劇場公開日 2017年5月13日

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「クールな映像と主人公、しかし非常にエモーショナル」マンチェスター・バイ・ザ・シー nagiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5クールな映像と主人公、しかし非常にエモーショナル

2017年5月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

まず、ポスターが美しい。それだけで鑑賞を決めてしまったほどだ。薄い水色の基調に、黄色が派手すぎず、綺麗に映えている。蛇足だが、ララランドのポスターもかなり良かったのだが、日本版でダメになった。
さて、本編だが、気になったことは映像が一貫して非常にクールな印象を受けるということである。クールというよりは、アンニュイといった方が良いだろうか。終始マンチェスターの街は曇り空で、その空を映す海もグレーがかった色になり、街並みも派手な配色になっていない(白やグレーが多かったように思える)ため、全体として冷たい印象を受けるのだ。
それが、ケイシー・アフレック演じる主人公の暗く、まさにアンニュイな性格と重なるのである。これが驚異的にハマリ役なのである。納得のオスカー。
しかし、ストーリーを追っていて映像ほど冷たい感じがしないのは、脚本の熱さゆえであろう。暗くて、人付き合いもうまくできない主人公、彼が抱える過去、現在、そして未来の問題・苦悩は、本編のセリフ通り、理解を越えたものである。それを彼なりに、不器用ながらも、1つずつ向き合っていく。抱えきれなくなって、爆発。それでも良いじゃないか。彼自身で悩み、苦しんだ、彼なりの愛情がクールな映像とコントラストとなって伝わってくる。時折笑いを誘うシーンもあり、なんとも憎めないキャラクター。

nagi