「徹頭徹尾、ぶんぶんと心が揺さぶられた。」ノクターナル・アニマルズ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
徹頭徹尾、ぶんぶんと心が揺さぶられた。
細部まで腑に落ちたという理解はまだできていないです。
それは分りにくいという意味ではなく、これから味わう余地があることへの喜びがある、そういう感覚です。
よくわかってないけどすごいものを見たという感想です。
そしてずっと気持ちがぶおんぶおん揺さぶられ、緊張感がヒリヒリと感じられる鑑賞となりました。
トムフォード「シングルマン」は見たいけどまだ見れていない映画の1つで、
エイミーアダムズもジェイクギレンホールもすきな役者なので、ノクターナルアニマルズは楽しみにしていました。
結構難しく、でも全く理解できないわけでもなく、自分の知識のちょっと先の挑戦できるレベルという感じで、
この作品を腑に落ちるよう分析できるようになりたいと思いました。
スーザンは、この映画で出会わなければ嫌いな女だったと思います。
エドワードを愛したものの、育ってきた環境の居心地を棄てられず、エドワードに寄り添えなくて、
ブルジョワ感のあるハンサムに鞍替えし、エドワードの子を堕胎した(本人にバレてる)。
こう描くとほんとお友達になりたくないタイプなんですがね。
でも恐らく40代の今、エドワードを棄てて選んだ人生の先で、行き詰っている。
仕事は成功したけれど夫は浮気中。なんかの経営が傾いてるとかゆってたけれども。
そんな中、エドワードから送られてきた新作小説。一人ぼっちの週末、スーザンはおもむろに読み始めます。
現在のスーザンの世界と、過去のスーザンとエドワードの物語と、スーザンが読んでいるエドワードの小説世界
この3つが入り混じる構成の物語です。
映像に違いが感じられるので、テロップなくても切り替わりにおいていかれることはなかったです。
エドワードは、妻と娘をレイプされて殺された男の小説を描きました。
それをスーザンに捧げました。
トニーが殺したのは、妻と娘を殺した男ですが、あの男はスーザンであるとも読み取れました。
もちろん、トニーの妻もスーザンだし、娘はスーザンが堕胎した子でもあると思って観ました。
彼女らを救おう、救いたいという気持ちと、妻と子を自分から遠ざけた元妻への憎しみとが、エドワードの描いたものなのかなと思いました。
ラストでレストランで再会しようとする場面で、エドワードが来たらばそれでもスーザンへの愛が勝ったってこと?と
予想しながら、見ていましたが、最後まで来ませんでした。
という事は、エドワードの復讐成ったってこと?と今は思っています。
果たしてその解釈でよいのか、あるいは。その辺りはもっと見て味わうものだろうと思います。
グロテスクと洗練が入り混じった美術・衣装・インテリア、どれも素敵で野蛮で引き込まれました。
スーザンの母を演じたローラリニー、彼女だって一瞬分らなかったけど、いい感じのいやな女ですごくよかったです。
テキサスの警官役のマイケルシャノンもとてもよかった。
犯人グループのロン毛の彼がすごかった。アーロンテイラージョンソンかな。私の中ではアンナカレーニナでの演技が記憶に残っています。
また、犯人グループの逮捕された巻き毛の男の子は、ネオンデーモンのカメラマン志望の男の子、ストーンウォールの故郷で主人公をもてあそんだ同級生男子役の子ですね。この子、印象に残る役をやっているなあと思います。名前覚えられへんけど。