人が白ける筋書きになるのは仕方ない気もする。それを映像の迫力とか美しさとか、キャラクターが補っていて、楽しんで観れた。
今までジブリでやってきた監督たちの第1作目がこれなのは、良かったと思う。本当に全くジブリのジの字もないものだったら、逆にショックだった。
大学に初めて足を踏み入れたあたりと、シャーロットの家の美術は、本当に素敵だったな。箒から見下ろした島の感じとか、あと、校長の部屋の中とか、挙げたらキリがない。
もう一度じっくり観たい。
追記。1つ物足りないというか、ジブリとの違いは、得体の知れなさ、よく分からないもの、おどろおどろしいもの、解釈が必要なものがなかったこと。善に満ちた映画だけど、そういう側面があれば、より印象に残ったかも。