「成熟した大人向きの余韻深い作品」ノクターナル・アニマルズ ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
成熟した大人向きの余韻深い作品
主人公Susanの元に20年近く前に別れた元夫Edwardからいきなり新作のゲラ刷りが送られてくる。作家志望だった彼がまだ小説を書き続けていたこと自体、彼女にとって意外だった筈ですが、彼がその新作で何を彼女に伝えたかったのか、その見方によって印象が全く変わるかも知れない、そんな作品でした。過去の彼女の仕打ちに復讐したかったのか、自分を作家として認めさせたかったのか、はたまた彼女と和解したかったのか.、あるいは... この点は原作にも書かれていないようですので想像の域を出ませんが、彼と別れてからSusanは美術商としてそれなりの成功を収めつつも、公私の蹉跌を経験し、自省に向き合える時機であったことは間違いないでしょう。最後の最後まで謎解きをさせぬまま終わってしまうのですが、観終わった後も暫く座ったまま感慨に耽りたいような、大人の余韻を楽しませてくれる作品でした。
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