「上品」羊と鋼の森 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
上品
クリックして本文を読む
なんとも静かな作品だった。
「調律師」という職業を軸に成長とか繋がりをテーマにした内容だとは思うのだが…いかんせん盛り上がらない。
まるで前奏を延々と聞かされてるような感じで、正直退屈だった。
それに関わってる人が観ると、違う印象を抱くのだろうが、どおにも焦点がぼやけてる印象。
「調律師」的には実に繊細な仕事で、その内容に敬意を抱き驚愕もするのだが、案外サラッと描かれてるように思える。
ピアノが響かせる音域の深淵に踏み込むような導入でありながら、作中では「ピアノ」はやはりツールであって、それを奏でる人にこそ、その迷宮を踏破する道標があるかのように。
双方ともに理解するには途方もない労力を必要とするのだが、それを並列として描いているように思うからこその感想だろうか?
なんとなく、踏み込む方向が違うように感じ、上品に表層だけを撫でたような感。
作中の弾き手の方々はどなたもお上手だった。
ちょっと目を引いたのは鈴木氏。
彼の台詞には、あまりブレスを感じない。
余分な吸気音が極端に少ないように感じ、それ故に在り方に違和感が少なく思え、ちょっと目から鱗だった。
まあ、たまたまなのかは知れないのだが。
この原作は、果たして面白いのだろうかと、不躾な感想を抱くほど、人間ドラマとしては少々食い足りなかったかな。
コメントする