ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
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現実世界では何も起こっていない
現実世界では何も起こっていない。劇中劇の配役など、主人公が読書をするさいに心の中で繰り広げるイメージに、一喜一憂が宿る。
現実世界における主人公の元恋人同様、劇中劇の主人公にも、ジェイク・ギレンホールが配役されている時点で、「これは主人公が割り当てたのであり、監督が、分かりやすさのために割り当てたのではない」と気づかなければならない。
「この劇中劇は、主人公の元恋人が紡いだ文章そのままではなく、文章から繰り広げられたイメージー主人公の中のー」だと。
かくして、現実世界の反映=劇中劇という立式がなり立ち、現実世界で過去に何があったのかを探る旅が始まる。それは本を読むのではなく、読み手の心を読む旅だ。本の中ではなく、主人公の脳内に。
劇中劇、過去、現在
元夫の小説を読みながら過去を振り返り、元夫を理解できなかった自分を後悔し、富と名声は手に入れても幸福感のない今のスーザン。小説(劇中劇)、過去、現在が入り組んではいるけど、スーザンの表情の使い分けとか画面の色(過去は少し暖か味があるけど現在は冷たい感じ)の使い分けでこんがらがってしまうことなく観ることが出来た。
冒頭のあのアートが強烈‼︎‼︎ 実際にあれがアートって公開されたら、ちょっとどーよっ!で感じ。アレがあったから劇中劇の母娘の裸体や現在の娘の裸体のキレイさが際立ってはいたけれど。とにかくインパクト強過ぎで、しばらく頭にこびりつきそう😰
きっとよく出来ている映画だと思う。あと2回くらい観たら良さが分かるような気はするけれど、多分観ない。
映画監督トム・フォード
主人公(エイミー・アダムス)はギャラリーのオーナーで成功を収めていたが、人生に物足りなさを感じていた。
そんな時、元夫(ジェイク・ギレンホール)から小説が届き、感想を聞かせて欲しい、と頼まれる。
この小説はある一家がハイウェイでならず者に襲われ、と言うストーリーで、どんどん引き込まれていく。
映画は二重構造になっており、復讐談のような小説の緊張を和らげながら、主人公の転機を描く。
愛か憎しみかなんて、私には選べない。答えは人それぞれ。
冒頭の巨漢の女性たちに恐れおののいて、映画間違ったかと思いましたが…。
ちゃんとあってた…。
美しい女性があんな巨漢の女たちを表現するなんて、芸術って本当に難しい。
感覚って人それぞれだから、それが良いって思う人もいれば、違うって思う人もいるわけで…。
自分の思いを勝手に人に押し付けちゃ、お互いの仲がこじれるだけだと、この映画を通じて思いました。
別れた夫が別れた妻に自分の書いた小説を当てつけのように送ってくるのだけど…。
結局、小説を読んでどう解釈するかは、その人の気持ち次第ってことなのかしら?
君を思うからこそ、この小説を書いたんだよって言いたいのかもしれないし、ただ憎しみの為に書き上げた当てつけなのかもしれないし。
解釈は人それぞれ。
私が個人的に思ったのは、好きな人の子供を勝手に下ろしてしまった、彼女の身勝手さがちょっと嫌だった。
彼の作品を思ったままに言うことは、正しいのかもしれないけど、彼を傷つけることになったのは事実。
相手を思いやる気持ちがもう少しあったなら、小説ももっと違う結末になっていたのかもしれないけど…。
最後は彼女が彼に弄ばれたかのように、ひたすら待ちぼうけている姿が、ちょっと切ないけど、やっぱりそうだよね、良かったと思ってしまいました(笑)
映画の印象としては…。
小説の世界と現実の世界がクルクルと場面展開するから、飽きがこなくて楽しめました。
静かなのに、こんなにもハラハラドキドキさせられるとは!?
印象に残り続ける映画の1つになりそうです(^^)
才人、トム・フォード監督第二作。謎めいたサスペンスフルなストーリーとアート風味を絶妙に施した映像の奇抜さ、美しさに圧倒される。
才人、トム・フォード。天から二物を与えられた稀有な人物。冒頭の異様に太った女性たちのダンスから強烈。ミステリアスなストーリーも飽きない。ラストも様々な解釈ができ、これも又印象深かった作品。
<2017年11月3日に大スクリーン劇場にて鑑賞>
<各シーンに出てくるアート作品の数々がほぼトム・フォード個人所有物というのも別な意味で驚いた>
<2019年10月20日追記>
当時、購入したパンフレットに記載されたレビューのタイトルに何故かほっとした自分が居た。
[タイトル:これほど背面が美しい女性死体はいまだ見たことがない。}
この映画を観た当時、赤いソファーに横たえられた母娘の死体は強烈な印象を私に残した。只、それをレビューに記載するのは問題があるだろうと控えたが、今にして思えばこれも又、トム・フォードの美意識であったのだと思い、2年経って追記する。
世にも美しい死体
コアなかんじ
物質主義に堕ちた豚へ。
色々考察する余地はあると思うけど、
単純に俺の気持ちを思い知れ。
という男から女への復讐劇なのだと思う。
男がこのタイミングで小説を送って来たのも
女の今の状況を知っての事だと思う。
完璧な復讐劇だったのだと思います。
俺にはお前が犯されたと感じた!
俺は娘を殺され、
その理由を探るために人生を費やした!
そして、その結末を知った時俺は死んで、
お前がディスった私小説を完成させたんだ!
という強い気持ちを見ました。
ラストも、あんなエロいドレス来てざまぁみろ!
と何処かで女を観てる気がしました。
しかし、映画内小説が主体で、演出が下手だと
どうせ小説の話だろ?とつまらなくなるところを、
これはどういう意味があるのだろ?
どう現実と繋がって行くの?
と不穏な空気を漂わせて魅せるトム・フォードの
手腕に凄いなぁ天は二物どころか芸術の全てを
与えたのだなぁと思いました。
トム・フォードの映像
原作未読
緩やかなサスペンス?
「シングルマン」とは全く違う
こりゃもう観る人が観たいように観たら良い。 というか、真意は分から...
最後はスッキリ?
ギレンホール演じる小説中の夫が現実世界のエ元妻アダムスで、小説の中で凌辱され殺害される妻と娘が現実世界の元夫ギレンホールという逆転の構図でないかな?と思いながら観てました。
まあ、そうだとすると、「俺はお前にこんなに屈辱の思いを味わわされたんだ。お前は自己保身に随分とご執心だったな!」という自己憐憫甚だしいメッセージになるので、そんな簡単な構図ではないだろうけれど、それ以上のことはあまり感じられなかった。
作品中の小説で生々しいバイオレンスを描いたものというと、アーヴィングの「ガープの世界」の中の「ベンセンヘイバーの世界」を思い出す。ちょっとネジの外れた保安官が出てくるところとか、なんだか設定が似てるな。
冒頭のぽっちゃりダンサーズを起用したアダムズ演じるキュレーターの上から目線の意図に強烈な不快感を感じさせるところから、全編元夫寄りの描き方が、終末のすっぽかしでカタルシスを迎える伏線になってるのだが、そんなに自己憐憫丸出しの映画で良いのか?という疑問がなくもない。
映像の各所に他の方がレビューしてるような意味もあるのだろうが、独りよがりな感じが自分には合わなかった。作家としての才能を、人間性で食い潰したような作品。
「簡単に投げ捨てるな」
トム・フォード作品は初めて観たけど、色彩をつかった表現がすごくキレイ。
本作は現実・小説内・回想と3つの世界が同時進行するつくりになっていて、
それぞれが影響しあいながら、重層的に結末へと向かっていく。
けっこう複雑なプロットなのに、3つの世界で色合いを変えてくれているため、
観ている側としては非常に分かりやすくて良かった。
後味の良いストーリーではないので、
好みによっては最悪に近い評価になるかも。
冒頭の「アート」なシーンもかなりエグいしね。
コスパだとか即時性だとか、もっと言えば物質主義だとか。
「豊かさ」とはなんだろうっていう示唆に富んだ作品だった。
これが流行り廃りの業界の人が撮った作品なのだから、
なおさら含蓄もあるってもんじゃないでしょうか。
二人の作り出す湿っぽさとダーク感に惹き付けられる
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