羊と鋼の森のレビュー・感想・評価
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映像が共感覚の要素を強化した
当たり前だが、文章は音を鳴らせない。必然的に、文章で音や音楽を扱うとき、擬音や比喩を用いて読み手の脳内に音を再構築しようと試みる。どんな言葉や表現を用いるかは作家の腕の見せ所。印象的な題名の、羊は弦をたたくハンマーの素材を、鋼は弦の素材を表すが、それらが多数みっちりとピアノの本体に収まる様子を「森」とまとめた宮下奈都のセンスが秀逸だ。森は、外村が板鳥の調律したピアノの音を聴いた時にイメージする情景でもある。
一方映画は、映像に合わせて音を流せる。原作で音をイメージさせる視覚情報が指定されている場合、一義的には小説の世界を忠実に観客へ伝える意味があるが、もう一つ見逃せない効果がある。それは、聴覚情報が視覚情報を喚起するというある種の“共感覚”を、観客に疑似体験させる効果だ。
橋本光二郎監督作に関して、「orange」「小さな恋のうた」は自分に合わなかったが、本作は面白かった。
心が温まる良い映画だった
演奏場面は上質のMVを見ているよう。
日本にはこんなスポ根調律師がいるのか?
多分、半熟卵を食べたがるのは日本人だけだと思う。
生卵に醤油を足して、納豆も混ぜて食べられるのは日本人だけだと思うけどね。因みに僕は卵の白身は好きになれない。
さて、テーマは嫌いなテーマではないので、受け入れる事が出来るが、出演している演者が旧国営放送の朝ドラ見たいな話だと感じた。
「愛の無いAIが新たな芸術を創造する」とか言っているが、ここまでアナログ重視している所が、最早、滑稽。「本当にそんな事やっているの?」と感じる。
原民喜先生の文章を引用
主人公が上司に「どんな音を調律師として目指しますか?」聞くと
「明るく静かに澄んで懐しい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のように確かな文体、私はこんな文体に憧れている」
さて。かえって分からなくなった。
曲の受けが変わったのが、ピアノの調律の責任に押し付ける。そんなJAZZピアニストがいるかなぁ。勿論、僕自身は、ピアノもベースもギターもアナログ音の方が好き。だがしかし、
日本文化がアナログな物をそんなに大事にしてきたのか?そんなふうには見えない。
日本的な徒弟制度と年功序列を嫌い、潜在的能力を追ったアメリカンドリームを、全ての産業の多くは日本文化に取り入れている。そして、今や、愛の無いAIの確立が、日本文化の再生とまでも言わしめている。
こんなアドレナリンタラタラじゃないと子犬のワルツも聴けないのなら、ビアノがこの世から無くなっても良いかなぁ。ウソだよ♥
「調律しなくても良い楽器作ってくれ」が願いかなあ。ウクレレだって調律が必要だからね。でも、ウクレレの調律が楽しいけどね。
こう言ったストーリーがあるから、クラシック音楽のハードルがいつまでも高い。ブルジョアの道楽ぐらい未だに考えられている。まぁ、それはそれで良いとは思うが、これからの未来は、普通に生活している空間に綺麗な音楽が奏でられる社会が望まれる。勿論、「綺麗」が「力強い」でも良いが。
この姉妹本当の姉妹なんだね。兎も角頑張れ!お姉ちゃん
グレン・グールドの様なピアノを食べるピアニストもいる。
多分、ここでやっている調律は基本なんだと思うよ。
だって地味な話だもの。鑑賞者は調律師ばかりが職人ではないと理解すべきだ。
アナログなものはアナクロと言われても、人間によって伝わらなければいけない。と言う事。
日本映画界の映画製作者にも職人が欲しいね
無口な映画
外村の成長に合わせた映像表現
原作小説がある映画の場合、小説だとこんな感じで面白いんだろうなとか想像したりするけど、本作の場合は逆に、音も映像もない小説という媒体でこのシンプルなストーリーをどうやって面白くしているのか不思議でならない。それはつまり映画「羊と鋼の森」が映像と音楽を最大限に活かした良作だったからそう思うのだろう。
冒頭から果敢な映像表現で、ピアノ調律師を主人公にした音楽の映画を表現していく。音楽よりも映像を前に出していくんだなと初めは思った。
それが中盤くらいになると映像表現は控えめで、音楽の方が前に出てくる。
観賞後に気付いたのだが、映像は外村の音楽に対するイメージで、音楽はそのまま音楽。外村が音楽に対して未熟だったときは音楽そのものよりもイメージの方が先行する。彼が成長して調律を理解していくと本来の音楽が映像を飛び越えていく。そして終盤ではもちろん、音楽と映像が調和した心地よい感動を届けてくれる。それはそのまま主人公外村の成長の証。
光、森、水、などの映像はすでに書いた通り美しく素晴らしいが、キャラクターの心情変化を表現するのに演者たちがみんなイイ表情をしていたのがすごく印象的。本当にちょっとしたシーンだけど好感と気持ちよさを届けてくれる好演だった。
ストーリーは刺激が少なくて、すごく泣けたりすごく感動したりすることもなく、文字にするとこんなにつまらなそうだけど、ピアノと調律を映像を使って美しく表現した映画の真骨頂のような良作。
やっぱり、小説はどうなっているんだ?
崇高
ピアノの傍らにたたずむ美しい魂
ピアノ調律師・・・ピアニストにとっては、かけがえのない相棒。
でも調律師は究極の裏方のひとりです。
そんな慎ましくも密やかな調律師・外村直樹を山崎賢人が好演して
います。
ピアノ好き音楽好きには堪らない映画でした。
外村の最初の顧客、音大を目指す美しい姉妹、
佐倉和音と佐倉由仁を実際の姉妹・上白石萌音と上白石萌歌の2人が
情感いっぱいに演じて感動的です。
ピアノは「羊」の糸で作られたハンマーを、「鋼」の弦をたたくことで
音が鳴ります。
そこから原作者の宮下奈都が「羊と鋼の森」と題名をつけました。
映画も題名通り、詩情に溢れ爽やかさと静けさに包まれます。
外村直樹の調律師としての成長物語であると共に、佐倉姉妹のピアニストになる
鍛錬の難しさ・その苦悩と挫折も細やかに描かれています。
萌音さんと萌歌さんの演奏場面は動きの躍動感がまるで彼女たちが実際に
弾いているような素晴らしさで、2人の非凡な才能を垣間見ることが出来ます。
ピアノ挿入曲は多数で美しい演奏を堪能しました。
ラヴェルの「水の戯れ」
ショパン・エチュード9番「蝶々」
ベートーベンのピアノソナタ「熱情」
姉妹の連弾演奏でモーツァルトの「キラキラ星変奏曲」
そして調律先の廃屋の青年が弾くショパンの「子犬のワルツ」
(・・・この青年の演奏は切なかった)
忘れてならないのは外村直樹が生まれ育った北海道の山村の森。
森が繊細な響きを聴き分ける彼の音感を育てたのでしょう。
そして勤務地・北海道旭川市周辺の自然の豊かさと美しさ。
雪景色に先輩調律師・鈴木亮平の運転する赤いジープや山崎賢人の乗る
ミリタリーカラーの軽自動車が映えました。
計算も打算もない、清潔感溢れる本作品。
気持ちが洗われるようでした。
調律師とピアニストの心境がよくわかる。深い!
映像、音楽、美しい
音と自然が一体となる
雪と山と森と・・・風景がとても美しくその中で奏でられる音が澄んでいて美しい。
調律という仕事に真摯に向き合っている青年の成長が、淡々と確実に描かれていて、落ち着いて重厚感があり、心に染みる物語だった。
何も知らないで観たから、ここは富山あたりかな~と思っていたらロケ地が北海道で、あの雪のキラキラ具合は寒さの厳しい地区だからの景色だし、空気の澄みぐあいが映像から伝わってきた。
ピアノに無縁な私だけど、音色と自然の融合には感動した。
しっかりした原作あっての映画で、原作の世界感を壊さず作り上げたのかな。
最近の若者の成長物語にはない、地に足がついたような映画だった。
やっぱり映画館で観れば良かったと思うけど、DVDだからもう一度観ようっと。
山崎君の抑えた演技も良かったわ。
プロですね
largo mp Grave
原作未読
若きピアノの調律師の成長物語
観る前にコーヒーを飲み15分くらいの仮眠が必要だろう
YouTubeで近藤由貴のピアノ演奏をよく聴くが調律師という仕事には全く興味がなかった
そこにスポットライトを当てた原作者のニッチ産業ぶりは見事だ
少なくとも小説の宣伝にはなっただろう
レビュアーは原作を観てから映画を鑑賞する人が多いが自分は原作と映画の違いの粗探しを目的に映画は観たくない
上白石姉妹共演
別々に観たらそっくりと感じていたが一緒だとはっきり区別できるほどの違いがある
一卵性の双子じゃないしだいたいにして年が違うのだから当然
妹の方が姉よりこんなに背が高いとは初めて知った
アストロ球団の外野手を連想したがそこまでの違いはない
どちらかというと姉のほうが役者として魅力を感じる
主人公はわりと真面目で勉強熱心で好感が持てる
出演陣はわりと豪華だ
そのわりには主人公の両親と弟は邦画好きな自分でも役者の名前が思い浮かばなかった
この内容で無名な役者ばかりでは娯楽映画としてきつかったはずだ
まず観ようと思わない
ただ単に気軽に純粋に音楽を聴きたかったらYouTubeとかCDとかでも十分
調律師の作業もYouTubeでわかる
お気に入りの役者が出ているってことは案外重要で昔からそれが目的で映画鑑賞する人が1番多いのではないか
たしかに好きなジャンルとか好きな監督とかクチコミとかも影響してくるだろうが
堀内敬子の声はよく響く
眠気覚ましにはなる
何を持って棒読みなのかよくわからないが少なくともそれは全く感じなかった
声優的な表現なら良いのだろうか
僕はそういうのは嫌いだ
より良く生きるために、この映画を観てください‼️
音楽だとかピアノだとか調律だとか、専門的だとか、難しく考えないで観てください。
真剣に生きるとは、苦しい時は、悩んだ時は、この映画が少しは導いてくれると思います。
演技を評価するのがおこがましいほど、みんな役が憑依しています。
山崎賢人、鈴木亮平、光石研、三浦友和、それぞれが凄い凄すぎて。
上白石姉妹が姉妹の役で出ています、これもまた言葉を失うほどのものでした。
普通の会話ですら、金言、感動するような内容です。
ピアノで食べるのでは無く、ピアノを食べるのだ。
この仕事で世界と繋がるのだ。
みんな奇跡の中を歩いている、どこまでも。
映画が与えてくれるもの全てがここに有ります。
悩める人、生きるのが苦しい人、人間関係が拗れている人、不安な人、怒れる人、悲しい人、是非、観てください、生きる勇気が貰えますよ。
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