ムーンライトのレビュー・感想・評価
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これは恋愛映画
これは恋愛映画です。 堕ちてもクソ、のし上がってもクソ、な地獄の底のような世界で、生涯にたった一度起こった「良きこと」をよすがに生きる男の悲恋の物語。ゲイだけど。 マジメなはなし、こういう映画が恋愛映画として作られる、そういう時代になったということなんだと思う。 しかし、マハーシャラ・アリはやっぱりいつものマハーシャラ・アリで、ヤツに助演男優賞をやるなら熱演のナオミ・ハリスに助演女優賞をやれよと思った次第…
救いに関する一考察
ヤクの売人シャロンの苦悩に満ちた生い立ちを描く一遍。 病めるアメリカの断片を切り取るのだけど、その視線はあくまで優しい。バイオレンス描写も抑制されていて、救いようのない状況の連続を、ある種分析的に積み上げていく。 「これが人生さ」と劇中あるキャラクターに言わせるが、状況に抗い、救いを求めるシャロンにどう響いたのか。 救われるということはどういうことか、詩的に囁く映画だ。
見て納得
今年の作品賞はこれなんだと。近年作品賞はアメリカならではのテーマを持った作品が選ばれている。 僕は深いテーマよりも雰囲気を味わいました。好みではないけれどアメリカ映画の懐の深さを感じ、至福の時間を過ごせました。
芥川賞作品?
アカデミー作品賞ということで見てみたが、もともとアカデミー賞はエンターテイメント作品を嫌うし、日本の芥川賞のように理解しにくいものが好みなようで、本作もハッキリ言って全く面白くなく、最初から眠気をもよおす。それに最近のアメリカ映画の質は悪く、邦画の方が元気がいいように思える。もうハリウッドではネタ切れ感が強く、日本のコンテンツを求めて来ているのではないか。
ヒューマンドラマ
私には難しすぎた。
だけどとにかく優しい雰囲気が漂っていて、美しい目をした登場人物ばっかりだった。
本当のお母さんがヤク中で育児放棄をしていて、最後は施設にはいっており、そこでシャロンに謝り続けていたのには。
はっきり言って私はグッと来ない。私からするとフザケルナと。
シャロンは許す必要はない。だから会いに行く必要もない。
(こんな私は冷たいのかな…)
1番気になったのは幼少期の頃よくしてくれた男の人が何故亡くなったのか。
ストーリー的に何故亡くす設定にしなければならなかったのか。
ヒューマンドラマで人が死ぬのは本当にキツイ。
見た目は変わっても瞳は同じ
「月の光の下だと黒人の男の子は青く光って見える」 この映画の映像加工の技術を物語っているようなセリフだ。黒人の肌、海、木漏れ日が際立っている。この技術、カッコいいからみんなポスターとかで真似するんだろうな。 さて。 登場人物が少々典型化されているのが気になるが、作り手の訴えとメッセージがダイレクトに伝わり、アカデミー受賞の意味は大きいと思う。 「自分が何か、自分は何になるのかは自分で決めるんだ。絶対に他の誰かに決めさせるな」 自分で決めたいのに、生まれた環境によって決められてしまう社会システムにNO! 「泣きすぎて、自分が水滴になりそうだ」 砕けた心をかき集めるようにしながら、必死で生きる人々を無視しないで、彼らの真実を伝えたい! 「オカマはゲイの人を不愉快にさせる言葉」 差別はダメ!いじめはダメ! 「あの夜のことを今でもずっと覚えてる」 ブラックの乙女心にキュンとする。初恋の彼に寄り添う姿は、LGBTもみな同じ! フアンの恋人の手料理と、コックの彼が作る料理を食べるときの、主人公の無防備で充足感にあふれた表情がいい。 誰かが作ってくれるごはんと、子どもの頃に親から水泳を教わるって、本当に大切なこと! 決して遠いお話ではないところがミソ。
ヒューマンドラマ、味付けビター
ダブルミーニングだと勘ぐるのはやめてね(苦笑)
この映画も町山推薦枠だが、やはり有名になったのはアカデミー賞授与式でのドタバタ劇。まぁあれだけ世間に騒がれたら関心は持たれるだろうなぁと、これもステルスなんちゃら?ってゲスの勘ぐり?w
と、穿った見方を抱きながらの鑑賞だが、ストーリーの組み立て方、構成は流石ハリウッドと頷ける見本みたいな流れである。時間も過不足無く、もたつきも感じられず、丁度良い所に落とし込む技術は映画国の白眉と言ったところか。
では、ストーリー内容なのだが、こればかりは好き嫌いがはっきりしてしまうのではないだろうか。ゲイ作品となると、どうしても抵抗感が拭えないのは、未鑑賞だが、『ブロークバックマウンテン』等、その描写の生々しさにフィルターをかけてしまいがちになる。だが、そこまでの絡みのシーンがレベルダウンしているので(代わりのヘルプ行為は中々センセーショナルだが・・・)、逆にそこに行くのかもと内心ドキドキ感を持ったままのラストカットへの流れは、正直安堵したというのが正直な気持ちだ。ホラー映画のそれとは違って、良い展開で不安が消されるという経験は、この手の内容ならではだろう。それ位、このストーリーの3分割中の“シャロン”と“ブラック”の別人じゃないかと驚いた位の主人公の、日本人がおよそ想像する怖いアフリカ系アメリカ人の容貌が男の肩に甘えるシーンはジョークを通り越して、驚愕すら感じる。あんなスタイルでも、頑張って自分を変化させても、やはりアンデンティティは変えることが出来ないというメッセージが静かに訴える作品だ。
映像だが、相当『ライトアップ』について、VFXを使って作り込んでいるとのこと。確かに、光りの多用さは確認できる。例えば、車の中を撮している時の、外の太陽光の鮮やかさと車内の暗さのコントラスト等に美しさを感じ取ることが出来た。月明かりでの彼らの黒い肌がまるでカナブンのような青い玉虫色に光る様は、人間美としての完成型を感じた程だ。
『黒』ではなく『青』、そこに自我を肯定する想いをしたためた監督の自伝的映画なのだということをしみじみと感じた作品である。
生きることの厳しさと、詩的な愛の眼差し。
題材はとてもエッジィで挑戦的な内容だけれども、今この時に観る意味のある映画だと感じた。社会的なマイノリティである黒人の少年が、いかにして自分自身を見つめ、そして彼らはこの世の中をどうやって生きていかなければならないのか。そうして生きていくしかないのか。そんなことを問いかけながら、しかし同時に根底に流れる熱い愛のまなざしが映画を優しく包み込む。厳しさと共に深い愛を描いたとても崇高な作品で、社会的なドラマでありつつも、とても情感的なラブストーリーであり、映画全体が一編の詩のようだった(正確には3篇からなる連作詩か)。
特に、主人公シャイロンと親友ケヴィンが交わすセリフのやりとりは、まるでセリフがそのまま詩のように美しく情緒豊かでうっとりとする。少年時代の友情の育み、思春期の性の育み、そしてすれ違いと、青年期になって解け合う二つの心の灯が、その都度とても詩的に語られ、観る者の心に波を立てる。シャイロンの中に蠢く今にも溢れてこぼれそうな情感を、しかし決してそれを溢して溺れてしまわないように丁寧に綴り、と同時に、シャイロンの心から静かにあふれ出た情感の雫は絶対に見逃さない。そんな繊細さがこの映画には常に存在していて、わずかの刺激で今にも崩れてしまいそうなシャイロンの心をここまでありありと掬い取ることによくぞ成功したものだと、本当に唸った。
そしてこの物語はやはり、黒人の少年が主人公であったということにも大きな意義があり、シャイロンという一人の少年が送る「青春」の奥底に蔓延る、黒人として生きることの厳しさと、彼の性的な嗜好が現代社会と黒人社会において何を意味し、少年の生き方をどこへ向かわせてしまうのか、と言ったことをしっかりと考察し、我々に直視させる。
この映画が描いていることって、特にアメリカにおいては当たり前にある物語で、人々のすぐ隣で起こっていることのはず。だけどなぜか今まであまり映画では描かれてこなかった。しかし語られる意義のある物語であるし、語り継ぐ意味のある映画であると思うし、だからこそのオスカーなのだと思う。
いつか、この映画のような物語が、自然と語られなくなる日が来ればいいと思う。人種も宗派もセクシャリティも・・・誰しも同じでないということがもっともっと当たり前に理解されて、それによる偏見や迫害がなくなり、この映画の内容が「大昔の出来事」としていっそ忘れられてしまうくらいの社会になれば、本当は一番いいのかもしれないのにと思う。
ああ、ほっこり。
トレバンテ・ローズが演じるシャロン ほんとに優しい目をしていました。 夜の暗さは彼の肌の色と重なって とても美しい雰囲気を出していました。 同姓愛表現は日本の作品にもありましたが、 こちらの作品はとても深く、複雑で、 最後は暖かな優しい気持ちになります。 素晴らしい作品をありがとうございました。
何を感じるか
シャロン3部作。
言葉少ないシャロンの内面を前面に出し、美しい映像、響く音楽、役者の演技力により詩的な雰囲気の映画になっています。
同性同士の恋愛を主軸に置いてはいますが、薬中毒の母親、父親替わりのフアン、その奥さん、また唯一心を許せたケビンなど…シャロンの心の揺れを通し、観客である自分の感情のどこかに触れるものがあるのではないでしょうか。
ある人にとっては容易いことかも知れないが、その実現が難しい立場の人もいる…
前半にしか登場しないアリの存在は、映画の主旋律ともなるシンプルなメッセージを観る者に送ってきます。
物語は静かに進み、月の光の下に佇む子供時代の自分…
振り向いたその子の目は真っ直ぐにこちらを向いていた。
この映画に2017年のアカデミー賞を与え、観る人の間口を広げたことはよかったと思います。
続く不幸の中での救い
少年の頃から青年まで続く周りの虐めと母の育児放棄,ドラッグ乱用。本当に不幸続き。
唯一仲良くしてくれるケヴィンと父と母のように接してくれたフアンとテレサ。この3人がいなければ話はそこで終わりになってしまいそう。
大人になって子供の頃の自分を知る人のいない街で心機一転。自分はストレートだと周りに思わせる振る舞い。あの頃の自分を知るものはもう居ない。知っているのは自分だけ。だけど地元には知ってる人がいて完全に過去と決別は出来ない。帰郷し、押し殺していた思いが再燃する。
起きていることは酷いことばかりなのに派手さを感じないため淡々と進んでいくなと感じました。面白みという点ではそれほど高く無い。テーマの重さも影響しているかも。
最後に少年の頃のワンシーンで印象に残ってるところがあります。授業中にシャロンが必死にダンスしてるシーンです。
ララ・ララ・ランドとは好対照
アカデミー賞作品賞で争ったララ・ララ・ランドとは好対照の映画。小柄な黒人少年の成長記録。ドキュメンタリー風の味わいがある。直球勝負のエンターテインメントとは一線を画す、余韻を楽しむ作品である。
ムーンライトか…。
立て続けに洋画の名作が続く。 『ラ・ラ・ランド』『わたしは、ダニエルブレイク』、そして『ムーンライト』。 少年の孤独な魂は凍り付いたまま大人の時を迎える。 ムーンライトとは少年の発するか細い生きる力なのか、少年の深い怒りを孤独を絶望を溶かそうとする周りの人間たちのか細い光か。 時間があまりに経ちすぎてもなお、あまりに漆黒の人生をそれでもなお照らしてくれるかすかな光か。 凄まじいアメリカの現代社会を垣間見せて、なお日本の現状までうっすらと浮かび上がらせる、そんな映画でした。
光明
冒頭では過剰なカメラワークが目立ったが、それを補って余りある美しいカットの数々。 Boris GardinerのEvery Nigger is a Starに始まる秀逸な楽曲。 役者の演技に至るまで、非の打ち所がない。 体を鍛え、金歯を装着し、高級車に乗る事で弱い己を守るが、それは望んだ行為でも選んだ道でもない。 だからこそ愛する者の手料理を前に金歯を外すシーンがとても美しい。 還る海を得た彼の人生は、月明かりに照らされ青く光る。 だが、時代毎のワンシーンを繋ぐだけでは、真に彼の心に寄り添う事は困難であり、カタルシスも生まれない。 また、オスカーからアメリカへのメッセージである事は否めず、我が国に於いて彼の国と同じ様に響く事は無いだろう。
考えさせらる
"面白いかどうか"より"考えさせられたか"という方が重要だと思います この映画を見て「気持ち悪い」って思うのは正解だと思うんです みんな表では差別はダメって言ってるけど自分の心にも「気持ち悪い」って思うところがあるってことに気づくのが大切だよね、それを気づかせる映画もすごいと思う 黒人の肌が綺麗で神秘的に見えた
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