「遅かりし由良之助!遅かりし調律師!」羊と鋼の森 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
遅かりし由良之助!遅かりし調律師!
僕の離婚の原因
妻の弾くシューマンが耐えられなかった。
せめて「整音」でジャズの山下洋輔ばりの冷徹、かつ理知的な音に調律してもらえれば何とかなるかと思ったのだが、結論から言うと間に合わなかった。
ロマン派をあそこまで甘ったるくやられては 僕は彼女と一緒には生きられなかったのです。
だからこの映画のテーマ
「誰のための調律か?」は僕にとっては重要課題。結婚の存亡がかかっているのです。
人前で弾くなら、どうか聴き手のための調律であってほしい。
調律の良し悪しは他人事ではなかったのですよ。
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追記:
調律師の映画はほとんど存在しませんね、
l'Accordeur(「ピアノ調律師」2011年フランス)という短編はあります。盲人のふりをした調律師の起こす事件(YouTubeあり)。
調律師とピアニストのこだわりの世界についてはググれば無限です。
「ピアノマニア」という優れたドキュメント映画もあります、レビュー有り。
あと、仲道郁代だったか小山実稚恵だったか、上へ行くほど音程を上げ気味に調律したモーツァルトで物議をかもしたのは記憶に新しい。
「グランフィール」という後付けの鍵盤タッチ改良装置もありますね(アップライト⇒グランド的に)。
小説なら「調律師の恋」とか。
とにかくピアノ自体を主人公にした稀有な映画です。
音大生と登場俳優のファンくらいしか観ないんだろうけど。東宝、良く作った。
(映画の構成としてはお粗末で突っ込み所は満載。音楽をやってなかった人間が調律師になるってあり得ね~!)
そういうわけで、
わが人生の調律は失敗。ビターな思い出で観賞しましたです・・・。
きりんさん コメントどうもありがとうございます。
"登場俳優のファンくらいしか観ない"人(山崎賢人さん目当ての家族)と一緒に映画館に行きました。家族行事の一環でした。
やはり今作には家族のことを語らずにいられない不思議な力が働いているように感じます。